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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
72/232

ななじゅういち 卒業式




 今日は初等部の卒業式だ。



 冬休みには色々あったが、あのあとは平和そのものだった。……あのあと、心配症の親は怪我が治るまでは殆どは外に出さなかったけど。おかげで塾にも行けなかった。畜生。


 因みに暇なときは有村さんや辻村姉妹が遊びに来てくれました。人生ゲーム楽しかったよ。




 卒業式は何事もなく過ぎ、今は皆写真を撮ったりしている。私はというと6年のときの教室で一人カメラをいじっていた。写真のデータが沢山残っている。これでも整理していたんだが。


 先程撮った美野里ちゃんたちとの写真を眺める。この制服着るのも最後だ。


「あら、間切さん」


 声がしたので視線を上げると扉のところに木野村が立っていた。


「お一人ですか?」

「うん」

「そうなんですか」

「木野村さんは?」

「逃げてきましたわ……」


 あぁ、なんか疲れきった顔してるね。何があったんだろうか。


 私が座っている席の前の椅子に腰掛けた木野村が私の方をジッと見てくる。


「どうしたの?」

「いえ、あの、先程ですね、下で仲の良い子たちがみんな写真撮ってまして……」

「うん」

「えっと……もしご迷惑でなければ私も間切さんと写真を撮りたく……」

「いいよ」


 私が了承すれば木野村は嬉しそうに顔を綻ばせた。表情がコロコロ変わる。



「ではちょっと親に頼んで……」

「うん」



「一流のカメラマンの手配を!」


「よし、私のカメラで撮ろう」



 そうだこの子お嬢様だった。



 親を呼びに行こうとする木野村を引き止めて私のカメラで自撮りをする。意外とうまく撮れたので良しとしよう。こういうときiPhoneとかの内カメラが恋しくなる。私自撮りすることなんて殆ど無いけど。


「あの、私の携帯でも撮りたいのですけれど……」

「ん」


 頷くと木野村がプルプル腕を震わせながら自撮りした。大丈夫かね。


「あっ、そういえば間切さん! 今日は携帯を携帯してますか!」

「してる。最近はちゃんと充電もしてるよ」


 昔に比べて成長したと思わないかね。


 私は携帯を取り出す。木野村は何やらウズウズしていた。


「あの、連絡先を交換してくださいませんか!」

「いいよ」



 もう赤坂と辻村とも交換してるし。いいよね。うん。仕方ない。連絡先交換しただけで嬉しそうに携帯を掲げる姿が見れるなら安いものだ。可愛い。連絡先交換したからって何かに巻き込まれるわけじゃないもんね。



 その後すぐに同級生たちが荷物を取りに教室へ戻ってきたので、木野村とは別れた。私も帰る支度をする。外で家族が待っているはずだ。早く行こう。




これにて小学生編の本編は終わりです。

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