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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
7/232

なな 1年体育祭 前半


 さぁ、待ちに待った体育祭です。

 そりゃぁもう大盛り上がりですよ。まだ皆子供だもんね。こういうの好きだよね。私は皆のそんな一生懸命な姿を写真に収めていた。

 私が湿気と暑さに負けているとすぐに午前最後の競技、クラス別リレーの番になった。私も入場門に並んでいる。皆足早そうだなぁ…。出たくないなぁ…目立つし。しかしここまで来てしまったものは仕方がない。覚悟を決めろ。

 前の走者がどんどん走っていく。白は…今二位か。すごいな。あ、秋田君だ。さすが。一位に躍り出た。

 自分の番が近づくにつれ手が冷えていく。前世ではリレーなんかに出たことないもんなぁ。


 アンカーの一つ前の子がバトンを受け損ね、落としてしまう。そこでロスして白組は一気に最下位だ。ふむ…。これはあの子には悪いが私は妙なプレッシャーが少なくなって気が楽だ。勿論追い抜かすつもりではあるが。

 私が出て、バトンが来るのを待っていると、少し走ったところで赤組のアンカーの女の子が転んだ。今更だが私以外にも女の子のアンカーがいたことに安心している。

 転んだ女の子はなかなか立ち上がらない。いや、立ち上がれないようだ。何度も立とうとは試みている。赤組は一位だったが緑、青と抜かされていく。動けない彼女を心配そうに先生がおろおろしているがトラック内には入ってこない。それもそうか。私が走り出したら先生が邪魔になる。しかし女の子は痛そうだ。とういうか泣いてないか、あれ。


 私はバトンを受け取るとすぐさま走り出す。そして、途中で女の子を拾い、御姫様抱っこをして再び走り出す。救護テントはゴールの近くにあったはずだ。私はゴールするとそのまま女の子を抱えて救護テントに向かった。


「せんせー! 女の子拾いました!」

「見てたわ」

「立てないくらい酷いみたい」

「捻挫ね。でも無理したら腫れるわ」


 先生診断早いね。

 女の子を先生に任せ、テントから去ろうとすると女の子に体操服の裾をつかまれた。


「どしたの?」

「ありがとう」

「どういたしまして。痛かったでしょ? 大丈夫?」

「平気…。あなた、名前は?」

「間切波留だよ」

「私は浅田美野里。よろしくね」

「美野里ちゃんか。よろしく」

 新しい友達ゲットだぜ。

 美野里ちゃんの治療が終わるまで美野里ちゃんとお話しして、治療が終わった美野里ちゃんを再び抱き上げてまた私は走り出した。

 ほかの学年のリレーがあるからまだ皆応援席にいるはずだ。赤組の応援席に行けばすぐに囲まれた。


「じゃ、私は戻るから。美野里ちゃんお大事にね」

「ありがとう波留ちゃん」

「ありがとね、間切さん」

「ん」


 さりげなく辻村にお礼を言われた。さりげなくそういうのいえるってすごいと思うよ。

 白組の席に戻れば私もクラスメイトに囲まれた。


「かっこよかったよ」

「最下位だけどね」

「それでも!」


 早苗ちゃんを筆頭に皆が私をほめちぎる。やめてくれ。褒められるのに慣れていないんだ。

 私が羞恥心で死にそうになっていると、頭をなでられた。


「波留、よくやったね」

「兄さん!」


 兄さんに褒められたので、まぁいいかな! なんか目立っちゃったけど! うん!! 余計なことをした気がしなくもないけど! 気にしない!!

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