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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
66/232

ろくじゅうご 六年学園祭


 兄もあれから倒れることもなく、無事に学園祭当日を迎えることができた。何度か夜ふかししようとしている兄を見つけたので強制的にベッドへ突っ込んでおいた。



「委員長、今年はどこ回ろうか」

「……美野里ちゃんと早苗ちゃんはどうしたの」

「二人ともご両親が来たからそっちに行ってるよ。午後からは俺らと合流!」


 つまりそれまで秋田くんと二人か。


「君、今年も一緒に回るのか。男子は?」

「んー、なんか委員長といるほうが落ち着くんだよね。だめ?」

「いや、一緒に回ろう。ただ、この年頃の男子は何かとからかってくるだろうと思って」

 そろそろ思春期に入って、多感な時期に突入する頃だろう。そうしたら男子と女子が二人でいたらからかいの的だ。


「委員長とは友達だし。疚しいことないし、堂々としてればいいと思うんだよね」

「君が気にしないならいい。じゃ、どこ行こうか」

「んー、どこ行こうね!」


 二人でパンフレットを見ながら話す。さて、今年はどうしようかな。







「駄菓子ゲットー!」

「大量に買ったね」

「うん! 駄菓子好き!」


 取り敢えず高校生がやっている駄菓子屋さんに行き、二人して手に一杯の駄菓子を手に入れた。うむ。私も買いすぎたな。わたあめ美味しい。


「あそこの机で少し食べてから次行こ〜」

「ん」


 廊下に設置された机と椅子が空いていたので二人でそこに荷物を置く。


「委員長、わたあめ好きだね」

「んまい。……甘いし、とけるから好きだな」

 私はわたあめを食べて、秋田くんは駄菓子の入った袋を漁って駄菓子を取りだす。



「そっかぁ。あ、これ懐かしい」



「懐かしい? 君はそれ、食べたことあるの?」


 秋田くんが取り出したのはなんかよくわからないキャラが書かれた駄菓子だ。よっちゃんイカみたいなやつ。小学生でそれを食べるか。私酸っぱくて食べれない。


「ん? ないよ?」

「ないの?」

「…………………………んー? いや、なんか似たようなのを食べたことがある? と思う」

 なんだ、曖昧だな。幼少期に食べたんだろうか。まぁ、小さいときの記憶なんて曖昧だよな。


 私は特に気にせずわたあめに齧り付いた。口の中で溶けるそれは甘い。





「兄さんいますか」

「波留ちゃんいらっしゃい。梓なら裏でホットケーキ焼いてるよ」


 兄のクラスを見れば一宮さんが給仕していた。エプロン似合いますね。


「今なら空いてるから、テーブルに座って待っててね」

「はい」


 空いている席に座ってメニューを開く。ホットケーキ美味しそう。


「委員長何頼む?」

「このイチゴ乗ってるやつ」

「じゃあ俺バナナ。委員長半分子しよー」

「いいよ」


 一宮さんに注文して、二人で軽く話しながらホットケーキを待つ。甘い匂いが漂ってるなこの部屋。


「波留ちゃんお待たせ」

「わーい」

「おぉー!」


 一宮さんが持ってきたホットケーキはとても美味しそうなものだった。早く食べたい。


「梓も休憩できるらしいから、もうすぐくるよ」

「委員長のお兄さん?」

「うん。間切梓。みたことあるよね?」

「見たことはあるよ。あ、うま」

「こっちも美味しい」


 二人でもきゅもきゅ食べていると私達の前に二人、兄と一宮さんが座った。二人ともエプロンを外して、普通の制服の姿だ。


「兄さん」

「波留、付いてる」


 席についた兄はそう言って私の口元を拭った。ホイップがついていたらしい。


「委員長子供だなぁ」

「君もついてるよ」

「あれ!?」


 私が指摘すれば、秋田くんはすぐに口元を拭う。ははは、人のこと言えないな。


「二人とも美味しそうに食べるねぇ」

「「美味しいです」」

「それは良かった」


 一宮さんの言葉にそう返せば兄と一宮さんが淡く微笑んだ。うまうま。


 ホットケーキを食べ終えたあとは暫く兄たちと会話して、店をあとにした。そして美野里ちゃんたちと合流して、学園祭を満喫させてもらった。今年も楽しかった。



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