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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
47/232

よんじゅうろく 四年学園祭 1




「初等部の図書室ではその本置いてないわねぇ」

「えっ」


 夏休みがおわり、二学期に入るとすぐに学園祭でやる出し物について決めることとなった。今年はまた研究発表。といってもそんな難しいことはしない。ただ調べて発表するだけ。まずは本で調べようと思った私はまずネットである程度本を絞りこんで、その本を図書館で借りようとしたのだが、ないらしい。いくつかはあったが、どうしても一冊ない。なくてもいいけど、できればほしい。本屋に売ってるだろうか。


「たしか中高の図書室にならあったと思うわ」

「それ、借りることってできますか?」

「たしかできたはず。行ってみる?」

「はい。行ってきます」


 じゃあ向こうの司書に連絡しておくね、と言われたのでこちらで借りる本を借りて、そのまま中高の図書館へと向かう。




「これなら置いてあるよ。…………うん、貸出もされてないみたいだ」

 中高の司書はおじいちゃんだった。おじいちゃんはパソコンで確認すると教えてくれた。おじいちゃん御年いくつ? って聞きたくなるくらいおじいちゃん。


「持ってこようか?」

「大丈夫です。自分で探します」

「何かあったら言うんだよ」

「はい」


 おじいちゃんにその本が収められている場所を聞いてそちらに向かう。放課後だからか人の少ない図書館はとても静かだ。初等部とは違う作りの図書館は歩いているだけで少し楽しい。それに初等部と比べてこちらのほうが本の数が断然に多い。読みたい。凄く読みたい。読みあさりたい。借りられるなら借りても……いや、中等部に上がってからのお楽しみにしておこう。それより今は目的の本を探さねば。





「…………うーん」


 困った。

 目当ての本は見つけた。たぶんあれだ。しまってある位置が高すぎてよく見えないけど、薄っすらと見える背表紙に書かれた題が目的のものと一致している、はず。

 しかし高い。それもそうか、初等部の本棚は小学生向けに小さめに作られているが、中高の本棚はそうではない。まぁ、ある程度の棚までは手が届くが、生憎、目的の本は本棚の一番上の段だ。届かない。どこかに脚立か何かないかな。



「どうしたんだい?」


 脚立を探してキョロキョロしていると頭上から声が降ってきた。そちらに目を向けるとキラキラ輝くイケメンがいた。本当に輝いてる。金色の髪が光を反射してる。


「……本を、取りたくて……」


 イケメンの眩しさに驚きながらもなんとか答えるとイケメンは「どれ?」と聞いてきた。本を指差すとそれを手にとって私に渡してくれる。このイケメン背が高いぞ。そして足長い。この世界の顔面偏差値どうなってんの。


「この時期だと学園祭の準備で使うのかな?」

「はい。研究発表で…」

「そうか。頑張ってね」

「はい」


 イケメンはそう言うと立ち去っていった。ただ歩いているだけなのに絵になる人だ。






「波留ちゃん?」

「なんでここに?」

 本を借りて帰ろうと図書室を出たら兄と一宮さんに出くわした。

「本借りてたんです」

「なるほどね。ところで波留、金髪のイケメン見かけなかった?」

「さっき図書館にいたよ」

 たぶん間違いないはずだ。金髪のイケメン。

「わかった、ありがとう。波留はもう帰るの?」

「うん。本も借りたし」

「波留ちゃん一人?」

「はい。友達は皆習い事とかで」

 皆忙しいね。美野里ちゃんはピアノ、秋田くんは剣道、早苗ちゃんは華道のお稽古だそうだ。私も何か習った方がいいかな。護身のために合気道習ってるけど、こう、優美な感じのものは1つも習っていない。因みに兄は私と同じ合気道、弟は柔道をやっている。

「俺たちもすぐ帰るから、一緒に帰ろうか」

「うんっ」

「よし、じゃあ荷物持って下駄箱で待っててくれるかな? 迎えに行くよ」

「わかりました!」


 二人と別れて初等部の方へと足を運ぶ。兄と一宮さんが中等部に上がってからはずっと登下校が別だったので少し楽しみだ。


 そういえばあの金髪イケメンと兄たちは知り合いだったのか。あの人何者なんだろう。

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