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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
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さんじゅうはち 3年学園祭 2




 学園祭当日、私は早苗ちゃんと一緒に高等部の校舎を周っていた。高等部ではいろんなものを売っていて面白い。それにお化け屋敷なんかもあるし。中等部の茜さんのクラスは上品な雰囲気の喫茶店だった。パンケーキを頼んだら可愛いくまの形をしていて思わず何枚も写真を撮っていた。早苗ちゃんのはうさぎの形。茜さんはアイスをくれた。これまた可愛い顔が描いてあるやつ。美味しかった。

 今日は圭の出る劇があるのでそれを見て、あとはのんびり見て回る予定だ。私のクラスは研究発表なので当日は特にすることがない。楽でいいな、これ。


 早苗ちゃんと劇が行なわれる体育館へ向かっていると視界に見知った影……というか、鳩のお兄さんらしき人物が写った。

 鳩のお兄さんぽい人がいた気がして振り返るが、人混みにまぎれてしまってもう見えなくなってしまった。


「波留ちゃん?」

「……? 見間違いかな。知り合いがいた気がするんだけど」

「そうなの?」

「んー、見えなくなっちゃったし、体育館行こう」

「弟くんでるんだよね?」

「そうなの! ちゃんとビデオカメラも用意してきたんだ!」

「波留ちゃん相変わらずだね」

 うちの弟は可愛いからね。仕方ないね。



 劇の良し悪しはわからないが、取り敢えず可愛かった。弟も可愛いけど、他の子も可愛い。小さい子ってかわいいよね。


「あ、委員長ー」

「秋田君…………満喫してるね」

「美味しいよ」

 フラフラしていたら前方から秋田くんが友人たちとともに歩いてきた。秋田くんはりんご飴やら焼きそばやらを持っている。あ、駄菓子もある。次駄菓子買いに行こうかな。


「このりんご飴? てのが食べられないんだけど、どうやって食べればいいのコレ」

「全力で齧ればいいんじゃないかな」

「意外と硬いんだよね」

「いっそ家に持って帰ってから食べるとか」

「帰るまでこれ持ったままかぁ」

「それかどっかでナイフとフォークと皿借りて教室で上品に食べるとか」

「なるほど」

 あ、これで納得するの? だいぶ無茶なこと言ってると思うけど。どこでナイフとか借りるつもりなんだろう。それに自分で言っといてあれだけど、りんご飴を上品に食べるってなんだろう。


「委員長カッターナイフ持ってたりしない?」

「ない」


 てかカッターナイフ持ってたらそれで切るつもりだろ。カッターナイフベタベタになるぞ。せめて自分で用意してくれ。


「そういえばさっき委員長のお兄さん見かけたよ」

「兄さんを?」

「うん。なんか女の子に囲まれてた」

「流石兄さん。モテモテだ」

「委員長はあんまりモテないよね?」

「……」

「ごめん。ほら、委員長のそういう話聞かないから」

 流石の私でも傷ついたのでジトッと睨めば秋田くんは焦ったように弁明した。ふうん。

「……私達の学年でそんな色恋の話聞いたことないんだけど。誰がかっこいいとか、誰がモテるとか」

「この間女子たちが恋話してたよ」

「まじか」

 最近の女子は進んでるな。前世の私なんてこの年頃のときは遊ぶ事しか考えてなかった気がする。

「それに本田さんは結構囲まれてるよ」

 ほら、と秋田くんが指差す方向を見ると早苗ちゃんが男子たちに囲まれていた。そして早苗ちゃんは涙目である。


「あれもう恐喝の場面にしか見えないな」

「同感」

 モテモテで羨ましいな、とは全く思えなかった。


 秋田くんたちと別れたあと、早苗ちゃんは暫く涙目のままだった。うん。男子に囲まれて怖かったんだね。放置してごめんね。

 因みに早苗ちゃんは男子たちから怖がらせたお詫びと称してお菓子をたくさん頂いていた。貢物にしか見えない。


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