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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
26/232

にじゅうご 2年体育祭 後半

 私が頷くのを見て私の隣に来た赤坂と話したのは他愛のない話だった。どうやったら更に足が速くなるかとか、家族の話だとか。当たり障りのない話。


「そういえば間切は俺が来るまで何してたんだ? 校庭見てたのか?」

「ん? あぁ、そうだよ」

「見てて楽しいか?」

「意外と。気になるものもあるし」

「どれ?」

「あのパラソル」

「あー…………あぁ、うん。凄く存在感あるな……何してんだろうあの人」

 本当にな。

「知り合い?」

「銀杏会の人」

「へぇ、どんな人なの?」

 体育祭の応援席にパラソル立てるとか、きっと変人に違いない。赤坂に問うてみれば赤坂は腕を組んでウンウン唸りはじめた。そんな難しい質問をしただろうか。


「自分大好きな人……?」


 なるほどナルシストか。

 赤坂はパラソルの人にピッタリな言葉が見つからないのかまだ腕を組んで考えていた。そんな悩まなくても。なんとなく聞いただけだし。


「何か独特な人なんだ。堂々とした人で、悪い人ではないんだと思うけど」


 自分大好き堂々とした変な人か。ちょっと見てみたい。


「会ってみるか?」

「いや、いいよ」

 関わろうとは思わない。こう、少し離れた所から見てみたいだけだ。

 話すために合わせていた目線をずらして校庭へ目を向ければ、ちょうどリレーの4つ前の競技が始まるところだった。

「そろそろ戻ろうか」

「おう。間切、また話そうな!」

「……………………うん」

 学校で話すのはまずい。すごく目立つ。できれば避けたい。でも断れる雰囲気じゃない。

「嫌か?」

 考えが顔に出ていたらしい。話している最中は終始可愛らしい笑顔を浮かべていた赤坂がしょんぼりと悲しそうな顔をする。あ、なけなしの良心が痛い。

「なんでだ?」

「…………目立ちたくないから」

「体育祭であれだけ目立っておいて!?」

「あれは弟のためだから!」

 それに体育祭で目立ったところであんま実害ないし。運動クラブの上級生に目をつけられたり、赤坂に目を付けられたりするだけだから。でも赤坂と話すと目立つし、最悪の場合赤坂大好きな女子に目の敵にされるんだよ。小さいとはいえ彼女たちは女子だ。女子は怖いぞ。それにもし木野村に嫌われたらどうするんだ。高校で入学してくるであろう主人公より先に私がイジメ抜かれて消されるわ。

 私が最悪の自体を考えて顔を青ざめていると体操着の裾がチョイっと引っ張られた。目を向ければ赤坂がこちらを向いている。


「どうしても?」

「ぅぐ……………………学校外……なら」


 だからそんな捨てられる子犬みたいな目をこっちに向けるな。

 私が折れると赤坂は今日一番の笑顔を浮かべた。悪魔か。


「じゃあメアド交換しよう」

「今カメラしか持ってない」

「カメラよりもケータイを携帯しろよ……」


 赤坂が呆れた顔を向けてくる。学校内では電源を切って鞄に仕舞ってるんだよ。仕方ないだろう。それに、学校内で使わないし。


「まぁメアド交換はまた今度で。先に校庭戻ってて」

「絶対だからな! 連絡するからな!」

「はいはい」

 拗ねた様子の赤坂をなんとか宥め、先に校庭へ向かわせる。一緒に戻ったら目立つことこの上ない。勿論、今日のことは内緒にしておくよう釘も刺した。去り際に少ししたら私も戻ろう。





 戻ったあとは全力でリレーに挑んだし、体育祭は私達の組が優勝した。圭の笑顔が見れたので満足です。うちの弟の笑顔は癒やしだ。




 ところで、赤坂はどうやって私と連絡を取るつもりなのだろうか。

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