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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
25/232

にじゅうよん 2年体育祭 前半

 さて、体育祭当日。私は去年と同じようにカメラを構えていた。



「今思ったんだけどさ」

「なに、委員長」

「私がリレーに出たら同じくリレーに出る兄さんと圭を写真に収められない」

「……」


 秋田くんに「何言ってんだこいつ」と言う目を向けられた。酷い。


 どうやら私の兄弟二人は本当に足が速いらしい。兄も弟もリレーの選手に選ばれていた。二人が走るとき、私は選手側にいるのでカメラを構えられない。なんてこった。去年は自分のことで手一杯だったが、今年はぜひ二人を撮りたい。


「本田さんに頼めばいいと思う」

「よろしく早苗ちゃん!」

「が、頑張るね!」


 任せた早苗ちゃん!

 リレーの選手に招集がかけられたので早苗ちゃんにカメラを渡し、秋田くんと共に集合場所へ向かう。


 私は今年もアンカーだ。去年もそうだったが緊張で吐きそうだ。あと何故かこちらを凝視している赤坂の視線が気になる。


「なんで赤坂くんこっちみてんの……前向けよ」

「それ、委員長のタイムが縮んだ噂を聞いたからじゃない?」

「噂になってるの?」

 なんでそんなことが噂になるんだ。

「あれ、凄く期待した目だよ。よかったね。」


 何も良くない。


 その後、私は午前の部のリレーを弟のために全力で走って、赤坂から逃げるために逃げ続けた。だって赤坂の奴走り終わったあともずっとこっち向いてるし。怖いわ。あ、お昼ご飯はちゃんと食べた。母の作るご飯は美味い。




 そして今、屋上に引き篭もっている。いつもは閉まっている鍵が何故か開いていた。幸運。私はリレー以外には出ていないし、次のリレーは午後の部の最終種目だ。招集まで時間もあるしここで休んでいることにした。


 屋上から校庭を眺めれば、競技で盛り上がっているのが見える。なんか一人キョロキョロしながら動き回ってるのが見えるけど気にしない。


 大勢が校庭に集まっているのを上から眺める機会など滅多にないので少し楽しい。カメラに収めておこう。それにしても意外と人数多いなこの学校。



 カメラに校庭の光景を収めていくと一つ気になる箇所があった。

 学生の応援席の一部にパラソルが立てられている。

 なぜパラソル。


 よくは見えないがパラソルのもとで優雅にくつろいでいる人がいる。何してんだろう。あ、今日日差し強いし暑いもんね。そりゃパラソルも立てたくなるか。……なるのか? 金持ちの考えることはよくわからない。



「間切見つけたー!」



 扉を開けて入ってきたのは赤坂だ。


 君さっきまで校庭にいなかった? 足速いね。ていうか息切れしてるけど、まさか階段も全部駆けて来たんじゃないだろうなこの子。


「間切なんでこんなとこいるの?! 学校中探しちゃったよ!」

 学校中探したのか。その熱意はどこから来るんだ。

「……なにか私に用事が?」

「お喋りしよう!」


 そう言って私に近づいてくる赤坂はそれはもう可愛かった。さすが美少年。赤坂が件のゲームの攻略キャラで、高校生になったら巻き起こされるであろう騒動の渦中の人間じゃなきゃ君の申し出に両手を上げて喜んでたよ。


 面倒なことは避けたいので出来る事なら関わりたくない。が、あんな満面の笑みを向けられて断れるはずも無く、私は赤坂の言葉に頷いた。まぁこの状況で逃げるのも印象が悪くなるし、少しくらいならいいか。



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