エイプリルフール4
「本当に男の子になってるんだね」
「一宮さん」
家に帰ると一宮さんが兄とともに夕飯を作っていた。一宮さんは私を見て少し驚いてから笑った。
「梓そっくりだ」
「皆に言われました」
「だろうね。でも」
何を作っているのか覗き込むため一宮さんに近づくと一宮さんの手が私の前髪をさらりと横に避ける。
「……うん。波留ちゃんの方が可愛い」
「今男ですけどね。今日の夕飯なんですか?」
「それでもだよ。すき焼き」
「ありがとうございます?」
まぁ確かに兄に比べたら幼い。
「何か手伝うことありますか?」
「大丈夫。休んでて」
「はーい」
「姉さんは男だったらモテモテだったよ、絶対」
「ないでしょ」
攻略キャラが周りにいる限りは無理だ。
夕飯を4人で囲みながら今日あったことなどを皆で話す。まぁ今日はほとんど私の話題だ。
「満喫できたか?」
「身長が高いって良いね」
兄の言葉にそう返すと笑われた。いつも皆を見上げているから、新鮮だったな。
「あぁでもトイレが大変だった」
「なんで?」
「どっち入れば良いのかなって」
元々は女だが今は男だ。女子トイレに入ろうとしたら早苗ちゃんたちに涙目でやめてくれと懇願され、男子トイレに入ろうとしたら秋田くんに怒られた。見られたくないらしい。
「え、じゃあどうしたの?」
「多目的トイレに入りました」
うちの設備がきちんとしていてよかった。多目的トイレならおひとり様だ。教師陣にも許可を取ったので問題なく使えた。
「姉さん、体育も男子に混じってたよね」
「うん。この身体だと結構力あるし、女子とやるのは危険かなって」
体育のときも大変だった。着替えるために女子更衣室へ行ったら早苗ちゃんたちに泣きつかれ、男子更衣室へ行ったら男子に悲鳴を挙げられた。どうしろというのか。
「大変だったね」
「はは……」
まぁ他はいつもと大差ない。美野里ちゃんと早苗ちゃんがなかなか近くに来てくれなかっただけだ。ちょっと寂しかったのでやっぱり女子のほうが良い。
次の日にはちゃんと女子に戻っていた。




