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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
2/232

に 入学式2



 写真を撮ることで心を落ち着かせた私は教室へとたどり着いた。あの三人とは別のクラスだ。不幸中の幸い。四クラスしかないのによくわかれたものだ。一クラスは約三十人。少人数体制だな。そういえば兄もこの学校に通っていたはずだ。


 この東雲学園は設備、教師陣の質が非常に良いことで有名だ。しかしそれを維持するために膨大な学費が要求される。なのでこの学校に通うのは金持ちばかりなのだ。中学、高校になると特待生枠で幾人かの一般人が入ってくるがそれでも学生の大半は金持ちである。ちなみにそれなりの学力も必要とされる。

 そしてそういう設定の学校によくあることだが、一部の御曹司などを集めた部活のようなものも存在する。これは本当に一握りの人間のみ。先ほど私を絶望させた三人はそれに所属する。もちろん私は所属しない。やったね。平和に過ごすにはあの三人にかかわらないのが一番だ。あの三人はすごいからな。


 赤坂 夏樹は攻略キャラらしくイケメンである。明るい茶髪に長身。イケメン。まっすぐな性格。だった気がする。

 辻村 雅直は赤坂の幼馴染であり黒髪のイケメン。優し気な笑みを常に浮かべている。どんな人間にも優しく接する。

 木野村 夏鈴は生粋のお嬢様。高校で入ってくる主人公と対立。たしか赤坂に惚れていた気がする。




 ……なんせ前世の記憶なもんで。うろ覚えでも仕方がない。決して私の記憶力が低いわけではない。



 まぁ、かかわる気もないし。そもそも「間切波留」なんてキャラはゲームの中にいなかった。つまりはモブ。モブなら彼らにかかわることもないだろう。きっと平和に暮らせるはずだ。それに、私が知っているのは高校での彼らだ。小学生の彼らは知らない。この知識も今は役立たないだろう。

 とりあえず今は友人を作ることが先決だ。私は意を決して前の席に座った女の子に声をかけた。


「おはよう」

「ぴゃっ」


 ぴゃっ。

 まさか声をかけた瞬間おびえた声を出されると思わなかった。私の声はそんなに怖いか。

 しかし私はあきらめないぞ。ボッチは嫌だ。友人は欲しい。


「私、間切波留。よろしくね。あなたの名前は?」

「え…と…あぅ…本田…早苗ですぅ……」


 前の席の本田さんはすでに涙目である。


「えっと…ごめん…私…そんなに怖い……?」

「怖くないです…」


 じゃぁなぜそんなにおびえているのか。


「ならよかった。本田さん、よかったら友達になってくれない?」

「私でよければ…!!!!!」

「これからよろしくね」


 それから先生が来るまで話していてわかったことだが、彼女はどうやら人と話すのが苦手らしい。人見知り? コミュ障? まぁいい。悪い子でないのは確かだ。まさか初日から友達ができると思っていなかったらしく、感動していた。まさか泣くとは思わなかった。

 先生が来たのち入学式が執り行われ、その日は解散となった。


 あ、そうだ。帰ったら件のゲームについて覚えていることを何かに書き出しておこう。


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