じゅうはち 1年学園祭 2
「辻村……といいますと……隣のクラスの辻村くんの……?」
「そうだよ!」
「私は辻村千裕。改めてよろしくね」
演劇部の美人姉妹は辻村姉妹でしたか。遺伝子ってすごいなぁ。姉弟揃って美しいとか……。本当に凄いなぁ。うん。
「委員長ー!!!」
「ぅぐっ」
私が思考を放棄していると秋田くんの叫び声とともに背中に衝撃が走った。何事か。
「早くっ! 早く話し合いしよう!?」
「お、おう……」
あまりに必死な形相なので少し押される。何があったんだ。
ちらりと早苗ちゃんを見れば有村さんに高い高いをされているところだった。有村さんめっちゃいい笑顔。天井に頭ぶつけないといいけど。
「有村君。始めるわよ」
「はーい」
部長さんが声をかければ有村さんは止まり、こちらにやってくる。やっと話し合いが始まるようだ。私のライフは先程の衝撃でほぼゼロなので早々に終わらせたい。
話し合いはスラスラ進んでいった。というか一年生に演劇についての知識があるわけないので、ほぼ向こうに任せっきりである。申し訳ない。
申し訳ないと伝えれば有村さんにすごく撫でられた。この人何なんだろう。小さい子が好きなんだろうか。
取り敢えず次は役者側の子を呼んで衣装相談。それと裏方の私達は私達でもできる作業を演劇部の方に教えてもらう予定だ。台本は担任と演劇部の方が作ってくれるらしい。本当に何から何まで申し訳ない。
「部長! この子たち持って帰っていいですかね?」
「駄目に決まってるでしょう」
なんか帰り際に小脇に抱えられたけど気にしちゃいけない気がしたから気にしないことにした。この人力持ちだなぁ。
後日また会う約束を取り付けて演劇部の方々と別れたあと、私は二人と家が逆方向なので一人で帰路に着いた。
辻村姉妹綺麗だったなぁ。たしか部長さんは高2だよな。ゲームでも辻村弟と10歳年が離れていた。歳の離れた姉弟だよなぁ。茜さんは……あれ? 年齢教えてもらってないな。ていうかゲームに茜さん出てきてない気がする。部長さんはちらっと出てきたけど……。
まぁ私もゲームの全てを覚えているわけじゃないし、覚えていないだけでどこかで出てきてたのかもしれない。
夕食の席で兄に今日あったことを話したら顔を真っ青にしていた。兄も昔有村さんにお世話になったらしい。取り敢えず兄は落ち着いてほしい。有村さんと会うときにヘルメットつけるのは無理だ。身の安全の為でも無理。学校にそんなもの持っていきたくない。
有村さんは兄に何をしたんだろう。