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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
高校生編
182/232

二話 初日2

「おはよう!」

「おはよう赤坂くん朝から元気だね」

「おはよう」


 二人揃って絶望したが、取り敢えずもうどうにでもなれと二人で秋田くんの席で話しているとそれはもう元気な様子の赤坂が登校してきた。早いな。


「同じクラスだな!」

「ソダネー」

「そうだね。ところで、教室で話しかけてくるの珍しいね」

 中等部の頃なんかは学校内ではほとんど話しかけて来なかったのに。体育祭のときと、離れにいるときくらいか、話しかけてきたのは。

 私の疑問を聞いた赤坂くんは机に鞄を置きながらこちらに笑顔を向けた。眩しい。


「まだ人も居ないしな! それに、周りの奴らも落ち着いてきたし、いいかなって!」

 つまり取り巻きがだいぶ落ち着いてきてもう害はないから話しかけることにしたと。なるほど。それはそれは。



「目立つな……」

「んー、そこはまぁ、他のクラスメイトにも同じように話しかければ問題ないだろ!」

「そだね」

「……」


 どうしよう。秋田くんが未だかつてないほどに遠い目をしている。


「おはよう」

「おはようございます」


 三人で話していれば今度は辻村と木野村が教室に入ってきた。座席表を確認して、そしてこちらへとやってくる。


「二人ともおはよう〜」

「おはよう」

 諦めたように笑う秋田くんとともに挨拶をすれば笑顔を向けられる。懐かれているな。

 後光がさしそうな二人を眺めながらふと思いついたことを口にする。


「木野村さんなんか大人っぽいね」

「……」

 私の言葉に木野村が暫く固まって、そして座席に座る赤坂を見た。


「聞きました!? これですよ! 私が求めたのはっ!!」

「そう言われても」


「……木野村さんどうしたの」

「朝三人で一緒に登校して来たんだけど、高等部に上がって制服が変わったのにもかかわらず何もコメントしない夏樹に怒ってるんだよ」

「女の子だねぇ」

 騒ぐ二人を眺めながら辻村に聞けばそんな答えが返ってきた。なるほど。乙女心というやつですか。


「せめて何か一言! 似合うとかでも! 可愛いとか! 今日は髪型だって気合を入れてますから!」

「いや、木野村が可愛いのはいつものことじゃん」

「……っ」

「なぜ」

 赤坂から発せられた言葉が予想外だったのか黙ってしまった木野村は何故か私に抱きついてきた。本当に何故。


「僕夏樹のそういう素直なとこ好きだよ」

「ありがとう? マサも可愛いな」

「……嬉しくない」

「いや、美人の方が正しいか? なぁ間切、秋田」

「俺は美人系だと思うなー」

「私も」

「辻村様は美人だと思いますよ」

「なんでさ」

 美人と褒められた辻村は落ち込んだ様子だ。まぁ年頃の男子が美人と言われても嬉しくはないだろう。


「朝から賑やかだな」


 わいやわいやしている私達にそう言ってきたのは篠崎だ。その後ろには楽しそうに話している早苗ちゃんと美野里ちゃんもいる。


「若いっていいね」

「同い年だろ」

「そういや二人とも生徒会はないの?」

「「新入生なんで」」

 秋田くんの問に答えたら篠崎と言葉が被った。少し驚いて思わず顔を見合わせてしまう。うわイケメン。


「写真撮るな!」

「何故私の頭蓋を掴むのか」

 そこはカメラを抑えるところではないかと私の頭を掴む篠崎に抗議すれば無言で力を込められた。とても痛い。



「仲良しだね……」

「ほんとにね〜。というかこのクラスの美男美女率高くない? 目の保養!」

「ところで波留ちゃんの頭割れないかな? 大丈夫かな?」

「波留ちゃんなら自然回復できそうだけどね」


 私はそんな超人ではない。

 頭がかち割られるのではないかという勢いで握られている中聞こえてきた会話に心の中でツッコミを入れておく。私は普通だ。というか私もそっちに行きたい。この美男美女軍団から抜け出したい。



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