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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
18/232

じゅうなな 1年学園祭 1

 2学期が始まった。私は1学期の頃を振り返り、あの三人と関わりすぎだと思い至った。だからイベントを潰してしまうんだ。これ以上彼らのイベントを潰さないよう、彼らからは更に距離を取らなければ。私のせいで彼らの関係性が変わるのは思わしくない。



 まぁそれはさておき、2学期といえば学園祭ですよね。うちにも一応ありますよ。小学生だけど出し物やるよ。

 小学一年生は毎年合唱もしくは劇をやっているらしく、担任にもそれを勧められたのでクラスで決をとった結果、劇になった。演目は無難なシンデレラ。役者もすぐに決まったし、中々スムーズにことが進んでいた。うちのクラス優秀だなぁ。もちろん私は裏方である。早苗ちゃんも秋田くんもだ。劇に使う小道具などは中高の演劇部が貸してくれたり、作るのを手伝ってくれたりするらしい。優しいな。

 今日はそんな演劇部の方々との対面の日である。少し緊張。


「どんな人たちだろうね」

「優しいといいね」

「…………なんで俺達三人しかいないの?」


 秋田くんが最もな疑問を言うので私は視線を誰もいない教室へ向けた。そう、今待ち合わせ場所である教室には秋田くん、早苗ちゃん、私の三人しかいない。他の子は帰った。なんか皆習い事があるとか言って。せめて役者側の子一人くらい残ってほしかったなぁ。


「大丈夫かなぁ」

「たぶん大丈夫だ…!?」

「本田さん?!」


 三人で輪になってコソコソしていたら早苗ちゃんが視界から消えた。何事か。


「ちっちゃい!! かわいい!!」

「ひぇぇぇ」


 上方から声が聞こえたのでそちらを向けば、そこには背の高い男の人と、その人に持ち上げられている早苗ちゃんがいた。え、本当に何事。


「有村君、何してるの?」

「部長! この子めっちゃちっこい! 可愛い!」

「下ろしなさい」


 私と秋田くんがオロオロしいる間に颯爽と登場した部長様により早苗ちゃんは地上に戻ってきた。戻ってきた彼女は涙目である。


「ほらもう、怯えてるじゃない」

「だって可愛かったから」

「反省しなさい」


「えーと……あの……」


「あ、ごめんなさい」


 頭上で交わされる二人の会話に尻込みしながらも何とか話しかけようとすると部長と呼ばれたお姉さんが私に気がついてしゃがんでくれた。美人さんだなぁ。


「私は中高の演劇部部長よ。よろしくね。あの背とテンションが高いのは有村君」

「1組委員長の間切です。よろしくお願いします」

「とりあえず今日はどんなものを作るか決めましょうか」

「はい」


 私たちが挨拶をしている後ろで早苗ちゃんや秋田くんの悲鳴が聞こえた気がするけど気のせいだろうか。すごく気になる。すごく気になる……が、本能が後ろを向いちゃいけないと言っているから振り向かない。まぁ、高校生っぽいし、無茶なことはしないだろう。うん。信じてる。


「今日はお二人ですか?」

「あと一人来るわ。でも今は隣のクラスにいる弟に会いに行ってしまっているの」

「弟さんがいらっしゃるんですか」

「えぇ。私の弟でもあるのだけれど」

「おぉー」


 こんな美人さんの弟か。見てみたい。そういえばこの人の名前知らないな。

 私と部長さんが和やかに会話をしていると教室の前の扉が勢い良く開かれた。


「マサがつれない!!」


「茜、挨拶しなさい」

「ごめんなさい!」


 おぉ、部長さんとよく似ている。制服からして中学生かな。美人姉妹か。目の保養になるわ。

 教室に入ってきた美人さんは私の目の前に来ると部長さん同様しゃがみ、視線を合わせてくれる。






「辻村茜です。よろしくね」






 嘘だと言ってくださいお姉さん。

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