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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
17/232

じゅうろく 一年夏休み最終日 後半

 それは、まずい。


 本当に私が彼らのイベントを壊したのだとしたら、それはこれからに関わってくるはずだ。


 まず、私が潰したであろうイベントは木野村の赤坂への恋心に関するものだ。木野村はこれがきっかけで赤坂をどんどん好きになっていき、赤坂ルートでは高校で入ってきて赤坂と結ばれそうになる主人公に嫉妬し、揉め事を起こしていく。

 この揉め事は様々な人間を巻き込むし、無くなるのはむしろ大歓迎だ。

 だが、その揉め事がなくなったところで別の揉め事が起こらないとは限らない。

 今回のことで木野村の赤坂へ向ける感情がゲームとは変わってしまったのならば、これから未来のことはゲームとは違うものになる。ただでさえ私というイレギュラーが存在してるんだ。小さなズレが重なればそれはそのうち大きなズレになる。私の知る未来とは大きく変わってしまう。

 そうなれば、私が予想できない大きな揉め事が起きる可能性だってでてくる。

 ことの顛末を知り、内容を知っている揉め事と何も知らない未知の揉め事、巻き込まれるなら断然前者だ。そちらの方が回避しやすい。

 ……どうにかして今回のズレを元に戻すことはできないだろうか……元に戻すにはどうしたらいいんだろう。


「間切さん」

「ん?」

「難しい顔してる。お茶飲みな」


 私が考え事をしている間に辻村がお茶をいれてくれていたらしい。気がついたら辻村は私の隣に座っていた。君いつここに来たの?

「いただきます」


 あぁお茶が美味しい。


 お茶を飲みながら私の向かい側に座る木野村と赤坂をちらりと見やる。二人は仲良さげに話していた。

 ……ま、なんとかなるだろう。それにほら、赤坂と話してる木野村の雰囲気が恋する少女のそれだし。


「お茶美味しい?」

「うん。辻村くんはお茶淹れるの上手いね」

「茶葉がいいんだよ」


 たしかに高級そうな味しますもんね、これ。




「あ、その袋あの店のか」

 赤坂が袋の一つを指して言う。あれは確かフランスのやつだったな。

「えぇ。そういえば赤坂様はあのお店のお菓子が好きでしたわね」

「あぁ!」

 様付けか。初めて聞いた。というかあれはお菓子だったのか。知らなかった。………………なんでこっちを見てるんだ赤坂。

 視線を感じて目線だけを袋から上げれば赤坂がキラキラと輝く目をこちらに向けていた。



「……折角だし、みんなで食べようか……」

 …………子供のキラキラした目ってずるいと思う。


「いいのか?!」

「みんなで食べたほうが美味しいからね。他にもお土産はもらったし。木野村さん、いい?」

「えぇ、もちろん」


 木野村の了承も得たところで私は袋から箱を取り出しそれを開ける。中身はマドレーヌだ。私がそれを一つ手に取ると三人も一つずつ食べ始めた。赤坂はもう本当に嬉しそうにしている。喜んでもらえたようで何よりだ。



 初めて食べたそのマドレーヌは緊張やら何やらのせいで全く味がしなかった。






 なんとか持って帰った土産の山はほぼ全てお菓子だったので家族で美味しくいただきました。皆喜んでたし私の緊張とか心労も報われた気がする。

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