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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
中学生編
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86話 修学旅行5



「そういえば間切さん」

「なんですか……」


 結局待ち合わせ場所に送ってもらうことになった。辻村もそちらに向かう予定だったらしい。


「間切さん一人部屋だったじゃない」

「あぁ、そうだね。ぼっちだったよ」

「それは、本当に人数の関係で一人になったの?」


 辻村はすごく真面目な顔をしていた。

 あぁ、やはり納得はしていなかったか。


 基本二人部屋なこの修学旅行。私が一人部屋だということはうちのクラスの女子の人数が奇数だということだ。それならば一人部屋ではなく、三人部屋を用意すれば良い。一人部屋は何かあったとき不便だ。事実他のクラスの女子の中には三人部屋もいる。


 少し考えれば、情報があれば気がつくことだ。それに辻村は私が刺されて病院に搬送されたことを知っている。それなら私の腹部に傷跡が残ってしまっているのではという考えにも至るだろう。話したことはないので確信はしていないだろうが。


「そうだよ」


 端的に答える。

 傷跡のことを彼に話すつもりはない。いつどこで情報が漏れるかわからないからだ。傷跡のことが茜さんに知れれば彼女はそのことを気に病むだろう。

 この傷は私が勝手に飛び出てつけられたものだ。悪いのは男であって彼女ではない。彼女が気に病むのはこちらとしても本意ではないのだ。



 というか、私自身そこまで気にしてはいない。人様に見せるものではないのと、傷を見られてその詳細を聞かれても困るから一人部屋にしてもらっただけだ。



「……そう」

「そう」


 まだ納得の行かない様子だが、彼はそれ以上聞かなかった。助かる。



「……」

「私を見ても何も出ないよ」


 何も聞いてこない代わりか、じっと私を見てくる辻村にそんな言葉を投げる。前を向け。


「……間切さんが僕の隣歩くのって珍しいね」


 他の人の目があるのに、と辻村は言った。

 そういえばそうだ。というか、今この場には少なからず同級生がいるわけで……。


「……血祭りか……」

「物騒すぎない? …………あぁ、そういえばそうか」

 私の呟きに若干引いた様子の辻村だったがすぐに合点がいったのか何やら納得した様子。


「大丈夫だよ。最近の彼らは大人しいから」

「そうなの?」

「そうなの。最近は…………僕らが何やっても黄色い歓声を上げるだけになったから……」


 そう言う辻村は遠い目をしていた。この人も苦労してるな……。


「他の人に迷惑をかけなくなっただけマシ……」

「そっか……」

 何も言うまい。







 みんながいる場所まで送ってかもらった結果、早苗ちゃんと美野里ちゃんがキャーキャー歓声を上げたのは言うまでもない。秋田くんはニヤニヤしていたので頬を引っ張っておいた。篠崎は早苗ちゃん達の反応に若干引いてた。

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