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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
中学生編
145/232

66話




「姉さん!!!」


 日が暮れてきた頃、ババ抜きをしていたら突然倉庫の扉が開かれ、圭が顔を出した。可愛い。

「トランプしてるっ!」

「あと少しで終わるからちょっと待ってて」

「あ、うん」

 圭を隣に座らせて、ババ抜きを続行したら1抜けできた。やったね。


「で、圭どうしたの?」

「姉さんと連絡つかないから探したんだよ!」

「あ、申し訳ない」

「何事もなくてよかったよ!! 本当に!!」

 テンション高めのまま圭が私をぎゅっと抱きしめてきた。どうやら相当心配をかけたらしい。


「ごめんね」

「ほんとだよもうっ! 兄さんまで探しに来てるんだからね!?」

 えっ。

 圭の言葉に驚きつつ、何やら嫌な予感と、そして視線を感じたので恐る恐る倉庫の入り口を見ればそこには体調を崩しているはずの兄がいた。






「楽しそうだな……?」

「ひぇっ」

 怒ってらっしゃる。とても怒ってらっしゃる。え、私何かしたっけ? トランプしてただけだよ。なんで怒って……心配かけたからですねすみません。わざとじゃないんです圏外なんです。


 私が頭の中で言い訳を並べているうちに兄が私の目の前に来ていた。相変わらず圭は私にひっついたままだ。

「怪我」

「ないです」

「体調は」

「悪くないです」

「なら良し。先輩」

「はい……」

「説明」

「色々あって閉じ込められました」

「そうですか。……東雲さん」

「実行犯の特定ならすぐ出来ますよ」


 兄の後ろから顔を出した東雲先輩がそう言ってこちらに手を振ってきた。何か随分と人が多い。


「東雲さんも来てたの?」

「今日は銀杏会の方に顔を出してましたの。そしたら慌てた様子の会長と圭くんが来たので一緒に」

「ご心配おかけしました」

「無事なら良いのよ」


 ニコニコと愛想よい笑顔を浮かべて東雲先輩が私の頭を撫でる。心配をかけて申し訳ない……しかも私トランプして遊んでたし。


「東雲さんなんか怒ってる?」

「……」

 東雲先輩は相良先輩の問には答えず、ただ笑顔を浮かべるだけだった。その笑顔がとても怖い。


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