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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
中学生編
144/232

65話


「……」

「トランプでもする?」

「ウノもあるぞ」



 兄が体調を崩して学校を休んだ日の放課後、私は相良先輩、時沢先輩と一緒に体育倉庫に閉じ込められていた。意味がわからない。



 帰りのHRが終わって生徒会室に顔出して、そしたら私の机の上に体育倉庫の中の用具の数を確認する仕事の紙がおいてあって、それだけ済ませて帰ろうとして、そしたら相良先輩を探しに来た時沢先輩と会って、もしかしたら相良先輩が倉庫にいるかもしれないっていうから一緒に移動して、いざ倉庫に足を踏み入れたら誰かに扉を閉められて鍵をかけられて……。



「帰りたい……」

「ホームシック?」

「んなわけあるか。間切さん大丈夫? お腹空いたならマカロンあるよ」


 何故あるのか。持ち歩いているのだろうか。そして私はお腹が空いたわけではない。


「なぜ閉じ込められたんでしょうか」

「たぶん戸柄さんだね」

「十中八九そうだろ。間切さんはいチョコ味」

「わぁい」

「凛太郎私の分は?」

「フランボワーズな。ほれ」

「わーい」

 マカロン美味しい。



 じゃなくて。


「先輩は何故私を閉じ込めるんです? いじめ?」

「たぶんこの後助けに来るよ」

「倉庫の扉閉めたのは別の人間だったしな。ありゃ戸柄千依親衛隊の一人だ」

 そう言えば前に相良先輩が言ってたな。それか。怖い。


「なんで先輩方はそんなこと知ってるんですか……というかなぜ一緒に閉じ込められてるんです」

「今日生徒会室に寄ったら戸柄さんが中にいて、あまりにも珍しいから少し物陰から観察してたんだけど、そしたら間切さんの席に体育倉庫の備品確認の書類を置いてたから何かあるなぁって思ってここでのんびりしてた」

「今日一緒に帰る約束してたはずなのにこの阿呆が居なくなったから探したらここにいた」

「相良先輩……知ってたなら止めてくれても……」

「間切くんの精神的ダメージを考えるとそろそろどうにかしないとマズイかなあって」


 マカロンを食べ終えた相良先輩がトランプのカードを切りはじめた。本当にトランプするのか。


「間切くんそんなに不味いのか」

「この間保健室で吐いたらしいよ。あと寝不足」


 吐いたなんて聞いてない。相当体調悪いじゃないか。あと先輩は何故それを知っている。あれか、風の噂か。


「結構キテるな」

「でしょう? だからまぁ、なんか彼女を止めるきっかけがあればなぁって思って閉じ込められてみた」

「なるほど」

「そして携帯を教室に忘れた」

「通りで携帯に出ないと思ったよ」

「まぁそれにここたぶん圏外だしね」

「……マジだ」

 嘘だろ、と思いながら自分の携帯を出すと本当に圏外だった。これでは連絡ができない。外に助けを求められられない。つまりしばらくこのまま。


「……いつでれますかね」

「完全下校時間には出れるよ。たぶん。大富豪と神経衰弱どっちがいい?」

「神経衰弱」



 なんだろう、すごく不安だ。





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