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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
小学生編
13/232

じゅうに 一年夏休み 1

 青い空、白い雲、何もせずとも汗がにじみ出るような暑さ……そしてとなりには異様なほど鳩に好かれているお兄さん。


 夏休みに入り、これで暫くは何も気にせずに過ごせると陽気に日々を謳歌していた私はふと、いつもは行かない公園に足を向けた。

 小学一年生らしく、絵日記の宿題がでたのだが、私は生憎絵を描くのが苦手なので絵を描く欄にその日に撮った写真を貼り付けている。別に写真を張ってはいけないとは言われてない。

 何か良い写真撮れないかなーと広い公園内を歩いていたが疲れたので水分補給と休憩を兼ねてベンチに座っていたら隣にお兄さんが座ってきて、その次の瞬間鳩が群がり始めた。

 なんでそんなによってくるんだ鳩よ。特にお兄さんの頭の上に乗ってるやつ。警戒心なさすぎだろう。そこはお前の巣じゃないぞ。

 というかどうしよう、隣のお兄さんが気になりすぎて動けない。



「きみ」


 頭上から透き通るような声が降ってきた。


「私ですか?」

 顔をお兄さんの方へ向ければやさしげな瞳と目が合う。

 

「そう。君、飴は好きかい?」

「まぁ…」

「じゃああげる。ぶどう味とイチゴ味とチーズ味と明太子味、どれがいい?」

 後半2つの味は美味しいのだろうか。

 好奇心が疼いたが、無難にぶどう味をもらっておいた。


「今日はいい天気だね」

「そうですねぇ」

「こんな日は外に出るに限るね」

「そうですねぇ」

 お兄さんの頭の上で気持ち良さそうにしている鳩が気になりすぎて会話が頭に入ってこない。


「受験勉強なんかより外でのんびりしてる方がいいよねぇ」

「そうで…………どうですかね」

 受験勉強は大事だと思うんだ。


「そっかぁ……。じゃぁ勉強してくるかなぁ」

「頑張ってください」

「頑張るよー。こんな怪しい人間に付き合ってくれてありがとうね。はい、飴あげる」

「ありがとうございます」


 お兄さんが立ち上がると鳩が一斉に飛び立っていった。ちょうどカメラを手に持っていたのでそれを撮る。今日の写真はこれかな。

 のんびりしたお兄さんは私に飴を渡して去ってしまった。何だったんだろうか。







 家に帰って兄に明太味の飴を、圭にチーズ味の飴をあげたら不評だった。



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