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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
中学生編
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48話 2年生体育祭



 今年も体育祭の時期がやってきた。


 私は相変わらずリレーに出ることとなった。たまにはリレー以外にも出たいが、かと言って特にやりたい競技があるわけもなく、まぁいいかとそのまま放置。今年は借り物競争の補欠に入れられてた。


「あっっっづい……」

「きつい……」


 この時期というのは気温が高くなって来ている上に湿度も高いという、中々酷な気候が続く。今年は秋田くんと一緒に応援席で団扇片手に座っていた。


「君去年まで元気にしてたじゃないか……」

「去年までは完全に心が若かったから……」

 つまり今は若くないと。

 チラリと元気に体育祭を楽しむ若人を見る。とても若々しい。っていうかよくよく考えたら私、前世も合わせたら三十路超えてんのか……。そりゃキツイわ……。秋田くんは幾つか知らんけど……。そういや思い出せたんだろうか。


「……なぁに? 波留さん」

「いや別に……暑い……」

「暑いね……っていうかもうすぐリレーじゃ…………波留さんあっち見てご覧よ」

 秋田くんが視線だけで方向を示してきたのでそちらに顔を向ける。




 楽しそうな顔をした赤坂がこちらを見ていた。



「なんてものに気づかせるんだ君は」

「目があっちゃったから。俺だけ目があってしまうのも……。道連れ」

「そうですか……とても良い笑顔」

「こう見ると赤坂くんってイケメンなんだなって実感するわぁ……」

 確かに赤坂はイケメンだ。もう数年したら可愛さがみるみるうちに失われて端正な男に育つんではないだろうか。いや育つ。ゲームではイケメンだった。あと身長もそこそこ伸びる。

 二人で赤坂を観察しているとリレーの選手に集合がかかったので、席を立つ。頑張るかぁ……。







「みぃつけた」




「ホラーかよ……」



 リレーを終え、午前の部が終わると昼休みになる。親と昼食を食べるものもいれば、友人と食べるものもいる中、私は家族でご飯を食べた。そして食べ終えると2年ぶりにひしひしと視線を感じたので校内に逃げ込んだのだ。そして階段の影になっている人目につかないところで小さくなっていると赤坂にみつかって先程のセリフ。これが夜中の出来事ならホラーである。


「よくこんなところに隠れるな!」

「見つからないと思ったんだが」

「いる気がして!」

 この子にはセンサーか何かでもついているんじゃなかろうか。

 疑問に思っている私の隣に赤坂は腰掛けた。


「なんか体育祭の日に間切探すの久々だな」

「去年は逃げなかったし、君も追いかけて来なかったからね」

「新聞部のことがあったからなぁ」

 そっかぁ。ってことは来年からも追いかけられるのかな。



「……ところで、秋田くんのことは追いかけないの?」

「なんで?」

「え?」

「え?」


 そういえばこの子なんで私を追いかけるんだ……?


 キョトンとした顔でこちらを見る赤坂をにふとそんな疑問を抱く。初めて追いかけられたときは友人になりたいから。ではその次からは? 話したいのならまた離にでも呼べばいい。なんでわざわざ体育祭の日に逃げる私を追いかけるんだ?


「君は、なんで私を追いかけるんだ?」

「間切が逃げるから」

「……」

「間切と話したいけど、人が見てるからなぁって思ってると昼に間切が逃げるから、それ見ると……こう、追いかけて捕まえなきゃってなる」

「君は獲物を見つけた肉食獣か?」

 捕食者か。私は餌か。



「俺は雑食だな!」



 知ってる。人間の殆どはそうだ。


 キラキラと輝く赤坂の笑顔が眩しかったので、なるべく直視しないよう、その後はのんびりと雑談をして時間を潰した。





 今年の優勝は赤坂のクラスだった。

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