44話 2年生初日
2年生になった。
「…………」
「……あー……」
クラス割の前で秋田くんとともに呆然と立つ。今年はまた美野里ちゃん、早苗ちゃん、秋田くん、私の4人は同じクラスになっていた。喜ばしい限りだ。しかし。
辻村とも同じクラスだった。
「流石に8年間違うクラスは無理だったね」
「君とは8年間同じクラスなのにね……」
「奇跡だよ」
「そっか」
……大丈夫。同じクラスになったからと言って関わり合いが増えると決まったわけではない。うん。いける。
取り敢えず言動には気をつけよう。
教室に行ったら黒板の前の教卓にくじ引きの箱がおいてあり、黒板には『くじを引いて、その番号の席に座ってね』と書かれていた。最初は出席番号順に座るものではないのか。……まぁいいけど。
適当にくじを引いて、黒板に貼られている座席表を見る。一番後ろだ。
「俺窓際だけど真ん中らへんだ」
「私一番後ろ」
窓際ではないけれど。
取り敢えず席に荷物を置こう、と自分の席の方へ視線を向ける。席に座って本を読む辻村がいた。もう一度座席表を見る。なるほど。
辻村の隣の席のようだ。
「おはよう間切さん。隣の席?」
「おはよう……………………ございます。隣の席です」
私の運悪すぎじゃなかろうか。なんで隣なんだ。なんで早速関わることになってるんだ。秋田くんは憐れむような視線を向けるんじゃない。
私辻村とどんなふうに話してたっけ。え、ていうか他人の目があるところではどうやって接するのが普通なんだ? 皆どんな風に接してるんだ? 誰かお手本を……あー、今日クラス割見るために早めに登校したんだった。クラスにまだ5人しかいない。辻村からに話しかけるような人間がいない。見本になる人間がいない。どうすればいいんだ。取り敢えず様つけすればいいんだろうか。確か美野里ちゃんたちは様つけしてたよな。
「…………辻村…………様………?」
口に出してみたら凄い違和感を感じた。何が楽しくて同級生を様付しなければならないのか。
「……」
「……」
辻村が無言で私を見つめてくる。
そんな悲しそうな顔するんじゃないよ。ごめんて。私だって違和感すごいよ。でも様付けしないと取り巻きが怖い。
「うん。仕方ないよね」
そう言って笑う辻村はまだ少ししょんぼりしていた。凄く罪悪感を感じる……。
暫くすればクラスの子が登校してきて、辻村の周りには人が集まってくる。辻村は笑い、周りの子との会話に当たり障りのない返事をしながら談笑する。私はそれを横目に秋田くんのもとへ移動した。早苗ちゃんたちもすぐにやってきて、また同じクラスになれたことを喜んだ。
「間切圭です!」
「北川京治です」
生徒会には新入生が二人入った。一人は圭だった。なんでだ。もう一人は大人しそうな少年。篠崎と同じく中等部から入ってきたらしい。
「二人入ってよかったですね、会長」
「そうだね……その呼び方すごく違和感を感じる」
東雲先輩に会長、と呼ばれた兄は苦笑いした。相良先輩が3年になったので兄が今年の生徒会長になったのだ。
「慣れてください間切会長」
「わかったよ東雲副会長」
今年の副会長は東雲先輩、書記は楠木先輩だ。楠木先輩は先程生徒会室の扉に頭を思いっきりぶつけてぶっ倒れたので今保健室にいるけど。
「生徒会楽しみ!」
「まさか圭が入るとは……」
「お姉ちゃんたち入ってるし、面白そうだったから!」
無邪気に笑う圭。可愛い。本当に可愛い……。お姉ちゃん、君に苦労させないよう頑張って働くよ……。




