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脇役らしく平和に暮らしたい  作者: 櫻井 羊
中学生編
107/232

30話



「あれ、東雲さんこれ置いて帰ってる」


 生徒会室に着いて各々帰り支度をしている中、会長の呟きが耳に入った。今日東雲先輩は早めに切り上げて銀杏会の離へ行っているはずだ。


「何か忘れ物ですか」

「うん。今日持って帰るって言っていた書類」

「急ぎですか?」

「んー、明日の学園祭実行委員との話し合いの前に確認しておきたいって言ってたからねぇ」


 じゃあそこそこ急ぎか。

 私は携帯を取り出し東雲先輩に「まだ離にいますか?」と送る。すぐに「まだいます」という旨の連絡が来た。


「まだ離にいるそうですよ」

「じゃあ私が帰るついでに渡してくるよ。ここの鍵閉めたいし」


 生徒会室の鍵は会長が管理している。あと職員。会長が不在のときは職員に開けてもらうことになっている。

 会長は東雲先輩の書類と鞄を持って廊下に出る。それに続いて私達も出た。下駄箱まで一緒に帰ろう、ということで4人で生徒会室をあとにする。


「人手不足、なんとかしたいね〜」

 これじゃサボれないや、と会長がぼやく。サボらないでほしい。まぁでも人手不足は否定しない。教師陣も手伝ってくれているが、彼らは仕事があるし、実行委員は別の仕事があるし……。猫の手も借りたい。

「今までもこんな感じだったんですか?」

「ううん。もう少し人数がいたから楽だったよ。私が高等部に上がる頃から人が減ってしまってね」

 何があったんだろう。

 それにしても、先程から感じる視線が気になる。後ろを振り返っても誰もいないし。なんなんだ。


「間切ちゃん? どうかした?」

 隣を歩いていた楠木先輩が不思議そうに私の方を向いてきた。その声に反応して前を歩いていた二人も振り返る。


「いえ。ちょっと後ろが気になって」

「何かいた?」

「何もいませんでした」

「なんなんだろうね」

「きっと気のせいですよ」


 私と同じくらいの目線にある先輩の目を見て答えれば先輩はそっか、と頷いてくれた。まだ視線を感じる。


「何かあったらちゃんと言うんだよ」

「大丈夫か?」


 前を歩く二人もそれだけいって再び歩き出した。足音はしない。視線だけ。なんなんだ。



「じゃ、三人とも気をつけて帰ってね」


 下駄箱を出たところで会長が離の方へと向かっていった。私達も正門まで一緒に行ったが、全員家が別方向なので直ぐに別れることになる。篠崎に至っては電車通学だ。

 正門を出る頃には視線を感じなくなっていた。










 数日後、掲示板に掲載された新聞部の号外には離に入っていく会長の写真と、それに伴うありもしない記事が書かれていた。




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