プロローグ4 ~旅立ちの時~
「君は異世界に興味はないかい?」
その言葉に一瞬だけ俺は耳を疑った、異世界といえば、ライトノベルなどでよく舞台となるアレだ
「異世界にって・・・まさか!?」
異世界に転生できるというのか!?
「あぁ、そのまさかさ!」
「君が望むなら特殊な能力を与えて異世界に送ることができる」
すげぇ!テンプレだ!まさかテンプレを実際に受ける立場になるなんて夢にも思わなかった!
「どうだい?一応もう一度聞くけど興味はあるかい」
「ありま・・・・」
しかし、答えようとして踏みとどまった。
元の世界で俺は死んだとはいえ向こうには家族と友達がいるのだ。
「あの・・・また質問があるんですけど・・・・家族と友達はどうしてるんですか?」
異世界に転生するということでテンションが上がっていたが、その確認だけは怠ってはいけないと思った
「あぁ、君の家族と友達だけど・・・・とても悲しんでいるよ、特に君が命を落とす瞬間まで一緒に遊んでいた悠斗君だっけ?・・・・彼は君の家族と同じかそれ以上に泣いているよ、
君は本当に大切に思われてたんだね、でも大丈夫、人間っていうのは悲しいことや辛いことを乗り越えて前に進むんだ、彼らもきっと乗り越えられるから」
そっか皆悲しんでくれているのか、そこは辛いけど少しだけ嬉しいな、
向こうに未練がないかといえば嘘になるが、皆が少しだけでも俺のことを覚えてくれてるならそれでいい
「はい教えてくれてありがとうございます」
でも俺はもう異世界に行くんだ・・・そろそろ無理にでも切り替えないと
「あの・・・特殊な能力というのは」
そう、今一番大事なことはどんな能力があるかということだ
「あぁ、四つあるから君自身に選んでもらうよ」
自分で選ぶとか凄くテンプレだなぁ
「はい!了解です!」
「それじゃあ、今から君の前に選択画面を出すから・・・あぁ操作はタッチパネルのようなものだから」
その瞬間確かに目の前に液晶のような画面が現れた、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
超魔力 RANK6 (人間の限界を遙かに超えた魔力を貯蔵&使用可能にする)
不死身 RANK8 (体が消滅しない限り絶対に死ななくなる)
全能 RANK不明 (全てに適正を持ち思い描いた魔法や能力を瞬時に習得、さら
に超魔力と人外の能力を得る)
人外 RANK7 (人間を超越した力を取得する)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・どういうことだ
目の前に現れた能力はどれも明らかに異常なものしかなかった
ていうか全能とかあるんなら超魔力とか人外とかだす意味ないだろ・・・
・・・・・全能にするか
「決めました」
「やっぱり、全能かい?」
今の言葉で分かった、この神様完全に全能以外選ばせる気なかったな
「もちろん全の・・・・」
しかし、ここでふと気付いた、俺は今度こそ努力をするために転生をしようとしているのに、こんな能力を持ってしまっては意味がないと
それにこれではあっちの世界で努力をしている人をバカにしているのと同じだと思う
「ちょっと待ってください、やっぱり能力はいらないです」
「え?どうして?」
「よくよく考えてみたらこんな能力をもらったら努力を否定することになると思うんです、それでは転生する意味が無くなってしまうと」
だからいらないですと言おうとした瞬間のこと
「やっぱりそう言うと思ったよ」
・・・・・・・・・・え?
「いやぁ、ごめんねちょっとだけ意地悪しちゃったよ」
「意地悪?どうしてそんなことを?」
「君の今度こそ努力をしたいという気持ちがホントか確かめるためだよ」
「だからこそ、こんな能力しか、選択肢にいれなかったんだ」
「けれども君はギリギリとはいえその誘惑に打ち勝った、君が能力はいらないって言ってくれるのを信じてね」
・・・・・・そういうことだったのか、でもそうやって試されたおかげでその気持ちが確かなものになったような気はする、しかし・・・・
「でも試されるとかやっぱり心外です」
「ごめんごめん、でもなぁ僕から仕掛けて置いてなんだけど少しだけ困ったことになったなぁ・・・・・」
どうしたんだろうか?
「困ったこと?どうしてですか?」
「いやぁ実はね、こうやって試したとはいえ選ばれた能力はしっかり与えないといけないんだよね・・・・・」
え?それは困る、あんな能力を貰ってしまえば俺はきっとまた努力をしなくなるだろう
「いや、まだ選びそうになっただけで正確にはまだ選んでないとおもうんですけど」
「本当にごめん、こんな重大なこと伝え忘れてて、この能力にしようという意思に反応しちゃうからもう変更ができないんだ」
ちょっとおおおおおおおおおお、何でそんな大事なことを忘れてたんだよおおおおおおおお
「本当にどうするんですかあああああああ、このままじゃ本当にさっきまでのことが茶番になるんですけどおおおおおおお」
「うん・・・・だからさ、この能力を弱体化するからそれで妥協してほしいんだ」
弱体化?あんなとんでも能力を弱体化してもあんまり効果はないんじゃないか?
「すいません・・・全能なんてどうやって弱体化するんですか?」
「これを弱体化すると可能性の種という君が望む努力に関する能力に変わるんだ」
あんな全ての努力を無駄だと言ってるような能力がどう変えれば努力に関するモノになるのだろうか?
「この能力を簡単に説明すると努力さえすれば絶対に無駄にならずに必ず結果がでるようになるんだ」
「僕は人が努力を諦めるのはやっぱりそれが無駄になることを恐れているからだと思うんだ、実際は自分が気付いてないだけで絶対に無駄なわけないのに、
・・・・流石に普通は空を飛ぶとかは無理だけど、この能力はそういった不可能が無くなるってだけなんだ」
つまり、しっかりとした努力をすればなんでも出来るようになるってことだ。
それなら少なくとも俺には後ろめたいことはない
「説明が長くなっちゃったけどこの能力を受け取ってくれるかい?」
「はい!もちろんです!」
こうして俺は可能性の種を与えられた
仕方ないこととはいえなんだか実感がない
それから暫く神様と話した俺はついに出発の準備が整った
「さて、それではもう出発の時間だけど・・・・最後に何か聞きたいことはないかい?」
最後に聞きたいことかぁ・・・・そうだ!
「じゃあ最後にあなたの名前を教えてください!」
その瞬間神様は少し驚いた顔をした
「そんなことでいいのかい?それならお安い御用だよ」
「僕の名前はゼティス、最上神ゼティスさ」
なるほどゼティス様というのか
「ゼティス様ですね、分かりました!」
「最後に一応伝えておくけど、教会に行けばいつでも僕とは話せるからなにか困ったことがあったらいつでも相談してね」
教会にいけばいつでも話せるのか、ゼティス様はいい人だし取りあえず街に着いたら教会に行こうかな
「それじゃあもう時間だ、準備はいいね?」
もう準備は万端だ、いつでも行ける
「行ってらっしゃい」
「行ってきます!」
こうして俺こと雨乃龍斗は異世界に旅立った
ーーーーーーSide???
ゼティスの野郎・・・・・・・・
たかだか下等生物である人間を一人日頃のイライラ発散でを兼ねた遊びで殺しただけで地獄なんかに落としやがって
俺様は神なんだ・・・・ならその力を自分の使いたいように使うのは当然のことだ
やりたいようにやっただけで上位の連中はいつもいつも説教たれやがって・・・・
ふざけんじゃねえ!
俺様よりも上位にいる連中は全員いつか絶対にぶっ殺してやる!
これは正当なる復讐だ!首を洗って精々待ってやがれ!
フハハハハハハハハハハハハハハ!
これにてプロローグは終了です。
ブックマークをしてくださった方、評価をしてくださった方、見てくださった方
ありがとうございます!
まだまだ続くので見守ってあげてください!