プロローグ1 ~当たり前だった日常~
俺の名前は雨乃龍斗、宮柄高校に通っている特記することはない至って普通の高校生だ。
家が金持ちというわけでもなければ、貧乏というわけでもない、
善人というわけでもなければ、悪人というわけでもない、
人気者というわけでもなければ、ぼっちというわけでもない、
ほんとに普通で中途半端な人間 それが雨乃龍斗という人間である
だがある日、そんな俺の身に普通ではない出来事が起きた
俺は眼を閉じてついさっきまでの出来事を振り返ってみることにした
それはある夏の日、いつものようにむかつく程に暑く、いつものように親友と遊びに行ったときのことだった、
「お〜い龍斗く〜ん、いつにも増して死んだ魚みたいな目をしているなぁ」
この如何にも馬鹿にしているようなしゃべり方をしてくるこいつは幼馴染で親友の中沢悠斗、まぁいい奴だ、幼稚園から中学までは同じ学校にいたが 高校からは別の学校に通っている
「悠斗ォ・・・・そりゃあ死んだ魚みたいな目にもなるだろうよぉ・・・・こんなにもクソ暑いなかじゃあ」
そう今日の気温は三十八℃を超えている、これで体力が尽きないはずがなく、今の俺の体力は殆どゼロに近かった。
そもそも何でこいつはこんなクソ暑いなか外で遊ぶぞとか言い出したんだろうか・・・・・
俺は思いきって聞いてみることにした。
「ホントになんでお前はこんなクソ暑いなか外で遊ぼうと思ったんだよ・・・・」
「そりゃお前、こんな日だからこそ外で遊ばないとだろう? お前は体力ないんだから」
「失礼だな! お前の体力が異常なだけで人並みにはあるわ!」
悠斗の体力が異常な証拠の一つにこの炎天下のなか三十分以上全力で走り回っておいて息切れ一つしていない。
「いやそんなことはないぞ、少なくとも俺の学校の連中は皆これぐらいじゃバテないから」
マジかよどんだけ化け物揃いなんだこいつの学校
「それはお前の学校の連中が異常なだけだ! 少なくとも俺はクラスのなかじゃ十一番目くらいには体力あるわ!」
まぁクラスの人数は二十人しかいなけどな
「意外だなお前は精々クラスで十八番くらいだと思ってたわ」
ホントに失礼だなこいつは・・・・あっよく見たらニヤけてやがる
「まぁいいだろう、今日はこの辺にしといてやる、明日はお前の行きたいところにいくか」
取りあえず今日はもう終わったようだ 明日は俺の行きたいところかぁ・・・・漫画とかラノベでも買いに行きたいな
「よっしゃあ!終わったあああああああ!」
ようやくこの灼熱地獄から解放されたと思ったら悠斗はとんでもないことを言い出した
「よし、じゃあお前の家で遊ぶか! 公園の出口まで競争な! 負けた方がジュース奢りだ! よーいドン!」
おいふざけんな、また走るのか
「おまっ・・・俺はまだやるとは言っt」
言い切る前に走り始めた
「オイイイイイイイイィィふざけんじゃねええええええ」
俺は全力で走り出す
「HAHAHAHAHA追いつけるものなら追いついてみるがよい!」
「ふざけんな! 負け確定じゃねぇか! 俺がお前に勝てるわけないだろ!」
それから三十秒後、俺は見事に惨敗した
「勝ったぜ、ジュースよろしくな!」
この野郎・・・自分が絶対勝てる勝負仕掛けてきやがって・・・そのうちぶん殴る
「お前・・・もう・・俺は・・・体力・・残って・・ねぇんだよ」
流石に体力を使いすぎてもうフラフラだったので悠斗に肩を貸してもらいつつ何か食べに行こうと思う。
丁度近くにハンバーガー店があったのでそこに寄って、適当に頼んで(ジュースは勿論俺の奢り)少し休むことにした。
「なぁ悠斗お前何頼む?俺は勿論シンプルにハンバーガーにするけど」
「俺か?俺はせっかくだからデカバーガーに挑戦しようと思ってな」
デカバーガーとは文字通りとにかくでかく全長十センチもあるモンスターフードである、比率としては肉が九で野菜が一の割合だ
「デカバーガーって・・・お前ちゃんと食いきれるのか?」
「食いきってやるさ、俺の命に代えても!」
食べ物っていうのは、生きるために食べるもので命に代えたらダメだと思うんだが・・・もうツッコむのはやめることにする
その後二人で趣味の話をしながら時間を消化した。 え?デカバーガーの結果?・・・・知らない方が幸せなことってあると思うんだ。
店を出て雑談しながら歩いているウチに横断歩道の近くまで着いた
「おっとあそこの信号ちょうど青になるな!走るぞ!」
先行っててくれ、俺はもう走りたくない
「おーい早くこいよーー」
悠斗のやつもう横断歩道を渡りきってやがる
やっぱり俺も急ぐか
「っおい!龍斗!早く戻れ!」
はぁ?戻れ?何言ってんだこいつ
ふと横を向いてみるとでかい鉄の塊が突っ込んできていた
「え?」
俺はそれがなんなのか理解する前に
「龍斗オオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
意識が・・・・・消失した・・・・・・・