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二時間目を待ちながら  作者: 白上 しろ
8/45

二時間目を待ちながら(8)

 ある日。二時間目を待ちながら。


 心春は机に筆箱の中身を出していました。そこに夏海がやってきました。

「何してんねん? 心春」

「うん。ちょっとね、筆箱の中、整理しようと思って」

心春の筆箱は大きいものでした。中にはたくさんの色ペン、キャラクターの消しゴム、動物を折った折り紙が入っているのに、普段よく使うシャーペンは一本だけでした。

「あぁ、確かに整理せんとな。無駄な物が多いわ」

「無駄な物なんてないよぉ」

「シャーペン一本だけやん」

「だってシャーペンは独身女性、ただしキャリアウーマン、だから」

「は?」

「それから色ペンが虹の子ども達で消しゴムと折り紙はかわいい動物達と妖精達。みんな筆箱の中に住んでるんだよ?」

「痛い! 待て、心春。なんか痛々しい……」

夏海の制止も聞かず、心春は話を続けました。

「授業が分からなくて目がぐるぐる回ってる時、この子達が『頑張れー!君は、本当は出来る子だ!』って応援してくれるの」

「心春、ちょっと、もう…… 大丈夫か?」

「大丈夫です!」

心春はわざとらしく敬礼した。

「勉強ばかりだと大変だから、こういう事すると、ちょっとした気分転換になるでしょ?」

「まぁ、筆箱の妄想は心春だけかも知れんけど」

「ねぇ、夏っちゃんの筆箱も見せて」

「え? まぁ、ええけど」

夏海は筆箱の中身はシャーペン二本、鉛筆一本、消しゴム一個、ものさし、分度器、コンパス、赤と青のボールペンが入っていました。すべて実用的なシンプルなデザインです。

「わぁ。夏っちゃんは職人さんだね」

夏海はさっきの心春を真似て、胸を張り敬礼して言いました。

「職人さんではありません! 学生です! 現役、ピチピチの!」

心春も同じく胸を張り、敬礼して言いました。

「『現役、ピチピチの』という余計な言葉は要りません!」

「要ります! 大事です!」


二時間目開始のチャイムが鳴りました。


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