第二十話
朝食後、綾香に質問される。
「ところで、彰人君あの制服、何処から借りてきたの?」
「ん? ああ、学校にあった」
「……へ?」
「多分、見本かなんかじゃねぇの?」
そして、綾香に”聖光弓一線”を向けられながら言葉を浴びせられる。
「返してきてっ。今すぐにっ」
「わわ、分かったっ。返して来ますっ。ソレ、ヤメテクダサイ!」
今朝も既に一発受けている彰人。
すぐに、制服を元の場所へ返す事にした。
――三十分後――
制服を持って、家を出て行った彰人が帰ってきた。
「戻してきました。綾香様っ」
「様とかやめて」
「綾ちゃんっ」
「撃つ?」
”聖光弓一線”を構える綾香。
「すまん、綾香」
それを聞いて、綾香は 嘆息しつつ、術を解いた。
「で、これで俺は晴れて、制服無しになった訳なんだが……」
「……こっち。ちょっと、古いかもだけど……」
そうして、綾香に連れて行かれたのは、綾香の家の物置だった。
「えーっと、うーん、確か、この辺りに……あっ、あった」
少し、古ぼけた制服。それを綾香が探し当てたようである。
「何で男物があるんだ?」
「うん。お母さんのお父さんの、兄弟のお孫さんが使ってたんだって」
(何故、そんな遠縁のやつの物がある……)
「うーん、丈は……どうかなぁ?」
「着てみんと分からんが……少し大きそうだな」
「じゃ、着てみて」
綾香にそう言われ、彰人はその場で着替えようとした。
「えっちっ! ちゃんと自分の部屋で着替えてっ!」
「俺は……そんなに、エロじゃない……」
そう嘆きつつも、客室、今は自室となってしまった部屋に戻り、彰人は制服に着替えた。
そして、着替え終わって、部屋を出る。
「うーむ。やはり少し大きいぞ」
「そうだねぇ。でも、それくらいなら、詰めれば良いんじゃないかな?」
「俺、裁縫できん」
「…………はぁ。私やるから…………」
そうして、裁縫道具を自室から持ってきた綾香は、彰人の客室で、ちくちくと服を調整した。
「器用なもんだなぁ」
「こ、これくらいは。う、うん。ありがとぅ……」
なんだかんだと、彰人の世話をしてしまう綾香であった。
「はい、終わり。じゃ、着てみて」
「ああ。あー、脱ぐけど、良いのか?」
少し、分かり始めた彰人。
「あ、う、うん。じゃ着替えたら言ってね」
そして、着替えてみれば、見事にぴったりになっていた。
(見事なもんだ。ぴったりじゃん)
それを綾香に告げ、元の服に着替えた彰人。
借り受けたハンガーに、その制服は掛けた。
「じゃあ、今度は〝残滓〟探すのに付き合ってくれる?」
「ああ、もちろんだ」
こんなに色々やってもらったのだ。
恩を返さないといけない、と考える彰人。
「ところで、その彰人君の服なんだけど……」
「ん? これか? 目立つかな?」
「んー、変わったデザインだけれど、ほとんど黒だから、そんなに目立たないと思うけれど。あれ? それ以外の服は?」
「無い」
それを聞いて、またも「ひえっ」っと言いながら、後ずさりする綾香。
「無い物は無いから仕方ないじゃねぇか」
「………………はぁ」
綾香は溜め息をつきつつ、今度は彰人の普段の服、そしてついでに下着等も用意した。
それは、父親の物であったが、背格好が同じくらいの彰人には丁度良いと思ったからであった。
「これ着て。で、その服、洗濯するから、貸して」
「あ、ああ。その、何か悪いな。色々と」
「不潔な人が前の席に居るよりマシだもん……」
その言葉で、ちょっぴり傷つく、彰人であった。
綾香の父親の服に着替え(下着も含め)、今度こそ、普通のここの街の住人らしくなった彰人。
綾香もようやく納得して、二人は〝残滓〟を探しに学校の方へ向かっていった。




