悪夢の1ヶ月目
レインのパーティは最初男3人女3人だったそうだ。勇者であるレインが前衛、身軽なエルフの男が斥候及び牽制、頑強な騎士が盾役、王都の神殿にいた巫女が回復全般で、残り2人は巫女の侍女兼雑用係でそこそこ上手くやっていたようだ。
ところがある日の戦闘で侍女の1人が大ケガを負い騎士に護衛をしてもらいながら戦線を離脱した。代わりにパーティに入った侍女が巫女のライバルで対抗心の強い人だった。その為、今まであった女性陣での巫女を立てる風潮が無くなってしまった。
さらに騎士はライバル侍女の家をあまり良く思っていない家の息子だった。そのため騎士はライバル侍女に当て付けるかのように巫女を優先する。見かねたレインがライバルを気遣うと勇者に淡い思いを抱いていた巫女は面白くない。最初からいた侍女もライバル侍女を見て侍女でもレインと良い仲になれるなら私もとなる。
だんだん険悪になっていく時にエルフがやらかした。女性問題は女性が解決のヒントだと言って、パーティをエルフ姉と入れ替わったのだ。しかしエルフ姉は若い子どもが好きなタイプだった。当然レインにアタックをするようになる。結局ややこしくなっただけである。それならばと弟がパーティに戻ろうとしても無駄だった。やがて旅を続けているうちに当て付けやら当てこすりやらが恋に変わったらしく、ここにハーレム勇者?が誕生した。ここにきてレインも焦って男のパーティメンバーを募ったが、誰もこんなに拗れたパーティには入ってくれなかった。
そして騎士はいつの間にか女騎士に代わっていた。巫女と騎士の仲を心配した神殿が後宮の護衛から引き抜いた女騎士に変えたらしい。この女騎士は婚活中だったそうで側室で良いからと常に迫っている。ここまでくればもう立派なハーレム勇者になっている。最後に僕の加入で現在のパーティの完成である。
レインは認めたくない様だが、僕も周りから、いやハーレム女達から見てもレインへの恋のライバルになるようだ。
僕が可愛いのは分かる。僕の服装では性別が分かりにくいのもある。いつも宿屋ではレインとの二人部屋なのも男同士だから当然だと思う。だけれども誤解は止めて欲しい。「オレにはお前しかいないんだー!」とか騒ぎを大きくするだけだよレイン。いくら女性不信になってもそれは言わない方が良かった。いい加減嫌になって僕達の部屋から出そうとしたのは悪かった。けれどそんな風にすがられると余計に僕への風当たりは強くなると思うよ。