夢は叶えてください
少し夢見がちな性格だった。
子供の頃からそうで、テレビに映る偉業を成し遂げた人物達を見る度にそれぞれ「この人になりたい」と都合良く言っていた。
中学に上がると流石にそこまではいかなかったが、多分無意識のうちに教科書や本で読む偉人たちに憧れを抱いていた気がする。
そして高校に上がった今も、やはり俺は"夢"を見ていた。
だが幼少期から中身の無い発言ばかりしていたせいか、夢の中はとても薄っぺらい。
やれ金が欲しい、やれゲームがやりたい、やれ未来に行きたい過去に行きたい。
どれも真剣じゃない。
現実性が皆無。
やがて俺は、俺の言う"夢"はただの夢なんじゃないかと思い始めた。
妄想。
つまり全てが嘘で、どれも現実に起こる事象では無いし起こり得る事象でも無い。
俺が寝ている時にでも無意識のうちに考えていて、それらは俺が漠然とした自意識で夢と語っているだけなのかもしれない。
口から出任せだった。
冬休みを経た三学期のこと。
家族とも普通の間柄で、友人関係もそこそこで特に何不自由無い生活を送っていた。
なのに、毎日のように俺はさらに何かを欲するように口を開けば"夢"を語る。
それはただ無意識のうちに考えてしまっている、中身のスッカスカな夢だと言うのに。
俺はある時言っていた。
『彼女欲しいな〜』
と。
けれどそれも、何時からか"夢"が夢に変わってしまい決して現実に起こることでは無くなったモノだ。
「……っ!?」
でも俺には、彼女が出来てしまった。
相手はクラスメイトの子で、その日までは会話を交わすどころか顔すら見たことが無いような間柄だった。
だが初対面の俺に対して、彼女は臆する様子もなく声をかけてきてくれた。
初めは「ちょっと可愛いな……」程度だったが、彼女と話をすることで段々と俺は彼女に惹かれていったのだ。
そして俺達は付き合い始める。
まさかただの夢物語が現実に起こるとも思っておらず、その場で俺はつい自分の頬を力の限りにつねってみせた。
案の定痛いだけで夢から覚めることは無く、また「ドッキリでした〜」みたいなことになりもしなかった。
「……はぁ」
彼女と付き合い始めてしばらく。
学校では恥ずかしいという彼女側の意向に沿い、あまり校内では会おうとはしないことにしていた。
そしてその休み時間は、クラスメイトで友人の男連中と過ごしていた。
「お前、最近変わったよなー」
「あ?」
一人が前の席にこっちを向いて座り、もう一人が隣の机にもたれ掛かって立っている形で集まっている。
その中でも、俺と対面している方のヤツがふとそんなことを言ってきた。
言葉の矛先だった俺は、ボーッとしているところから急に意識を元に戻された感覚に陥る。
「前までは隙あらば『あれやりて〜』『これ欲し〜』『あれ買いて〜』とか言ってたのに」
「あー」
そう言えばな、と何処かに視線を投げながら心の中で俺はヤツの言葉に頷いていた。
彼女と付き合い始めるまでは無意味な呟きばかりをしていたが、今ではだいぶ抑えられてきた方だと思う。
きっと、彼女というハッキリとした『目的』が見つかって、変な夢も見なくなったんだろう。
「そういえばなー」
横にいたヤツも、さっきの言葉に同意するように頷いている。
一体前までの俺はどんだけ口数多かったんだよ……
こうして独り言にも等しいそれが減ってきた今だからこそ、今までの口が減らなかったという俺のことが恐ろしく思えた。
「確かに色々言ってたなー俺。いつから言わんくなったんだろ」
俺も一応、無自覚だった体で彼らの話に頷く。
本当にさっきまでは無自覚だったし、まぁ自分から無駄口を減らしました何て言うもんでも無いなと思った。
すると二人は「いや知らねーよ」「まぁなんでもいいけど」と、これ以上この話題で話を膨らますのを止めた。
どうでもいいようなことだったから当たり前か……
「……」
とは思いつつも、こうも素直に片付けられると少し釈然としない。
自分のことが話題として飽きられてしまったから憤りを感じたのか。
それとも、彼女が出来るまでの俺が語っていた夢がまだれっきとした"夢"だと、心の何処かで思っているからなのだろうか。
どちらにしろ彼女という"夢"を叶えてしまった俺には、もう分かることが出来ないことだった。
■ ■ ■
「今日も帰りましょうか、ユメトくん」
「あぁ」
授業を終えて生徒は下校する。
それぞれが男友達と帰ったり一人で帰ったりする中で、俺はいつものように彼女との帰路に就いていた。
この時間だけは二人きり。
俺と彼女だけの時間だった。
車の走るモーター音や人々の話し声、それら生活音や風の吹き抜ける自然の音達が辺りをひしめき合っている。
だが周りのことなどお構いなく、俺と彼女は今日あったことを語らった。
「──でさぁ、アイツら俺が変わったとか言うんだよ」
何とはなしに、今日少し話題に上がった最近の俺についてのことを話す。
「ん〜。確かに変わりましたね?」
「……」
どうやら彼女もその変化とやらに気付いていたらしく、微笑みながらこちらに顔を覗かせてきた。
少し釈然としない。
あの男連中と同じ意見を俺の彼女が抱いていたからか、単に女の子から──しかも彼女か、からかうような調子でそう言われたからかは分からない。
ただ、俺もからかうような口調で返事を返した。
「はー、何だよお前から変わったからって俺のこと嫌いになったとか言うのかー?」
言っておいて、少し気色の悪いことを言ってる自覚を持つ。
だって「俺のこと嫌いになったとか言うのか」……とか、それこそ昔の俺なら「リア充にも程があるだろ」と煙たがるように笑っていただろう。
そんな俺はさておき、はっと目を見開いた彼女は、尚も笑顔を絶やさずに柔らかく口を開いた。
「ははっ言いませんよそんなこと。ずっと好きですよ」
「…………」
「ん、どうしました?」
「……いや別に」
彼女からのフォローの言葉を受けた俺は、つい歩いていた足を止めてしまう。
だがすぐさま平静を装って歩き始める。
俺は返事を返すことが出来なかった。
恥ずかしかったから。
彼女にそんなことを言われて、恥ずかしかったから!
「あっ! ユメトくん赤くなってる〜!」
「は、はぁ!? んな馬鹿なことあるかぃ!!」
「怒ってるのがいい証拠〜っ!」
恥ずかしさのあまり、顔を手で隠そうとする。
だが彼女にバレるともっと恥ずかしいから、と手を顔の辺りでそわそわさせていると結局当の本人にバレてしまう。
声はからかうような調子で、でも顔は女神のように全てを包み込む優しい笑顔。
それを見て、怒りを先行した可愛さに胸打たれたのか体の熱がより一層増すのを感じ取った。
追い討ちをかけるように、彼女もまた頬に熱を篭らせた俺を見てからってくる。
「く……っ!」
何をどうすればいいのか分からなくなる。
さらに怒りは込み上げるも、これはもはや完全な悪意に対する怒りなどでは無い。
子供のように恥ずかしさを隠そうとする、ただの八つ当たりみたいなものだった。
そのことに気付いた俺は、彼女からダッシュで逃げた。
「ちょっと、ユメトく〜ん!」
「……!」
彼女の方は彼女の方で、俺を呼び止める声の中にも未だ楽しさを篭らせている。
それが余計に俺の気恥ずかしさを助長し、もう今更立ち止まることは許されない状況とさせた。
本気で走った。
「ユメトくーん!」
背後から一際大きな声が掛けられる。
そんな彼女の声には、さっきまでの楽しそうな声音は感じられずに少なからず真剣さが帯びているように思えた。
振り向くこと無く、だが俺の足は無意識に止めさせられる。
「今度何の日か知ってるー?」
「……今度?」
そう言われ、俺は一人で考える。
今日は2月の2日。
比較的に冬という季節は目立ったイベントが無いイメージがあるから、多分国民的な行事じゃない。
脳裏をよぎったのは、二人組の男女が楽しそうに何かを手渡している構図だった。
…………。
俺は、何となく答えを見当つけながらも無言のままでいた。
すると再び後方から声が響いてきた。
「バレンタインデーだよっ!」
「……やっぱり」
そこでまた、俺は少し恥ずかしくなった。
異性と恋仲になり、俺も世に言うリア充というものになったわけだが、あんまりそういった感覚は無かった。
けれどもバレンタインデーと彼女に口にされ、もろにリア充という実感が俺を襲ってくる。
別にどうということは無い。
ただ、前までは俺も『彼女が欲しい』と夢見ていた人間だったことを思い出しただけだ。
「バレンタインの日まで、楽しみにしててねーっ!」
彼女が、それこそ楽しそうに声を大にして言った。
「……? あ、あぁ……」
バレンタインの日はてっきりチョコを貰う男側が楽しいもんだと思っていたが、チョコを渡す女側も楽しいんだな。
変な気持ちになり、彼女に届くわけでも無いのに俺は返事を返した。
そして彼女が「それじゃあまた明日ね!」と言ってきたから、俺も振り向きはせず手だけを挙げてその場から走って帰った。
「……」
その日の晩。
家族と夕飯を済まし、風呂も入って後は寝るだけな状態で俺は自室にあるベッドに寝転がる。
そしてふと、何故女側もバレンタインデーを楽しみにするのかを考えていた。
「……きっと、チョコを渡したい人がいるから楽しみなんだろうな」
そういう結論に至った。
「…………」
……ちょっと恥ずかしい。
というか、だいぶ恥ずかしいなそれは。
体がまた熱くなり、少し額に汗をかく。
風呂上りのせいなのか、はたまた別の要因なのかはこの際分からないことにしておく。
「は、ははー! 変な夢見てんなー俺ー! もう寝るっ!」
電気を消して全身に布団を被る。
本当に熱かったせいで暑苦しさを感じながらも、俺はその数分後には簡単に眠りへと就いていた。
■ ■ ■
帰りの時にだけ一緒にいるような、決して一般的では無い恋人生活を送って日数は経つ。
2月14日。
彼女があれからも度々言ってきていた、女子から男にチョコを渡すというあの日がやってきた。
学校に着くと真っ先に友人らが「チョコねーよぉ!」と下駄箱を開けて嘆いたり、また「全然チョコやってこない」などと休み時間毎に呟いたりしていた。
一見して楽しそうなのは男側だっけだったが、やはり女側もそれなりに楽しそうにしている。
ある女生徒は恋仲では無いものの、想いを寄せている相手にドギマギしながらチョコを渡し。
またある女生徒は、カップル同士なのか特に恥じらいも無くチョコを渡して二人して食べている。
「……」
そんな光景を、ただ漠然と授業が終わる度に俺は見ていた。
チョコを渡す方もチョコを渡される方も、皆一様に何かしらを想っているように見える。
それは、例えば『義理チョコ』や『友チョコ』または『本命チョコ』といった、何かしらの意味が篭ったチョコが受け渡されているからだ。
「……」
果たして、俺が今まで思ってきた"夢"にそこまでの想いがあっただろうか。
あの日、いつもの日常のぼやき程度で口にした言葉。
今はそれが叶っている。
けどそんな軽い気持ちで見ていた"夢"が叶ってしまって、本当に叶ってよかったと思えているだろうか。
それに、そんな安易な気持ちの俺と付き合っている彼女は、果たして報われるのだろうか。
「…………」
バレンタイン色に包まれていた学校での時間も終わり、今はすっかり校内に静けさが戻っていた。
俺は机から一枚の手紙を取り出す。
それは、昼休みのうちに入れられていたであろう彼女からの手紙だった。
内容は、
『放課後、屋上に来てほしい』
とだけ。
教室は愚か、学校のどの場所でも絶対に会おうとはしなかった彼女がまさか校内に俺を呼び出すとは思ってもみなかった。
「……はぁ」
用件は書かれていないが、恐らく今日の流れで言えばアレだろう。
あの、女子から男に渡す……あの愛の結晶、的な……って何を言ってんだろうか俺は。
ちょっとテンパっていた。
「……行くか」
教室に誰もいなくなってから、俺は一人教室を後にした。
屋上まではそう遠くも無く、二年である俺や彼女の教室が三階にあり屋上は四階の上。
つまり階段を二階分昇ってしまえばすぐに着いてしまうような、ごく短距離の場所が目的地だった。
だがその距離が、今はいやに長く感じる。
彼女に会いたい。
でも、今彼女に会うのは少しキツい。
そんな心情が、恐らくそういった錯覚を俺にもたらしていた。
俺は気恥ずかしさを拭うと、彼女に会いたい気持ちを無理矢理奮い立たせて階段を駆け昇る。
少し開いている扉を見てゴクリと生唾を飲み下し、ドアノブに手をかけるとそのまま屋上へと押し入った。
「……」
「おはよう、ユメトくん」
「あぁ。おはよう」
屋上にいたのは、俺の好みド直球の黒髪のストレートヘアーを大きくなびかせている俺の彼女だった。
何故夕方にも関わらず「おはよう」なんて挨拶をしているかと言えば、いつも帰りの下校でしかまともに顔を合わせないからだ。
一日の初めの挨拶が夕方だった。
どうせなら朝も一緒に登校出来れば、と話を切り出したこともあったが、彼女の方がそれを拒んだために今のような形に収まっている。
「……」
扉を閉め、彼女の方へと歩いていく。
すると彼女の方もまた、俺の方へと口を閉ざしたまま歩み寄ってきた。
彼女がいつもよりもちょっと萎らしく見えるのは、きっと後ろ手に何かを持っているからだろう。
こういうのは彼女にすべてを委ねようと決め、俺はそれに気づいていない様子でいる。
お互いに足を止めると、お互いを見つめ合った。
「……ねぇ、ユメトくん」
気遣いとは裏腹に、どことなく彼女は落ち着いているように思える。
それならそれでもよかったのだが、何だか少しだけ面白みが減ってしまった、と思うのは少し意地が悪いか。
後ろの手を少しガサゴソさせた彼女の瞳は、ハッキリとこちらを捉えていて決意が固まったことを否応無く理解させられる。
変に緊張して、俺も空いた手を頭の後ろに回しては意味も無く後ろ頭を掻いた。
彼女は静かに、背中に隠し持っていたモノを前へと突き出した。
「はい、手作りチョコ」
「……は?」
俺は戸惑ってしまうものの、強引に握らされたチョコが入っているであろう包装を見て呟きを漏らした。
もちろんバレンタインでは手作りチョコを渡すのが普通だというのは知っているが、そうでは無い。
「お前、料理苦手とか言ってなかったか……?」
俺の彼女は料理が苦手だった。
いつしかの帰り道で、そんな話を聞いた覚えがあったのだ。
そんな彼女は、首を横に振る。
「うん苦手。……でも、ユメトくんのために頑張ってみようと思ったの」
「……!」
そう言った彼女の表情は、いつもよりも真剣で想いの篭ったものだった。
この時に確信する。
俺の彼女は決して、生半可な気持ちで"夢"を見ていた俺なんかが付き合っていいような女の子では無かったことを。
この子と知り合うまでは中身の無い、まるで妄想みたいな"夢"を見てきた。
だが彼女は、そんな夢よりも強い確かな想いを持って俺の恋人になってくれている。
「……ダメだ」
「ん? どうしたの?」
俺の夢なんかを、ハッキリとした"夢"を見ている彼女のような人で叶えちゃいけない。
「……俺と一緒にいちゃダメだ」
「……どうして?」
「……俺は、君とは釣り合わない」
「……そんなことないよ」
どうして君は、俺なんかを好きになってくれたんだ。
とても君の想いを……俺は背負い切れない。
「……とても君の想いを、俺は背負い切れない」
「私はユメトくんのことが大好きだよ」
「…………どうして、俺のことをそう思うんだ」
彼女がそう言ってくれているのに、そんなことを訊くのは卑怯なことだと思った。
だが、こうしないと全てが解決しないとも思った。
俯いていた俺の言葉に、彼女は答えた。
「だって、ユメトくんが私のことをそう想ってくれてるからそう思うんだよ」
「え……?」
いったい何を言っているのか今の俺には理解が出来ずに、無意味な声だけが零れた。
ここまで拒んでいるのに、何でそう思えるのか。
突然の告白に思わず顔を上げたその先には、彼女が変わらない真剣な表情でこちらを見ていた。
「ユメトくんは、私のことどう思ってるの?」
あの日までは無意味に、無駄な夢ばかりを俺は見ていた。
"夢"とは本来、近い未来にでも遠い未来にでも『こうなりたい』という強い思いを持って見るもの。
けど俺は、そんな"夢"は持てずにただ無意識の中で真剣さも現実性も無い夢を見ていた。
そんな中、初めて出会った彼女に俺は惹かれていった。
そして好きになった。
「……」
その思いだけは、例えまるで中身の無い夢を見てきた俺にでも確固たるモノとして留まっている。
恋人が好きと言ってくれた。
それだけで嬉しい。
なら、男の俺はなんて答えてやるんだ。
「俺もお前のことが好きだ」
例え"夢"が持てなかったとしても、彼女のことを好きでいるぐらいは俺にも出来る。
片手に持ったままだったハート型の箱を握って、より深く俺は彼女の想いを胸に刻み込んだ。
自然と浮かんでいた、目尻に溜まったそれをチョコを持つのとは反対の手で拭う。
「大丈夫だよ。もう、ユメトくんはちゃんと"夢"を持ってるから」
「……え?」
だがその手を払い目を瞬いた時。
もうそこに彼女の姿は無かった。
彼女が立っていたそこには、何一つとして彼女が存在していたという痕跡は残っていない。
まるで、夢だったようだ──
■ ■ ■
「──…………んぁ?」
目を覚ますと、窓から射し込んだ日差しがベッドの上を眩く照らしていた。
外からは雀の鳴き声や、早めに家を出たのか学生達の声が、様々な音が部屋の中にまで響いてくる。
上半身を持ち上げて片膝を立てた俺は、ボーッと日に照らされる掛け布団を目を細めて見ていた。
「…………」
眠たさの残る目を擦り、何とはなしに頭を働かせる。
普段はあんまりこういった『目覚めのいい朝』というものを感じることは無いため、今日だけは何だか目覚めがいいような気がして不思議な気分に陥る。
「……夢でも見てたのか?」
頭がスッキリとしているのは、よく熟睡出来たという証拠。
なら、最近はあまり見ていなかったが夢でも見ていたということなのかもしれない。
「……」
まぁでも、忘れてるなら意味無いよな。
人間は毎日のように夢を見るが、その殆どを忘れているとか聞くし、夢には対した意味なんて無いんだろう。
俺は、けれどもう少し寝ていたい気持ちも持ちながら温もりの残るベッドから身を剥がした。
青のカーペットを歩いて一直線に向かったのは、部屋の片隅にある愛用の勉強机。
立ち止まると、机の方に手を伸ばした。
「おはよう」
そして置きっぱなしになっているハート型の箱を見て、俺は今日初めての挨拶を交わした。
今回の短編は、更新日時のようにバレンタイン短編となっておりました。
前回のバレンタイン短編は前後編と長くなってしまい、それを反省点に踏まえて今回の「夢は叶えてください」が生まれました。
初めにこの話を書くにあたって、『とりあえずシンプルに』を念頭に置いてました。
だから夢オチなんです。
しかし、ややこしい話を書くのが好きな自分でも納得出来るような作品になったと思ってます。
もうちょっと詳しい話は割烹か何処かでしたいと思ってますので、よろしければ覗いてやってください。