目覚め
スラウゼンの街の近くまでやっとの思いでたどり着いた。この街で力を蓄えるつもりだ。しかしあれから休まずに歩いて来たために体力の限界で倒れこむ。
○
「あん?ここは...」
「お、おい起きたぞ!」
「ほんとか!?」
「倒れてたからびっくりしたよね」
少年はある部屋の中で目が覚めた。そこには3人の同い年くらいの男女がいた。
「ここは彼の家だよ。あ、僕はアンブラだよ」
「俺はランディ、この家は俺ん家だ、よろしくな!」
「私はアメリア。よろしく」
アンブラは優しそう、ランディは頼りになりそう、アメリアは可愛いが無愛想といった印象を受ける。この3人が助けてくれたようだ。
「俺は...」
(俺は誰だ?◯◯とは違う。変わったんだあの何も出来なかった奴とは)
「俺はユーシスだ。助けてくれた事感謝する」
まずは感謝の意を伝える。第一印象は大事だからだ。たとえ相手がただの踏み台だとしても。
「いいって事よ!俺たちは今から友達だ!」
「そうだね」
「そうなんだ」
「ありがとう。うれしいよ」
勿論ユーシスは嬉しいなんて思ってもいない。
「実はなアンブラの親は商人なんだぜ」
「へぇ〜なるほど」
(商人か...利用価値はあるかもな)
「ちょ、ちょっとそんな威張る事はないでしょ!」
「いや、本なんて物を扱ってるんだ。凄いだろ?」
「本か!?」
(本!?これは...)
「是非会ってみたいな。ほら、俺さ家ないんだわさ」
「「「なるほど〜」」」
「それならここから帰るときについてきなよ!」
「!それは助かる、ありがとう」
それからはいろいろなお喋りをして解散となった。
「じゃあねー!」
「おう!またな」
「じゃーね」
「またな」
「それじゃユーシス、行こうか」
「ああ」
案内されたのは古びた様な店だった。おそらくは古本屋ということだろう。
「パパただいまー!こっちはねユーシスっていうんだ、友達」
「こんにちは、私はユーシスと申します」
「そうか!アンブラをよろしくな」
「はい!ところで、家がない物で...ここで働かせてもらえないでしょうか?」
「寝床を提供する代わりに店の手伝いか...いいぞ!アンブラと仲良くしてやってくれ」
「はい、もちろんでございます」
○
ここで身体を鍛え、知識を蓄え7年が過ぎた。ユーシスは15歳、軍に入れる歳だ。何故ぶっ壊そうとする国の軍に入るのかといえば、国境を越えるためだ。現在エレシエル王国ときな臭くなってきているので国境の警備が厳しい。なので戦争になったら寝返ってエレシエルへ渡るつもりなのである。そのためには、まず百人隊長くらいにはならなければ不可能だろう。だからひとまずの目標は百人隊長である。
「成り上がってみせるさ。何故ならそれは通過点に過ぎないのだから」
◯
ここは真っ白な空間。
スラウゼンに着いたと思ったら倒れた時の夢だ。
「やぁやぁやぁ、君はなかなかに面白い」
「誰だ...?」
「ん?私の事ですか?私は神の代行者でございます?」
「神...?」
「まぁ、私の事は置いておいて。貴方これからどうするのですか?」
「もちろん、僕はロマリアに復讐する」
「どうやって?」
「力を持ってして」
「その力は?」
「ない...」
「貴方の想いはそんな物なんですか?」
「違う。この想いは本物だ。ロマリアをぶっ壊す。」
「その想いや良しぃ!私の事を悪魔と呼ぶ方も多いんですがね、私は相手が望むことをしているだけなんですよ?今回は貴方に知識を与えましょう。」
「知識?」
「そう!よく地球という所から転生者が来たりするんですが、その地球での知識です。この世界ですとおそよ1500年程先の知識になりますよ。
あいつらが魔力なんて与えた所為でな...」
最後の代行者の呟きは誰にも聞こえない。
「うっ」
少年は激しい頭痛に襲われる。
「これが知識ですよぉ!」
「なるほどな。これはなかなかに良い物だな。ふ、ふはははははははははは」
今ここに地上での悪魔が目覚めた。
はい!
どうでしたか。ただの村人だった人が戦で活躍出来ないと思うので、知識と狂気を武器にしました!