告白 ☆
「おーい!新入りそれ終わったらこっちも手伝ってくれー」
「はーい!分かりましたー」
僕が目覚めてから数日がたった。エイナのお気に入りと皆には認識されているみたいでトラブルは起こらなかった。エイナってなかなかの地位にいて、なおかつ人望もあるなんてすごいや
○
「エイナ!来たよっ」
「ジェスか、最近どうだ?困った事はないか?」
「うん平気だよ、むしろ心地よいくらいだよ!皆には良くしてもらってるし」
エイナは少し考える仕草をしている。首を少し曲げ、顎に手を当てる。そうしているのをみると百人隊長エイナじゃなくて女の子エイナって感じだ。
「よし、少し稽古をしよう。どうする?」
「もちろんやります!」
僕は思った、こんなに幸せな生活がずっと続けば良いと。そして、引っかかる。何かの違和感。この違和感の正体は分からない。
○
どのくらいできるか見るために素振りをしてみろと言われたので、素振りをしています。そろそろ50回はいくんじゃないかな...と思いつつエイナの方を見てみると、
「...」
ガン見されてました。
「エイナ?どうしたの?」
「はっ!?ジェス、お前剣を持った事は?」
「記憶だと初めてだよ」
「ふむ、前はエレシエルの兵士だったのかもな。動きが綺麗だ...」
えっ...僕がエレシエルの人間だったらどうするの!?放り出すの?
「...」
エイナは慌ててフォローしてくれた。
「い、いや!そういうことじゃないんだ。記憶がないのだろ?なら良いじゃないか!」
「...ありがとう」
「よし、じゃあ試合でもするか」
「僕が勝っちゃうかもね」
「バカ言うな、私に決まっている」
僕らは笑い合い、自然と勝負は始まった。
ここでまた一つ、違和感が大きくなった。
○
さらに数日が過ぎたある日
え?試合?はいボロ負けでしたよ。もうそりゃ完膚なきまでに。
そして決心した事がある。毎日エイナと会っていてやっと認める事が出来たんだ。恋をしてるってね。今日告白しようと思います。
「エイナ...後で少し話があるんだ」
「?わかったわ」
本当はプレゼントとかを渡したかったんだけどあいにくここへ砦。軍人施設な訳でお店なんてないんですよ。さらに言ってしまえば僕は一文無し。仕方のない事です。
時間ってこんなに早く過ぎる物なんですね。もう約束の時間です。
「ジェス...話って?」
「エイナ、君には本当に世話になった。僕のような素性も分からない男の面倒を見てもらって。ここにおいてもらって。毎日僕と接してくれて。どうにかして記憶を取り戻そうと努力してくれてたんだよね。ありがとう。
貴方が好きです」
エイナは...びっくりしている様だ。
ふ..ざ.る.
ん?今何処かから声がしたような?
「ジェ、ジェス本気なの...?」
「ああ」
「私の事が好き?」
「誰よりも」
「私、軍属だよ?」
「構わない」
エイナが抱きついてきた。僕が本気の愛情をぶつけたのが初めてであるように、エイナも本気の愛情を受けるのは初めての様だ。
「うれしい...」
「僕もさ、こんはに可愛い女の子と両想いになれるなんて」
「こ、このあt」
「報告!エレシエル王国の兵が山に集められているとの事です。あそこを取られると劣勢になるのは必然、軍団長様の命令によりエイナ様に戦線へ向かって欲しいとの事でした」
「分かったわ。ジェス、ごめんね急用みたい」
「うん、頑張ってね」
別れる前にもう一度ハグをした。
○
ぐっすりと眠れそうだ、もう寝よう。
と、ここは夢?真っ暗で何も見えない。
「ふざけるなよ」
いきなり声がしたので咄嗟に返事をする。
「な、なに?」
「あの女と付き合うのか?」
「そうだよ!」
「アンナはどうした?」
また『アンナ』か...誰なんだアンナってのは!?
「誰のこと?」
ここで声の相手の感情メーターが振り切れたのだろう。
「アンナは!俺たちが愛しているただ一人の女だ!」
「僕が愛しているのはエイナだけだ!」
「...くくく、お前はそう言いきるんだな!○○!」
僕の本当の名前を聞いてから全てを思いだした。アンナが好きだった事。村が焼かれた事。食べた事。
「あ、あぁぁ。僕はどうしたら!?」
「お前はどっちの方を愛しているんだ?」
僕?それはもちろんエイナに決まっている。
「エイナだ」
その瞬間、僕は僕に殴られた。
「俺はなアンナを愛してるんだ!お前から俺は生まれた、そのお前が他の女に尻尾振るのか!?お前はもういらないな...沈んでろ」
確信した。身体の支配権をユーシスに持ってかれた。
「僕はお前を許さないぞぉぉおおお!」
「ああ、俺もお前を許さん!」
ああ、さよならエイナ。また会いたいな。ユーシスがどんな事をしても僕は君の事を愛しているから。
「くひっ、ひはははははははは!」
魔人は嗤う
*レスターですー
どうも!
レスターも出来ました。