エイナへの恋心 ☆
「うっ、ここは...?」
僕の鎧は外れ、今は洋服しか身についていない。
「目が覚めたかしら?」
...目の前に女の人がいた。
「貴方は?それにここは?なんで僕はここに?」
「ふふ、そんなに一変に聞かないで」
「ご、ごめん」
「私はねエイナっていうの、この国の百人隊長をしているの。ここはね、ラトケル王国の砦よ。貴方はね、傷だらけで倒れていたのよ。エレシエルの兵士だったら捕虜にしてたんだけど、正直な所分からないのよね」
「僕はどうなるの?」
そう訊くとエイナは困ったように苦笑いしていた。
「んー...まっ、とりあえずいくつか質問させてね」
「うん」
「貴方の名前は?」
「僕は...僕は誰なんだ?」
「はぁ、やっぱりね。記憶喪失でしょ」
「き、記憶喪失?」
「そ、意味はわかる?」
「うん」
「よし!これから貴方の名前はジェスよ!」
「!ありがとう」
エイナに名前を付けてもらった。僕はジェスだ!
そして、僕の頭の中にはよく分からない知識が少し残っている。なので、エイナが百人隊長って事で一つ疑問に思ったんだけど、こんな事してていいのかな?
「エイナさんは百人隊長だよね?僕でも分かるんですけど暇じゃないんじゃないの?」
これにエイナな大笑い。
「ははは、エイナで良いよ。もちろん忙しいさ。ただ、魔人が戦場からいなくなり、戦争も一旦落ち着いたから少し時間があるのさ。それで話題になってる奴がいるから来たんだ」
「ひょっとして、僕のこと?」
「そうよ、ラトケルの兵士じゃないけど、鍛えられてる奴がいるって」
「なるほど」
「一応訊くけどジェスはエレシエルの兵士じゃないわよね?」
「もちろんだよ!」
「ふふ、そんなに必死にならなくても分かってるわよ。何か隠してるようには見えないしね」
「っ!そうだね」
「とは言ってもどうしようかぁ。居てもらっても良いんだけど、何かして貰わないとなぁ」
「だったらエイナ!僕をエイナの隊に入れてよ!僕、エイナの役に立ちたいんだ」
「んー、それは無理かなぁ」
「そ、そうか...」
「あ、ジェスがダメとかじゃなくてね、訓練兵にならないと仕官できないんだ」
そうだったのか、困ったな...エイナの役に立ちたかったんだけど。
「だったらここの掃除をするよ」
エイナはびっくりしていた。なんで?
「そ、掃除ってね、下っ端中の下っ端がするんだよ?新米いじめってのがあって掃除してる人が新米ってすぐに分かるから、よくいじめられるんだ」
「それはつらそうだけど、大丈夫だよ。そのかわりに...」
「かわりに?」
「エイナなここに詰めてるんだよね?なら、会いにいっても良いかな...」
「っ!ははは、もちろん大歓迎よ!」
(いきなりそんな事言われたらびっくりするじゃないの。それにジェスったら顔は良いし、性格も悪くない!それに邪気がほとんどない。これはキュンときても仕方のない事よね!?)
良かった...エイナに断られたらどうしようかと思ったよ。エイナの事を考えるとなんだか胸が熱くなるんだ、こんな気持ちはアンナ以来だなぁ...
ん?
アンナって誰だ?
ユーシス描いて貰いました。だいたいイメージ通りです。
どうも!
この章では神の文をやめて、誰誰視点とかを使っていこうと思います。こっちの方がしっくりくればこっちを、これから使っていきます