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錬金術師は家に帰りたい ~百年寝過ごしたら自宅が異界化してました!?~  作者: ワイエイチ
神託編

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不審者

 三人、いや四人か……。


 今、視界に見えるのは一人。

 後ろ姿な上に距離もあるので詳細は分からないが、その姿は黒装束に身を包みんでおり、何かしらの隠密行動を行っている最中なのは間違い無さそうだ。


 そして各々が距離を保って移動することができているように見えるので、十分に連携が取れているということなのだろう。


 ということは、日頃からこういった隠密行動の訓練を受けている集団であるということになる。


 それに、これだけ気配が殺せるということは、かなりの手練だと思われるが……、それにしてもこいつらは一体どこに向かっているんだろうか? 少なくとも教会からは離れていっている。まさか教会から出てきたんじゃないよな?


「セントラル、念のためにこの不審者達のマーキングを頼む」


『かしこまりました。索敵を開始します――索敵を完了しました。対象をマークしました』


 セントラルの返答とともにモノクル越しに地図が表示され、その上に五人分のマーカーが示される。


 あれ、もう一人いたのか。他の四人はともかく残りの一人は要注意だな。

 偶然背後を取れていたから良かったが、マーキングしなかったら見つかっていたかもしれない。


 索敵で見つかった一人の様子を確認すると、他の連中と同じように黒装束を身にまとっているものの、一人だけ少しだけデザインが違う事がわかる。

 その意味は分からないが、逐次ハンドサインで周りに指示を出しているように見える。こいつがリーダーか……。


 ひとまずはこいつに見つからないように注意しよう。




 しばらく後をつけていると、不審者達は大きな通りを抜けた辺りで移動するのをやめた。


 この辺りは少し道が細くなっているので、ここを通る相手を挟み込みやすい上に、たとえば馬車等の移動もある程度制限される場所だ。そして街灯も少なく辺りは身を潜ませるには十分。


 こんな場所で一体、誰を待ち伏せしているのかは分からないが、もしかしなくてもこいつらは暗殺者であると考えたほうが良さそうだな。


 リーダーらしき不審者が手で指示を出すと、後衛の二人は腰元からクロスボウを取り、少し離れて姿を潜ませた。


 リーダーを含めた残り三人も片手にダガーを持ち物陰で気配を殺し始める。


 つまり、もうじきこの辺りを不審者達のターゲットが通るということなのだろう。


 不審者達に気づかれないように屋根に上り、目を凝らして遠くを眺める。


 ……あれは馬車だな。って、それも教会の馬車じゃないか。さすがに今日乗ったばかりだから見間違いようもない。


 馬車の向きから考えれば誰かを教会に運んでいる最中だろう。


 となると、こいつらの目的は教会関係者か。こんな時間に馬車で移動するくらいだから、それなりに立場がある人間と考えるべきだろう。


 教会とは直接の関係はないが、今後マリナさんとパーティーを組むわけだし、グレゴワールと話した限りでは僕達と協力関係を結ぼうとしていた。

 協力関係にある以上は、このまま放っておくわけにもいかないか。


 何よりこいつらあやしすぎるしな。僕の塔の下で好き勝手なことはさせない。




 まずは後ろの狙撃手をなんとかするか。遠距離での攻撃手段さえ潰せば、危険性は大きく下がる。

 もしも僕のサポートが間に合わなくても、逃げ切ることはできるかもしれない。


 手元の魔道具を起動させながら屋根から飛び降り、狙撃手の後ろに駆け寄ると、斜め後ろからクロスボウを蹴り上げる。


 突然の出来事に振り向いた狙撃手は、目を見開き慌てていた。マスク越しにもその驚きが伝わってくる。

 何やら口を動かしているが、……ごめんな、何言ってるかわからん。今は消音中だ。


 僕に蹴り上げられたクロスボウは、放物線を描きながら音もなく地面に落下する。


 狙撃手は慌てながらも、手際よく懐からダガーを抜き放つと、僕の心臓目掛けて突いてくる。


 咄嗟に急所を狙えるのはよく訓練されている証拠か、でも肝心の動きが遅い。日頃から異界を探索している身としては、異界の魔物に比べて圧倒的に遅すぎる。

 軽く身をひねりながら突きを躱し、懐に入りそのまま鳩尾を殴ると、くの字に身体を折り曲げながら、静かに地面に沈んでいった。


 少し強めに殴ったせいか、胃の中身をぶちまけたようだが、音もしないしマスクで口元を覆っているのでよくわからない。……窒息しないと良いな。全員を生かして捉えたいところだが、今はちょっと急いでるので、いちいち助けてる余裕はない。


 改めて周りを見渡すが、今のところ誰も気付いてはいないようだ。それだけターゲットを殺る事に集中しているということか。


 慌てずに速やかに移動して、もう一人の狙撃手の後ろにまわり、先ほどと同じように沈黙させた後、周りを見渡すと、ちょうど馬車が暗殺者達の元に到達しようとしていた。


 リーダーが馬車を注視しながら、何やら手で指示を出している。位置的に狙撃手への指示だろう。ギリギリ間に合ったか。


 リーダーの指示に狙撃手が反応しない異常事態に気付いたのだろう。それまで馬車から離さなかった視線をこちらに向けると、僕の存在に気付いたのだろう。睨みつけてきた。


 折角こちらに意識を向けてくれたので、再び馬車に意識が行かないように、リーダーに向かって手を振り、その意識をこちらに捕らえる。


 暗殺者のリーダーと向かい合うこと数秒。馬車は何事も無くその場を通り過ぎ、教会に向けて去っていった。



 馬車が見えなくなるのを確認してから、何事もなかったかのように不審者の方へ歩み寄る。


 離れていた部下たちもリーダーのもとに集まってきたようだ。僕もようやく残りの三人を視界におさめることが出来た。


 リーダーはこちらを警戒しながら、部下に何やら指示を出すと部下たちは周囲を注意深く見渡しリーダーに何かを伝えた。


「……一人か。貴様、一体何者だ」


「何者って、ただの通りすがりの探索者ですよ。先ほど何やら不穏な気配を感じましてね。ふらっと立ち寄ったらたまたまここだっただけです。それより貴方達は? こんな時間にそんな格好で、いくらなんでも怪しすぎませんか?」


 こんな夜中に黒装束で待ち伏せ、いくらなんでも怪しすぎるだろうに、何でこいつらは自然に振舞っているのだろうか?


「やれ」


 リーダーは部下に指示を出すと一歩下がり、後ろにいた部下二人が弾かれたようにこちらに向けて走り寄ってきた。


 その手には先ほどと同じく、ダガーが握られている。……刀身に毒が塗ってあるな。いかにも暗殺者らしいことで。


 二人が交互に連携を取りながら、次々に繰り出してくる斬撃を交わしながらリーダーを見ると腕を組んでこちらを見ていた。

 ……逃げないところをみると、よほど腕に自身があるのだろうか。


 まあ、こちらとしても顔を見せた以上は、ここで逃がすつもりは毛頭ないから良いんだけど。


 先ほどから幾度と無く繰り出されている斬撃を全て交わされているせいか、二人は動きにフェイントや蹴りを混ぜ始めたが、対して目新しくもないな。


「悪いけど全部見えているよ」


「もたもたするな、さっさと片付けろ!」


「くそがっ!」


 おお、回し蹴りを紙一重で避けていたら、今度はつま先から刃物が飛び出してきた。こいつら暗器も使うのか。とはいえ全部見えていることには変わりない。


 ――しばらく躱し続けていると、少しずつ攻撃の速度が落ちてきた。


「そろそろ疲れてきた? 最初の勢いが無くなってきたよ」


「くそっくそっ! 何で当たらない!?」


「言ったろ、見えてるって。それじゃそろそろ終わろうか」


 一人の攻め手が大振りになってきたので、カウンター気味に顔面を殴りつけると、その衝撃でよろめき、もう一人にぶつかり二人共体勢を崩す。


 そのまま体を捻り後ろ回し蹴りで、二人まとめて蹴り飛ばすと、一回二回と転がりリーダーの前に倒れる。


「さあ、次は君の番だよ」

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