表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金術師は家に帰りたい ~百年寝過ごしたら自宅が異界化してました!?~  作者: ワイエイチ
神託編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/321

ファーストコンタクト

 ――天獄塔の第十五層を攻略してから一週間が経過した。まあ、経過したといっても今日まで何もしなかったわけではない。


 一番頑張ったのは、アースドラゴンの素材を手に入れたことで、念願のアイテムポーチの制作だろう。


 当然自分用のアイテムポーチも作ったのだが、予想通りこれまでの倍程度の容量が確保できた。


 これに関しては、少々張り切りすぎてしまい皆が少々引いていたが、なんだかんだ言っても心待ちにしていたのもあって、完成品を手渡した時には皆が一様に嬉しそうだった。


 ちなみに素材が大量に取れたので、ダニスさんにもプレゼントしてみたのだが、タダでは貰えないとお金を押し付けられてしまった。

 まあ近いうちにシェリルさんにお願いして、探索者ギルド経由で販売する予定なので、それを前倒ししただけになってしまったが、喜んでもらえたので良しとしよう。


 探索の方も当然上層の探索を続けていて、昨日ようやく第十七層を攻略したところだ。

 相変わらずペースがさほど落ちること無く探索が進んでいるので、近いうちにダニスさん達が停滞している第二十五層に追いつくと思われる。


 これは上層になるにつれて、他の探索者と遭遇することが無くなってきたので、近代魔道具が使いたい放題になったことも理由の一つだろうか。


 もしもダニスさん達よりも早く、第二十五層を突破することができれば、この異界都市でトップの探索者パーティーということになる。


 当然停滞するつもりなど毛頭ないので、さっさと越えさせてもらおう。


 ――扉をノックする音が部屋に響く。アリスかな?


「どうぞ」


「失礼致します」


 部屋に入ってきたのはやはりアリスだった。


「バーナード様、お客様がお見えになっていますがどうされますか?」


「……客? 珍しいね、シェリルさんの遣い……だったら、アリスがそんな言い方はしないか」


 シェリルさんからの遣いなら、当然アリスも面識があるし、どうしますかなんて聞き方はしないだろう。

 なにやら面倒が舞い込んできたかな?


「まあ、会わないわけにはいかないか、それじゃあ応接に案内して」


「……実は数時間前から応接室でお待ちになっております。先方には対応が遅くなる旨お伝えしたのですが」


 ……ああ、普通はこんなに遅く起きないしな。ホント、申し訳ない。

 今日は目が覚めた頃には既に正午の鐘が鳴った後だった。例によって例のごとく非常に困難な目覚めだ。


「わかった、すぐに用意するよ」


 ――アリスが部屋を出ていったことを確認してから準備を始める。




 すぐに準備を終え応接室に向かう。

 一呼吸おき応接室のドアを開け、中にいる人物に目をやる。白髪に眼鏡、そして服装を見る限り、執事のようだが……見たことの無い顔だ。

 さて、何者だろうか?


「申し訳ありません、長い時間お待たせしました。お会いするのは初めて……でよろしかったでしょうか?」


「はい、お初にお目にかかります。私はジョゼフと申します。以後、お見知りおきを。本日は我が主グレゴワール様の使いで参りました」


 グレゴワール? クローツ教の司教であるグレゴワール・アルカンのことだろうか。


「……グレゴワール様というと、クローツ教の司教であるグレゴワール・アルカン様のことでしょうか?」


「はい、その通りです」


 ジョゼフは少々誇らしげに頷いている。まるで知っていて当然と言わんばかりだ。

 実のところ宗教に興味はないので、僕がその名前を知っているのは、先日シェリルさんから、たまたまその名前を聞いたからだったりするのだが……、水を指すのも悪いのでこれは言わないほうが良いだろう。


「そのグレゴワール様が僕に何か御用でしょうか? 私からは縁遠いお方ですので、少々戸惑っております」


「いえいえ、滅相もございません」


 実は、とジョゼフはわざとらしい程のジェスチャーで否定しながら話を続ける。ちょっと鬱陶しいな。


「我が主が高名な探索者であるバーナード様の功績に、いたく興味を持たれまして、ぜひ一度お食事でもご一緒できれば、と希望されております。バーナード様の――」


 ……モノクル越しに見える情報を見る限りは、確実に《嘘》だ。ここまで清々しいほどの《嘘》表示は久しぶりに見る。こいつ馬鹿にしているのか?


「申し訳ありませんが、お断りさせていただきます」


 極めて友好的な顔を作り、冷静に淡々と断りを入れる。

 招待を受け入れて当然と思っていたのだろうか? 僕が断った瞬間にジョゼフの動きがピタリと止まる。


「差し支えなければ、理由をお聞きしても?」


「理由も何も、お話に虚偽の情報が含まれておりましたので」


 一瞬だがジョゼフの眉毛が動いたのが見て取れた。そして一度深呼吸をすると先ほどまでのわざとらしい動きが消えて、真面目な顔になる。


「シェリル様のお話のとおりですね。安心しました」


 何故そこでシェリルさんの名前が出てくる?

 疑問に思っていると、ジョゼフがゆっくりと話し始めた。


「まずは先ほどの非礼をお詫びいたします。実はここに来る前、朝一番にシェリル様のところへ伺っているのです」


「実は先日、クローツ教の保護下にある探索者マリナ様からバーナード様に関する報告を受けましてね」


 ……マリナさんは無事第十五層のガーディアンを討伐できたようだ。まあ保護下にあるなら報告が上がっていてもおかしくはないか。


「……僕の、報告ですか?」


「はい、その報告内容にグレゴワール様が大変興味を持ちまして、こちらへの訪問許可を頂くためにシェリル様の元へお伺いした次第です」


 シェリルさんが許可をして情報もある程度伝わっているということは、つまり敵ではないということか。


「それで試すような真似をしたということでしょうか?」


「はい、先ほどは大変にご無礼を失礼いたしました。シェリル様から聞いていましたが、あまりにお若いので……。可能であれば本日、教会までお越しいただいてグレゴワール様と面会していただけませんでしょうか? グレゴワール様とシェリル様の予定は既に押さえておりますので、あとはバーナード様次第でございます」


 随分と手際が良いな、神出鬼没なシェリルさんの予定まで押さえられるのは大したものだ。

 あの人、捕まらない時は本当に捕まらないからなぁ。


「シェリルさんが了承しているのであれば、僕はそれに合わせますよ」


「ありがとうございます。それではバーナード様のご準備で出来ましたら声をお掛けください。いつでも移動できるよう準備させていただきます」


「わかりました。僕の準備は終えていますので、いつでも構いません」


「かしこまりました、それでは早速移動しましょう」


 ジョゼフに促され部屋を出ようとすると、ちょうどアリスがティーポットを交換に来たところだった。


「バーナード様、どうかされましたか?」


「シェリルさん達に呼び出されたから、ちょっと行ってくるよ」


「ご同行したほうがよろしいでしょうか?」


「いや、今日のところは留守番をお願い。それじゃあ行ってくるよ」


「かしこまりました」


 急に部屋を出たのでアリスは少し心配そうにしていたが、シェリルさんの名前を出したので、その表情はすぐに安心を感じ取れた。




 家を出ると目の前には豪華な馬車が止まっていた。……またか。


 相変わらず豪華な馬車はこの区画では目立つことこの上ない。そして、こんな豪華な馬車が朝から止まっていたものだから、必然的に遠巻きに人垣が出来上がっている。


 ……お金の余裕も出来てきたので、近いうちにもう少し馬車が止まっても違和感がないような家に引っ越す必要があるかもしれないな。


 いや、できればすぐにでも引っ越すか、野次馬の興味津々の視線がかなり痛い。


そろそろきちんとマリナさんの伏線を回収できると良いなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ