表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金術師は家に帰りたい ~百年寝過ごしたら自宅が異界化してました!?~  作者: ワイエイチ
近代錬金術復活編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/321

天獄塔・第二層(四)

「バーナード様、朝食の用意が出来ました」


「ありがとう。もう朝か……、錬成に集中すると時間が経つのが早いな」


 気が付くとテントの中にも美味しそうな良い匂いが漂ってきていた。錬成に集中していたせいか、匂いに全く気が付かなかったな。


 本当はもう少し集中したかったのだが、皆が朝食を待ってくれているようなので、今はここまでにしておこう。

 昨晩は色々とやりたいことができた為、非常に充実した時間を過ごすことができたな。


 テントを出ると、美味しそうな料理がすでに配膳されている。匂いもより良い物に感じられて本当に美味しそうだ。最近は魔物の肉を食べるのが当たり前になってきているな……。

 まあ、魔物の肉はどうしてもあまりがちになるので、僕達が食べたところで何の問題も無いので良いのだが。


 今回の探索が終わったら、ブリジットをシェリルさんに紹介して、シェリルさんの近代魔道具をブリジットも使えるように許可を取らないとな。

 それが済んだら、いよいよブリジットを店番にしての露店商売の開始だ。


 食事をしながら露店商売の事を色々考えていたが、皆に昨日の成果を報告し忘れていたことを思い出した。


「あ、そうそう。皆の装備に温度調整の機能を付加しておいたから、今日の探索は昨日よりは楽になると思うよ」


「ああ、それは助かるわ。昨日は少し寒かったものね」


「耐えられねぇ寒さじゃねぇが、快適になるならそれに越したことはねぇから助かるな」


 ふふふ、この付加が本領発揮するのは、ここではなく灼熱や極寒の時なのだよ。皆の驚きが見たいので今日のところは説明はするつもりはないけどね。


「……今その顔ってことは、他にも何かありそうね。まさか見た目が激しく変わってたりしないわよね?」


「え、いや、本当に温度調節だけだよ」


「そう、それなら良いのだけど……」


 なんとか、深く追及はされなかったか……。それにしても皆の見た目の変化に対する警戒感が以前よりも増しているような気がするのは気のせいだろうか?

 多少見た目が変わっても何の問題も無いだろうに……。もう少し格好良くした方がいいのかな?まあ、今は良いか。


「まあ、さっさと食べ終えて探索を始めようか。今日はなるべく早い時間に、例の空白地帯に着きたいしね」


「そうですね。恐らく空白地帯にガーディアンもいると思われますから」


 あ、いけない。ガーディアンのことをすっかり忘れていた。先に進むことを忘れているわけでは無いのだけれど、ついつい魔道具の方に意識がいってしまうな。




 ――朝食を取り終えた後はすぐに出発の準備をし終えて空白地帯に向けて歩き始めた。

 しばらく歩き、未踏地形探索魔道具が地図を作成できなかった地点に到着したのだが……。


「そろそろ例の空白地帯に差し掛かるはずなんだけど……、あまり代わり映えはしないね」


「そうですね。見たところは特に怪しい物は見当たりません」


 地図上の空白地帯に到着したのは良いのだが、僕の予想に反して目の前には、これまでと特に代わり映えのしない景色が広がっていた。


 これまでと違い木が少ないとか、岩が増えたとか、そういう点では多少の変化はあるのだが、それ以外は見たところ地形がぽっかりと欠けるような遮蔽物的要素は全く見当たらない。これは一体どういうことだろうか?


「……魔道具が壊れたんじゃねぇか?」


 ジークが未踏地形探索魔道具が映し出す地図を見ながらつぶやいた。


 ジークの懸念も解らなくは無いのだが、実際に飛ばした子機が戻ってきている以上は、故障ということはありえないだろう。他の地域の情報はきちんと記録されているわけだしね。


 特に地図は綺麗に欠けている事を考えると、この外周にあたる辺りに、何かしらの遮蔽物があってもおかしくはない。それにも関わらずその遮蔽物が見つからない以上は、僕の予想が間違えていたということなので、何か別の要因を探す必要があるだろう。


「まあ折角ここまで来たんだし、先に進む前に少し調べても良いかな? もしかしたら何かしら発見があるかもしれないし」


 試しに未踏地形探索魔道具を範囲限定で起動してみると、特に何事も無く子機が飛び立っていくが、やはり情報は更新される様子はなかった。


 もしかしたら、上空に何か原因があるのかもしれないと思い、しばらく上を見上げて調査していたが、どうも原因になりそうなものが見当たらない。

 実際に子機は今もなお飛び回っているので、遮蔽物という線は完全に消えたと言って良いだろう。


 あまり長い時間、一箇所で留まって調べていても、何かしらの切っ掛けがない限りは時間が無駄になってしまうし、これは改めて出直しかな……。

 もしかしたらこの先に原因が見つかる可能性も考えられるし、そろそろ先に進むべきかな。


「うーん、ダメか……。そろそろ先に……ん? ああ、なるほどね」


 ふと、諦めかけながら転がっている岩をモノクル越しに見た事で原因がわかった。その原因とは、まさにこの岩だった。その名を《吸魔岩》という。


 《吸魔岩》――市場に素材として出回る際には、小さく加工されているため《吸魔石》と呼ばれるが、この石は名前の通り魔力を吸収する特性を持っている。


 対して未踏地形探索魔道具は地図を作成する際に、子機が情報を集めるわけだが、この調査方法というのが子機が微量な魔力を照射して、その照射した魔力の反射を利用して地形の情報を集めている。


 しかしながら、この吸魔岩が子機から出力された微量の魔力を吸収してしまったということなのだろう。


 周りにある岩や石を見ると全てが吸魔岩と吸魔石と表示されている。これだけ大規模に密集していたのであれば、確かに未踏地形探索魔道具が地図を描けなくても不思議ではない。


「バーナード君、急に納得したような顔をしたって事は、原因がわかったの?」


「偶然だけどね、一応原因は掴めたよ。原因はこれさ」


 足元に転がる石を拾い上げ、手の上に乗せて皆に見せる。皆、一様に首をかしげながら石に見るが、少ししてアリスが口を開いた。


「吸魔石ですね。つまりこの石が魔力を吸収した事で、地図が描けなかったということでしょうか?」


「そういうことだね。子機が今も飛び続けているところを見ると、これだけ大量にあっても放出された魔力だけを吸収するみたいだね」


「すまねぇ、全然解らねぇぞ」


「ああ、もう少しわかりやすく説明するよ、この吸魔石は――」


 なるべくわかりやすく言葉を選びながら皆に説明を行う。何だか先生になった気分だな、これはこれで面白い。

 近いうちにシェリルさんにも近代魔道具の講義をしなければならないだろうから予行練習にはぴったりかもしれないな。




 ひと通り説明を終えて、ジーク以外の皆からは納得を勝ち得ることができた。

 ジークはというと始めは頑張って話を聞いていたのだが、途中から理解することを諦めたようで、断りをいれて離れて素振りを始めてしまった。


 ……ジークに説明するにはもう少し基礎の部分から色々と説明しないといけないかな。


 ところで皆に全部説明をし終えてから気付いたのだが、先ほどから魔物と遭遇していない。

 吸魔石を採取しながら遠くに目をやると、シャドウ・エッジ・グレムリンの群れが遠巻きにこちらを窺っている。もしかしてあいつらはこの空間が苦手なのだろうか?


 まあ、多分この前にガーディアンがいるのだろうし、邪魔な魔物が近寄ってこないのは願ったり叶ったりだ。


「こっちには来ないみたいだし、あいつらは無視して先に進もうか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ