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B1

ご無沙汰しております。白装束の黒魔導師です。今回は最初っからコメディ目指して頑張ってみます!

瀬川晴斗セガワハルトは王に手渡された麻袋を怪訝な表情で見つめていた。

「王サマよぅ、この中には武器と資金が入ってて食料はまた別なんだよな?」

晴斗は目の前の玉座に鎮座する王を見据え問うた。

「そうじゃぞい?食料は今用意させておるからのぅ。」

やけに間延びした王の声に晴斗は苛立ちを覚えため息をついた。


晴斗は至って普通の高校生であり、今日も朝から普通に学校へ行き授業を受け、たまに居眠りをし、放課後のアルバイトへ向かった。アルバイト先のロッカールームで作業着に着替えていた時突然晴斗の足元に光を放つ魔方陣のようなものが現れた。晴斗が驚きの声を上げる間もなく、その魔方陣が一際目映い光を発した瞬間、何一つ状況を掴めないまま晴斗はこの世界の王宮の玉座の間に立っていた。王の側近達は歓声を上げ、王は玉座から転がるようにして晴斗の前へとやってきた。

「よく来たな勇者よ。食料は今準備させておるからこれを先に渡しておくぞい。」

王はそう言うと武器と回復薬等が入っているという麻袋を晴斗に手渡した。



そして話は冒頭に戻る。晴斗が今わかっている事といえば

・この世界にはモンスターや魔王が存在し、人類は存続の危機にある。

・自分は魔王を倒すべく選定された勇者である。

そして先ほど手渡されたソレがこの世界においては武器として流通するものだという事だった。モンスターの話も魔王の話もにわかには信じがたい話だが晴斗にとっては今自分が持っているソレが武器である事が一番信じられなかった。元々ロールプレイングゲームが好きな晴斗は自分が勇者としてこの世界に召喚された事を喜ばしく思っていたがその事だけには疑問を抱かずにはいられなかった。そして自分がいる玉座の間の面妖さにも。


麻袋から覗いているそれ――。


「どう見てもフランスパンですね。ありがとうございます!」

「ほほっ喜んでもらえたか!何よりじゃ。」

王は嬉しそうに身体を前のめりにさせた。

「嬉しい訳ねえだろ!訳わかんねーわ!!」

晴斗はそう叫ぶとフランスパンを玉座へ向けて投げた。パンの当たる音とは思えぬ鈍い音と共にフランスパンは玉座の背もたれに突き刺さった。

「ぶっ無礼者っ!!」

近衛兵が慌てたように晴斗にフランスパンを向ける。晴斗は流石にまずい事をしたと思ったのか冷や汗が頬を伝った。王は驚きに目をしばたかせていたが我に帰るとぽっこりと膨れた腹を揺らし笑った。

「ほっほっ、まあ槍を下ろせ。元気でよいではないか。」

王の言葉に近衛兵達はフランスパンを下ろした。晴斗が玉座の間に呼び出された時点でずらりと並んでいた甲冑を着込みフランスパンを握りしめた近衛兵達。晴斗はこの世界の常識をいまいち素直に受け止められそうになかった。

「そうじゃ、勇者に紹介したい者がおる。」

そう言って王が手を叩くと玉座の間の扉が開き赤い髪に赤い瞳の小柄な少女が顔を覗かせた瞬間――。

「チェンジ!!」

あまりに高らかに発せられた言葉は広い玉座の間に響き渡った。


いかがでしたでしょうか。また感想やアドバイスをよろしくお願いいたします。

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