表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力を知らない卑怯者  作者: 自宅警備員Lv9999
短章 森の怪物
91/164

チッ(舌打ち)



「いいねぇ。やっぱこうじゃねぇと」


 殺人鬼のように目をギラつかせながら笑う鋼牙。


 この異世界ライフの98%を魔道具に依存している鋼牙にとって魔道具が使えないというのは呼吸が出来ないのと同義。それが解禁されたのだからそりゃテンションも上がる。


「と、取り押さえろ!!あのような攻撃は連発出来ん!!」


 諦めないエルフのジジイ。その声によって、色とりどりの魔法が大量に飛んできた。


「吸い込め、マナストーン」


 視界いっぱいを埋め尽くす魔法の群れが、一瞬で右手に吸い込まれた。


「危ない危ない、俺じゃなかったら死んでたぞ?」


 吸い込んだ魔力の量的に中級魔法がほとんど、上級も幾つかあった。


――ビシュッ――


 後ろから矢が飛んで来た。さっき鋼牙達を連行してきたエルフであろう。鋼牙はまったく気付いていなかったが、保険として鯉口を切っておいた阿弥陀が反応し、自動で叩き落とした。


 いきなり体が勝手に動いたので鋼牙は凄くびっくりした。


「さて」


――パチン――


 右手の指を鳴らす。エレキストーンが発動し、閃光が瞬いた。


――バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ――


 さらに詠唱をしていたエルフ達は感電して気絶し、一番遠くにいた(逃げた)ジジイだけが残った。


「あ、あぁ……」


 腰を抜かし、へたりこむジジイ。


 ジジイの首筋に阿弥陀を突き付け、低く脅す。


「何か言い残すことは?」


「ゆ、許してくれ!!頼む!!我々もいっぱいいっぱいだったんだ!!」


「全部てめぇらの都合だろうが。封印されてんだから引っ越すなりなんなりしろや。つかお前が死ね。お前が死んでエルフを守れ。それが長ってやつの責任だろ?他人当てにしてんじゃねぇぞ」


「う……」


 言葉に詰まるジジイ。鋼牙は刀の柄でぶん殴り、気絶させた。


「さぁ、帰ろうか。爺さ……あ」


 エルフ達と同様、感電してアフロになり、気絶していた。


「配慮に欠けてたな。これも俺の魔道具の欠点だ」


《帰るんですか?》


《なんだよ、いきなり出てくんな。そして俺は帰るぞ》


《私が感じた禍々しい気配がその怪物のものだとすると、相当強力なものです。封印から覚めてしまったら、そこら辺の魔物を根絶やしにしながら突き進み、あの村を襲うでしょうね》


「………………教えろ。その怪物の場所」


《はいはーい!!》


 鋼牙は爺さんを担ぎ上げ、森の中へと消えていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



《この洞窟ですね。この中から凄い禍々しい気配をビンビン感じます》


「うーむ……入りたくねぇな」


 精霊に案内されて来た封印の場所は、凄く禍々しい気配が漂う洞窟、一言で簡単に言うと心霊スポットみたいな洞窟だった。


《行きましょうよ。なんか出てきてもなんとかなりますって》


「無理だろ!!てかまた魔道具使えねぇし!!あぁもうイライラする!!」


《ほらほら、早くやっちゃいましょう。作戦は考えてあるんでしょ?》


「あ~~何にも出てきませんように!!」


 洞窟へと走り込む。かなり遠くにだが光が見え、山を貫通したトンネルであることが分かる。


 その光の中に、変なシルエットが浮かび上がっていた。天井、壁、床から生えた鎖にがんじがらめに縛られた、何か、小さな物。


 真ん前まで来て、正体が明らかになった。


「……ガキ?」


 それは少年だった。青白い顔をし、背もそれほど高くなく、縛られた細腕はマッスルがつまんだら折れてしまいそうだった。


《こんなちっこいガキが怪物なのか?》


《信じられないですけど、そうです。ウィンディーネ様から聞いたことがあります。身寄りのない子供を魔法で改造して、凄まじい戦闘能力を植え付ける実験が行われていたって。代償として正気を失って、暴れまわる怪物になったって……》


《封印はどのくらい持つ?》


《え、っと……持ってあと2日ですかね》


《よし、準備するぞ》


 尚、この間鋼牙は端から見ると百面相しながら黙って立っている変人であった。

コロナが他人事じゃ無くなってきた……みんな気を付けて……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ