表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力を知らない卑怯者  作者: 自宅警備員Lv9999
第五章:貧村活性化
86/164

水が欲しいから山を割る



 ゴーレムフィストを取り出し、軽い動作確認を行う。


「……なんか、前より簡単だな」


 ワルキューレの団長とやり合った時に使ったが、その時より遥かに動かし安い。


《それ、私が要るからですね。あなたの考えというか、思考が直接私の中を通って行ってる感じです。スキル『思考加速』と同じ感じなんでしょう》


 なーるほどね。こりゃいいや。


 今なら二組いけそう。いや、いける。


 斯くして、俺は二組のゴーレムフィストを操れるようになった。


 客観的に見たら、どこの魔神だよってなるだろうな。


 まぁそれは置いといて、やりたいことがあるんだよ。


 浮遊魔法を発動させ、飛び上がる。上空何十メートルかで止まり、地上を見下ろす。


 村の北東部に川発見。南西部にも。2つの川に挟まれている地形だが、どっちの川も遠い。


 そう、この村には川がないのだ。さっき見てきた畑も、水不足で土地が痩せていた。


 という訳で、地形を変えてやろうという発想に至ったわけだ。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 地形を変えるのは結構簡単。川を造るのははもっと簡単だ。川にしたい所を熱線で吹き飛ばせばいい。


 とでも言うと思ったか!!熱線を一発撃つのにどんだけ熱エネルギーが必要だと思ってる!!


 気軽にポンポン撃てるもんじゃない。まぁ気軽にポンポン撃ってきたけども!!


 だが、いつこないだの兵士が来るか分からないので、節約しとこうと考えたのだ。


 そういう訳で、川から川へ繋がる用水路を掘る為、ゴーレムフィストを使っていこう。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 地上に降り、空中から決めた掘る予定地に行ったのだが


「やっべ、山がある」


 山というか丘というか……微妙なラインだ。


 でも、クッソ邪魔なのには変わりない。


《予定変更。やっぱ熱線で吹っ飛ばす》


《意見コロコロ変えすぎですよ……》


《うるせぇ!!いいんだよ、状況に応じれば!!》


 そういう訳で、使われもせずにお役御免となったゴーレムフィストを仕舞い、再び空へ。上空からなぞるように、熱線を発射。


――ヂュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン――


――ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン――


 爆発。気持ち良く爆煙が立ち上る。が


「……あ?」


 先ほどの山があった場所に、巨大な岩があった。


 熱線と爆発で山の地面は吹き飛んだが、中にあった岩だけ残ったらしい。


「……せぇーーかっく、気持ち良く吹き飛ばしたってのによぉ」


 気持ち良い感じを台無しにされた。これは許せん。




 近頃、鋼牙には様々な災難が降りかかった。


 アホ受付嬢から始まり、正義(笑)トリオ、殺人鬼と続いた。


 オマケに良心から少女を救ったら、なんやかんやで貧村を開拓することになってしまった。


 早い話、ムシャクシャしていたのである。


 今回の地形破壊はストレス発散の一環でもあったのだ。


 だというのに、空気を読まずに居座る大岩。


 鋼牙のヘイトは完全に岩にいっていた。




 静かに、岩の側に降り立つ。


 突然だが、俺は弱い。剣なんか使えないし、魔法の詠唱も出来ない。


 筋力なんて、鍛えていれば子供にだって負けるだろう。


 だが、努力はしない。しても意味がない。


 天職『鍛冶屋』。最低のステータスと、使えないスキルが合わさった最弱の天職。


 どんなに鍛えようが、どんなにレベルを上げようが、純粋な力では誰にも勝てないだろう。


 だから俺は、阿弥陀を作った。


 ガントレットを作った。


 筋力強化の鎧を作った。


 ゴーレムフィストを作った。


 足りない力を補う為に。誰にも負けない為に。


[本来の力ではない]


[うっせぇババァ]


 そして、最強の技を編み出した。


 つい先日。移動中が暇だったから、強化したのだ。


 阿弥陀

剣術LvEX


 前人未到。最強と吟われた剣聖ですらたどり着けなかった剣の境地。


「喰らえ、『アト●ック斬』!!!!!!」


 侍さん、すいません。でもこれ以外いい技名無かったんっす。


 技は単純。剣を超高速で降りまくるだけ。


 ズババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!


 阿弥陀の超耐久に物を言わせ、無理やり岩を裂く。


 無心でひたすら剣を振り、止める。


 俺の目の前には、小石サイズになった岩だったモノが転がっていた。


「………」


――ヂュン――


――ボゴォオン――


 なんか、一気に頭が冷めた。何やってンだろ俺。


 物に当たり散らしてさ。ダッセー。


 ペタンと座り込み、手を地面について大空を仰いだ。


「…………雄大だよなぁ」


《ちょっとちょっと……これどうするんですか……》


 精霊の声に辺りを見回してみた。


 そこらじゅうから煙が立ち上り、一部の岩が融解してボコボコいっている。


 木は根っこごと吹き飛ばされ、横たわっている。


 大地が捲れ、抉られ、痛々しい傷痕が残っている。


 この災害を引き起こした男は、眠そうな顔で


「ヤッベ」


 と言った。

おもろかったで、続き気になる。そう思って頂けたらブクマ、感想をお願いします。


あと、話を全て覚えている訳ではないので、矛盾してるところがありましたら指摘して下さい。修正します。


つっても、ご都合主義で無理やりこじつけるだけやけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ