第一の作業
「早速出発じゃい野郎ども!!」
『おう!!!』
「衝撃に備えろぉおおおおおおおおおお!!!!」
叫び、浮遊装置を起動する。
――ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……――
凄まじい揺れと共に屋敷がゆっくりと地面から離れてゆく。
前は飛ぶだけでギシギシ言っていたが、今回は全く問題なく飛び上がる。
前のように適当に作った訳でもないため、保証つきの品質である。
『フライング・ホーム マークII』
鋼牙の核とハウスゴーストの謎パワーによって飛ぶ屋敷。
やっぱり時間が無かったため申し訳程度の武装しかない。
そのかわり外装や柱がすべてタイタニウムで出来ている為、壊す手段も壊れる要因もほとんどない。
鋼牙曰く、『ピンポイントで隕石が直撃したら壊れるかもな』とのことである。
うむ、やっぱこれだね。空を飛ぶ感覚。最高です。
下のほうでなんかピーピー言ってっけど、知らね。
「コウガ殿。今回のフライングホームは落ちないのでしょうな?」
「心配すんな。そもそも大した距離飛ばねぇし、落ちねぇよ」
「前回のことがあるからなっ」
「だーいじょぶだって見てみろほら、もしものために低空飛行してっから。落ちても最悪なんとかなる」
「安心出来ない!!」
マークIIにはジェットエンジンが3つ着いているので、数時間で着くだろう。
それまでカット!!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「な、なによあれ……」
「か、神じゃ……神が我らを滅ぼしに来たんじゃぁああああっ!!!」
「そ、そんなバカな……」
「お前今ワシにバカって言ったか」
「い、一体なんなんですかぁあああ!!!」
一瞬で混乱へと陥る獣人の村。
「なんか、蟻の巣掘り起こした時見たい」
「例えが酷いですな」
「蟻って……」
このままだと大事になりそう(既になってる)だったので、とりあえずジェントーと共に地上へ飛び下りる。
ジェントーはやっぱり絶叫していた。
浮遊魔法を調整しながらゆっくりと着地。
「こ、コウガさん!?」
「おう、仲間連れて来たぞ。これでお前らは安泰だ」
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「さて、お前ら。お前らに必要な物は3つある。『衣・食・住』だ」
村の広場で、大勢の獣人達に講釈する鋼牙。
「コウガ殿、イショクジュウとは?」
横に立っていたジェントーが聞いてくる。
「え!?知らない!?」
どうやらこの世界に衣食住の言葉は無いらしい。
「まぁ、簡単に言うと『着る物』『食い物』『住む家』だ。これらは生きて行く上で必須になる」
――だが!!!――
いきなりの大声にまだざわめきがあった広場は静まりかえる。
「お前達はこの3つのどれもが不足している!!服はぼろ切れだわ、ガリガリだわ、家はボロいわ!!」
「し、しかし!!」
悔しそうにうつむいていた一人が反論してきた。
「しょうがないじゃないか!!あの兵士達が決めたことで、俺達の服はこれもしくは全裸、食べるものは野生の果物や野菜のみ、住む家は腐りかけの古い倒木で作らなければいけない。これらを破った者は……奴隷にされて……」
「…………」
思ったよりあいつらがクズだったので、逃がさず殺せばよかったと思った鋼牙であった。
「まぁ、大丈夫だ」
「な、何がだよ!!」
「お前らを支配してるのはあのクズ共じゃない。俺だ。だから大丈夫だ、問題ない」
「あ、あいつらが攻めてきたら……」
「ああもう、うっせぇ!!話を遮るんじゃねぇ!!お前らは黙って従ってりゃ良いんだよ!!」
キレた。そしてこの畜生発言である。
救ってくれるといっていたから、てっきり善人なのだと思っていた獣人達は絶句する。
「話を戻すぞ!!必須なのは『衣食住』だ。だからさっそく始めるぞ!!第一の作業だ!!」
どんなことをやらされるのかと、唾を飲み込む獣人達。
「まず、飯を食うぞ!!」
『……え?』
広場の獣人は一人残らず口を半開きにしてい驚いていた。
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「マーガレット、ファル!!お前らは料理担当だ!!食材は持ってくるから、獣人の女子供と一緒に簡単に料理してくれ」
「わかったわ」「はい!!お任せを!!」
頷く二人の耳元で、そっと囁く。
「『つまみ食い』はある程度許してやれ」
二人は少し微笑み、頷いた。
「ピエール!!薔薇の花園全員でセッティングだ!!この人数が座れる食堂を作ってくれ!!」
「任せておけ。よし、やるぞみんな!!」
『ああ!!』
「バング!!世紀末共と一緒に健康診断だ!!簡単にで良いから、怪我人や軽い病人は治してやってくれ」
「……おう。行くぞお前ら」
『ヒャッハァーーーーーー!!不健康な奴はいねーかぁ!!?』
なんか最近迫力がないバングであった。
「ジェントー!!マッスル!!田中!!佐々木!!森で肉狩ってこい!!大量にな!!」
『おう!!』
変態の集団は森へと消えていった。
「さてと、お前ら」
獣人達に向き直る。
「は、はい!!」
「食い物の備蓄はあるのか?」
「あ、ありません」
「本当か?食い物を貯めていないのか?」
「……あるにはありますが……」
「あるんじゃねーかよ。それ出せ」
「こ、この食料はブローディアンへ納める税で……」
「んなもんいらん!!いいから全部出せ!!」
「は、はいぃいいいい!!」
いいぞぉ!!テンポよく書けてる!!




