ラノベノシュジンコウガヨクアタマニイレテルヤーツ
ラノベの主人公って大体頭ん中に人工知能宿してるよな……宿してない?
「じゃ、お邪魔しましたー!」
「長居してしまい、申し訳ございません!!」
「失礼しました!!」
フランクに話す鋼牙、腰を90°に曲げるジェントー、土下座するリント。
『ふふふ、また何時でもいらして下さいね』
『まったね~!!』
『仲良くね~!!』
屋敷の門から見送ってくれる精霊王と精霊達。
すっかりお茶を楽しんでしまい、気付くと数時間が経過していたので早急に出発することにしたのだ。
じゃあ元の世界に返そう(今居るのは精霊界という別次元らしい)となった時、急に一つの光が俺達の前に現れた。
その光は俺の目の前を飛び回り、自分の存在をアピールしてくる。
「ああ?なんだコイツ。うざったいな……」
手で払い除けようとするが、すばしっこくて捕まらない。
『その子は生まれたばかりの下級精霊ですね。ほら、こっちにおいでなさい』
精霊王が呼び寄せるが、俺に張り付いて離れない精霊。
「しゃべらないっすねコイツ」
『何分生まれたばかりなので、言葉を発することが出来ないのです。ほら、理由を聞かせてご覧なさい?どうしたのです?』
優しく語りかけられた精霊は、ゆっくりと漂いながら精霊王の手のひらに乗った。
『…………成る程。分かりました』
「そいつはなんて言ってるんすか?」
『どうやら、あなた方に着いて行きたいらしいです』
「?一体どうして」
『外の世界を見て回りたいそうです。しかし……このレベルの精霊は外の世界では存在出来ません』
手のひらの上の精霊がその言葉にしょんぼりしたように見えた。
「ふーん……賭けだが、なんとか出来んこともないぞ」
「本当!?」と言うかのように喜びを動きで表す下級精霊。
「どうする?本当にどうなるか分からんが……」
『可能性があるならやって欲しいそうです』
「分かった。じゃあ俺の手のひらに乗れ」
ポーンと右の手のひらに飛び移ってくる。
「じゃあいくぞ……!」
俺は収納石からゴーレムフィストのコントローラーを取り出し、左手に持った。
あいはーばー精霊、あいはーばーコントローラー。
「オルァ!!!!」
融合!!
精霊をコントローラーと融合させた。
『な、何を……』
「コウガ殿!?」
「何やってんですか!?」
外野の声は気にせずコントローラーを装着。
《う、うぅううう……え!?なんですかコレ!!私どうなっちゃったんです!?》
コイツ、直接脳内に……まぁ成功っぽいな。
《もしもーし。きこーえまーすかー?》
《ふぇ!?だ、誰です!?何処です!?怖いですぅ!!》
声からして泣いてるっぽい。
《いいか、よく聞け。お前は今俺の脳内にいるのとおんなじような状態にある》
《の、脳内!?》
《お前を頭ん中にねじ込んだってことだ。これなら外の世界に行けるぞ》
《何にも見えないですぅ!!真っ暗ですぅ!!》
《え、マジで!?視界は共有される訳じゃないのか》
《どうしてくれるんですかぁ!!》
《まぁちょっとまっとれ》
《え、ちょ、ちょっとぉ!?》
一旦脳内での会話を切り上げ、現実へ回帰する。
「諸君。実験は成功だ。今奴は俺の頭ん中にいる」
『無事なのですね?』
「ああ、ぴんぴんしてるぞ」
「なにをしたのですかな?」
「頭ん中にねじ込んだ」
「「『…………?』」」
「まぁ大丈夫だ」
『はぁ……では、お元気で』
「またな!!」
俺達は精霊界をあとにした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
《全く、信じられません!!いきなりそんな失敗覚悟のこと了承も無しにするなんて!!》
《いや、了承はもらったぞ。お前がやってくれって言ったんじゃないか》
《そういうことじゃありません!!全く、女性にモテませんよ!?》
《別にいいや。寄って来られても迷惑だしな》
《……実は、私には何故か貴方の記憶が分かるんです》
《ほー。で?》
《……50歳まで童貞でも大賢者にはなれませんよ》
《え?》
《いや、そんなアホらしいことで大賢者になれるわけないでしょ》
《嘘だろ?大賢者になる為に俺はボッチの道を頑張って歩いて来たんだぞ!?》
《……御愁傷様です》
《嘘だ…嘘だぁああっ!!!》
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「嘘だぁああっ!!!」
「ぬぉっ!?」「ひゃっ!?」
「うせやろ……うせやろ……」
いきなり叫んだかと思えばうつむいてぶつぶついい始める鋼牙。
ひそひそ「ど、どうしたのでしょう?」ひそひそ
ひそひそ「きっと何か悲しい忘れ物に気付いたのでしょう。そっとしておいてあげましょう」ひそひそ
ひそひそ「で、でも、ただ事ではない雰囲気ですぞ?生涯の夢が潰えたかのような……」ひそひそ
ひそひそ「じゃ、じゃあ、雰囲気を変えましょう!!何か話題を振って下さいよ」ひそひそ
ひそひそ「そ、そうですな」ひそひそ
「こ、鋼牙殿?」
恐る恐る声をかけるジェントー。
「…ん?…なんだ?…」
どんよりと落ち込んだ空気を発しながら応じる鋼牙。
「あー、えーと、あとどれぐらいで到着しますかな?」
「ああ……わかんね。そもそもどこにあるのかすら知らんし」
「私分かりますよ!!周辺の地形は覚えてます!!」
「お前が覚えてなきゃ話にならないんだけどね」
「……はい……って、あああああっ!!!」
「「!?」」
いきなり叫ぶリントにビビっておもいっきり車体を揺らす鋼牙。
「おっ、おま、びっくりするやろがぁ!!」
「はぁ、はぁ……この胸の高鳴り……もしや、恋!?」
「そんなことはどうでもいいです!!あれ見て下さいあれ!!」
窓の外を指し示すリント。
指し示す方向には、苔むした巨大な岩が佇んでいた。
「でっけぇ岩だな」
「そうですなぁ…」
「「で?」」
「あれ、見たことあるんです!!この近くが私の村なんですよ!!」
次回、ついに旅が終わる!!




