俺自身が魔力スポットだった件について
待たせたなぁ!!(マジで本当に申し訳ない)
「うぅ…ん?」
うっすらと目を開ける。とっても幻想的な空間にいるらしい。だが、不思議なことに辺りの物を見ようとするとなぜかもやがかかったように見えなくなる。
「なんか…水に飲み込まれたんだったよな……。あいつらは……」
周りを見るとジェントーがリントを守るように抱き締めながら倒れていた。
「これだけ見ると立派なんだがなぁ……。ホレ、起きろ!!」
後頭部をペシペシ叩くと、ジェントーの意識が戻る。
「んん……!!リント殿は!?」
「オメーの腕んなかだよ。よく守ったな」
「そりゃあ、幼女護り隊、隊長を名乗ってますからな。幼女一人守れずしてなにが隊長か!!」
「……そうだな」
俺はジェントーに誠意と善意を感じた。いつも幼女追っ掛けて変態変態言われているが、本来こいつは幼女を守りたい一心でああいう行動をとっているのかもなぁ……
「しかし、いけませんなぁ。こんなに怪しいおじさんの腕の中でこんなに無防備に眠るとは……グフ、グフフ、グフフフフ」
「俺の僅かな感動を返せ」
指をワキワキと動かしながら顔を紅潮させてリントを見つめるジェントーの姿に、俺は呆れながら溜め息をついた。
『ようこそいらっしゃいました。人族のお二方に、獣人族の方』
急に声が聞こえた。先ほどの精霊の声と聞こえ方が似ているが、甲高いキンキン声ではなく、優しい声だった。
『失礼とは思いましたが、こちらに連れて来させて頂きました。では、正面の屋敷に来て頂けますか?』
人無理やり拐っといて動かすんかよ。と思ったことは言わなきゃバレないだろう。
しかし、屋敷なんぞどこに……あったわ。でっかい屋敷が一つ、デンッてある。
「とりあえず行ってみようか」
「そうですな……」
「こ、怖いですぅ……」
ジェントーにヒシッとしがみつくリント。おやおや?いつの間にそんなになついたんだい?
『では、門を通って右の庭へお進み下さい』
これまた言われた通りに。こういうとき指示に逆らうとロクなことにならない。
俺ぁ詳しいんだ。
進んだ先には見事に手入れされた庭園と、小さなテラスがあり、テラスにはテーブルと椅子、ティーセットが置いてある。
そして、そのテーブルにつき、優雅にカップを傾ける美女がいた。
『こんにちは、人族のお二方と、獣人族の方。私は水の精霊王『ウィンデーネ』と申します』
にっこりと微笑みながら挨拶。礼儀の基本を分かってらっしゃる。
『精霊王』『ウィンデーネ』の単語に反応した二人が震えはじめる。
「せ、精霊王!?」
「ウィンデーネ!?」
「なぁ、それって凄いのか?(小声)」
「凄いに決まってるでしょう!?精霊王ウィンデーネといえば、水の属性のすべてを操る強大な存在です!!」
「大昔に水を汚した大国に100年にわたって大雨を降らせて滅ぼしたという伝説までありますぞ!!」
よっぽどテンパっているのか大声で叫ぶ二人。
『ふふふ、面白い方々ですねぇ……』
「「は……っ」」
伝説の本人がいたことを思い出したのか一瞬で飛び退き、土下座を決める。
「も、申し訳ございません!!」
「どうかお許しをっ……!!」
リントはもちろん、ジェントーもなかなか美しい土下座だ。
『ふふふ、何を謝るのです。取って食べたりしませんよ。ほら、こっちに来てお茶をしましょう』
「お言葉に甘えて」
まだ土下座をしている二人をほっといて、スッとテーブルを挟んだ向かいに座る。
『あらあら、あなたは遠慮がありませんねぇ…』
「いやぁ、そのお茶菓子がずいぶんうまそうで……」
『ふふふ、私が焼いたんです。お口に合うか分かりませんが、どうぞ召し上がれ』
「はい!!いっただっきまー…」
「「ストーーップ!!!」」
「のわぁ!?」
いきなり肩を掴まれ、引き戻される。
「な、何普通に一緒にお茶してるんですかな!?」
「え?お言葉に甘えて……」
「そこは甘えちゃダメでしょうが!!」
「しかもなんで普通にお茶菓子ねだってんですか!!」
「いや召し上がれってあの人が……」
「だから召し上がっちゃダメでしょうが!!それにあの人とか言っちゃいけません!!あの人はその気になったら私達を問答無用で捻り潰せるんですよ?」
「で?」
「え?で、とは?」
「捻り潰せるからなんだ。見た感じ何にもしてない奴にはなんもしてこない至って温厚なヒトだぞ。明確な理由もなしに怯える方が失礼だ」
「そ、それは……」「そうですが……」
「そういう訳で大丈夫だ!!ホレ、お前らも座れ。一緒に茶ぁしばこうや」
【茶をしばく】
お茶しようぜ!!って意味。分かり難かったらスマン。
『それは私が言うことでは?とにかくどうぞ、お座り下さいな』
「ひゃっひゃい!!」
「し、失礼しますぞ」
緊張のあまりカミカミな二人。そんなに緊張するかねぇ……
「で、精霊王さんよ」
『はい、なんでしょう?』
「どうして俺達を呼んだんだ?いきなり連れてこられて混乱もいいとこだよ。説明プリーズ」
『ふふ、分かりました。まず、私があなた、コウガさんに興味があったからです。というかこれが本命です』
「俺に?」
『はい。湖に来たあたりで分かったのですが、実際に見るとますます異常です』
「失礼な。俺のどこが異常だと言うのだ?」
『まず、あなたは原理は分かりませんが、莫大な量の魔力を保有していますね』
「あ?ああ……」
籠手の魔力石のことかな?
『あなたからは理解出来ない程の魔力が感じられるのですが……何か違うような気もしますね……』
違うけど、まぁそういうことにしておこう。
ちなみに、かなり曖昧だが魔力量を表すことができる装置がある。
手をのっけたら魔力の量に応じて強く光る水晶玉だ。
田中と佐々木曰く、正義が手を乗せるとサーチライトのような強力な光が、東谷が乗せると太陽を直接見たかのような光が出たらしい。
俺もやったことがある。光の強さは……消えかけのロウソクって感じかな。
『しかし、見れば見るほど信じられませんね……保有魔力量が私を優に越えています。……本当に人間ですか?』
失礼だな。俺は…
「俺は人間っすよ。弱くてちっぽけで、一人じゃ何もできない人間です」
『ふふ、そうですか。まぁそういうことにしておきましょう。では、お茶を楽しみましょう!!』
それから俺達は暫しの休息を過ごした。
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