鋼牙の異常 【悪化編】
待たせたなぁ!(本当に申し訳無い)
「鋼牙」
堅吾が鋼牙の部屋の扉を開ける。
「ん?どうしたよ」
堅吾としては『うおっ!?の、ノックしろや!!』という反応を求めていたのだが、生憎鋼牙はそんなことを知らない。
「鋼牙、一緒に風呂、入ろうか」
どっかの入浴剤のCMのような言い方をする。
「いいけど、狭くね?」
「大丈夫だ」
二人の体格的に全然大丈夫ではなかった。
結局二人で風呂は諦め、リビングの机に向かい合わせに座る。鋼牙は座らせる。
「鋼牙よ。お前、自分の性別を知っているか?」
「ん?男だろ?」
「その性別に疑問を持ったことはないか?」
「ないぞ。男に生まれて良かったと思っとる」
「そうか(性同一性障害ではない……)では、鋼牙よ」
机に肘を付き、手を組み、口を隠す。
「なんだ?大事な質問か?」
「うむ。お前、おっぱいは、好きか?」
真剣な顔を崩さない堅吾。
「おっぱい?別に好きでもないけど……」
「何故だ?」
「おっぱいって脂肪の塊だぞ?どこを好けと?」
「…………」
ネジが数本ぶっ飛んだ科学者のようなことを言い出す鋼牙。
「じゃ、じゃあ異性に興味はあるか?」
「異性?女の子とかか?無いな」
「無いの!?お前中1だろ!?」
「強いて言うならなんでトイレに一緒に行こうとするのか分からん」
「違う、そうじゃない。性的な意味での興味だ」
「性的な意味?無いな」
「無いの!?女の子見たらまず胸見ちゃわないの!?」
「見ないけど?」
「マジか……」
堅吾は確信した。確信したくなかったが確信した。こいつは…
無性愛だ、と。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ここからはダイジェストで説明して行こう。
鋼牙は7歳のとき、憧れの大賢者になるには女の子に関わってはいけないと教えられる。いや、教えられた訳ではないがそう解釈した。
それから鋼牙は異性との関わりを断った。クラスの女子とは口を聞かず、女の先生にも何も言わず、一時は母親まで避けた。
しかし、生憎小学校は『みんななかよく』が絶対条件の小さい社会。そんな行動が通用するはずもなく、幾度となく呼び出され『クラスのみんなと仲良くしなさい』とお説教された。
それでも鋼牙は止めることなく、女子との接触を全力で避け続けた。
そうすることで、鋼牙は『女子と口を聞かない変な奴』のレッテルを貼られてしまった。
女子の言葉を無視し、女子と極力馴れ合わない。女子からの好感度は最低ラインであったが、男子とは変わらず仲良くしていたし、なかなかの話上手であったため、クラスで孤立していた訳ではなかった。
しかし小学校6年生の時、鋼牙を孤立される出来事が起こってしまう。
当時から整った顔立ちで人気者、ボランティアにも積極的に参加し、成績は優秀、運動会のリレーでは常に1位。保護者から『神童』と言われる男子、聖岳正義。
いつも通り女子を無視する鋼牙に対し
「君は無視される女の子の気持ちを考えたことがあるのか!!!」
と激怒。さらに
「無視したことを謝罪したまえ」
と言ってきた。
確かに無視したことは悪いと思っていたが、いかんせん小学校男子。謝りたくない。
なので素直に
「嫌だ」
と言ったところ、正義の取り巻きの女子、男子から批判が殺到。
鋼牙はすべてを無視して帰った。後は鋼牙の孤立生活が始まった。
男子から話しかけられなくなったが、かわりに女子からも話しかけられなくなったのでまぁいいかと気にせずいた。
そして、鋼牙は思春期の中を女子と全くふれ合わずに過ごした。
そのせいでクラスで孤立。異性に対する興味、関心の一切を失ってしまった。
それが今回のように堅吾に発覚。
堅吾は『こりゃやべぇ』と思い、柔美に相談。
幾度にも及ぶ夫婦の話し合いの末、興味を持たせるには異性とふれ合わせるのが一番という結論に至った。
そして、黒鉄家に4人の少女が迎えられた。
さすがに家族を無視する訳にはいかんと鋼牙もしっかりふれ合い、義妹達を愛した。
そして鋼牙の中でがんじがらめに封印されていた異性への興味が、もうすぐ復活しそう……!!というときに、事件は起こった。
そう、異世界に召喚されるという前代未聞の事件が。
そこで鋼牙は絶世の美女であるアリアことクソ女にあの仕打ちを受け女性不信に陥り、さらにユニークスキル『KY』の力で異性をシャット・アウト……。
異性に完全に興味を示さない鉄のカタブツが出来上がった。
ファルや王女二人組のように猛烈なアピールをされない限り、好意に気付くこともなかったであろう。
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