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努力を知らない卑怯者  作者: 自宅警備員Lv9999
第三章:アロア
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ゴーレムフィスト



「始め!!!」


 コレットの合図で二人が同時に動き出す。


 一方はスピード重視の軽装の女性。


 もう一方は影が動き出したかのように真っ黒な青年。


 女性は凄まじい速さで剣を振るが、青年はこれまた真っ黒な日本刀で全て受け流し、防ぎ、カウンターまで行っている。


 とても常人には理解できない強さのぶつかり合いだった。


「ねぇ、どっちが勝つと思う?」


 唐突にそんなことを言い出すワルキューレの団員。


「そりゃ団長でしょ。なんてったって『白百合の剣』の名を持つ団長よ?あんなぽっと出に負ける訳ないわよ」


 自信たっぷりに断言する団員。


「でも……なんかいい勝負してるくない?」


「……うん」


 何も変なことはしていない。おかしな能力も使っていない。


 ただただ凄いスピードと凄い的確さで剣を振っている。


 対する青年はまるで剣と体が一体化したかのようにヌルヌル動いていた。


 お互い一歩も譲らない展開で十四、五回打ち合い、急に青年が後ろに飛び退いた。



【鋼牙視点】


 いや、強いね。正直舐めてたわ。アリメロ程じゃないけど速いし、パワーはアリメロ以上だ。


 つまりアリメロより結構強い。


 流石はメイザス王国二番目の騎士団の団長だ。


 しかし俺も負けたかない。ので早速ゴーレムフィストを投入することにした。


「おもしれぇモン見せてやろう!!!」


 決めポーズしながら指パッチン。俺の両脇に青白い魔方陣が現れる。


 その魔方陣からゴゴゴという音と共にゴーレムフィストが出てきた。


 その異様な見た目にビビる皆さん。


 俺はそれをおもいっきり突進させた。


「!?」


 凄まじい速度で突っ込んでくる超重量の拳は防げないと悟り、とっさにかわす。


ゴガァアアアアアアアアアアン!!!!


 が、背後の建物の壁はあっさりぶち抜かれていた。


 サーッと青ざめる女性達。


「えーと、コウガさん?」


 震えながら振り返る団長。


「おらおら避けろ避けろ!!避けなきゃ死ぬぞ!!」


 一切の容赦なく破壊の拳を暴れさせる俺。


 必死に防ぐ団長だったが、いかんせんパワーが足りんかった。


 結果鋼牙の勝利であった。


「だ、団長が負けた……」


「あの団長が……」


 ショックを受ける団員達。


「あーっはっはっっはっは!!!俺の勝ちだぁ!!」


 俺は喜びの舞を踊った。


「負けて、しまいましたか……」


 ボロボロで地面にへたりこむ団長。


 団長に手を差し伸べないのが鋼牙クオリティ。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 はっはっは、この国のナンバー2がこれじゃあ戦争したって勝てるんじゃねぇかな?


 滅ぼそうかな。いや、止めとこう。


 俺は国を滅ぼしたい訳では無いのだ。自由に過ごしたいだけなのだ。


 だからもっともっと強くならにゃあいかんざき。


 しっかし強いよなこの辺の人。俺剣術Lv10だよ?なんでサクッと勝てないの?


 謎だ。実に不可思議な謎だ。


「なぁ、お前も何か自分を強化するスキルを持ってたりするのか?」


 座り込んでる団長に訪ねる。


「ええ、私の天職『白騎士』のジョブスキル【閃光剣】です。このスキルによって私の剣術のLvをブーストし、尚且つ速度を早めていました」


「なーるへそ。道理でやけに速かった訳だ」


「でもコウガさんはその速度に反応出来た……」


「そりゃアリメロよりゃ遅いし」


「私より強い男性は初めてです……」


 何故か頬を染める団長。


「いや、あんさんナンバー2でんがな。上がおるやろ?」


「ナンバー1は女性です」


「そうかい」


 何故かジリジリとにじりよってくる団長。


「……どったの?」


 意を決して聞いてみる。


 団長はとんでもないことを言い出した。


「弟子に、していただけないでしょうか?」


「俺、帰るわ」


 回れ右して入り口に向かう俺。


「逃がしませんよ」


 しかし回り込まれてしまった。


「どうしても!!お願いします!!あなたのような強い方にご指導頂ければもっと強くなれるハズ!!」


「嫌だって。帰せって」


 俺は強くない。いや強い物を産み出せるから総合的に見れば強いかも。


 とにかく俺に教えられるこたないな。


 まだ食い下がる団長を押し退けて通ると、今度は団員達がとおせんぼ。


「今度はなんだよ!?」


「まだ1日経ってません!!まだまだ訓練は終わりませんよ!!」


「結構です。じゃ」


 気にせず避けて行く。


「待てぇぇええええ!!」


 止めてくる団員達。


「こんな美女美少女に引き留められてるんですよ?止まりましょうよ!!」


「知らん。とにかく帰らせ……」


 念話が入る。聞こえてくるのは焦ったようなファルの声。


「………!?」


 内容を聞いた俺は一瞬で包囲網を突破し、クランハウスのある団地へ全速力で駆けた。


 そして、たどり着いたクランハウスは



 燃え盛る炎に包まれていた。

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