ワルキューレ
「さーてさてさて、楽しい楽しい魔道具作りの時間だぞぉ……」
ヒッヒッヒと不気味に笑う俺。多分子供が見たら泣くだろう。
俺は優勝景品の賢者のメモ帳に描かれている魔方陣と説明をしっかり読んだ。
そしていくつか浮かんだ案の中でも最高のものを作ることにする。
「まずは……」
お馴染みのタイタニウムを人間の腕を型どった形に加工する。
大きさは大体俺の上半身位。(身長180cm)
指や手首などの可動部分は細かく作る。
そしてゴーレムコアを埋め込んで動く巨大なの完成。
今まではここからどうにも出来なかったが、賢者のメモ帳にあった『浮遊魔方』を付与すれば……。
よし!!飛び回る黒い手の完成!!!
これをあと五つ作り、共鳴させたゴーレムコアはヘッドバンドにくっ付けて装身具みたいにした。
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【ゴーレムフィスト】
空中を自在に飛び回る黒い手。
空洞が無く、タイタニウムで出来ているため
ちょっとやそっとの衝撃では傷一つつかない。
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【コントローラー】
ヘドバン。頭に装着することで
ゴーレムフィストを操れる。
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なんかあれだな。どっかの魔神みたい。
真っ黒いロングコートとズボン着てこれまた黒いヘッドバンドとでっかい眼帯着けて左手は黒い金属の義手
で右手は金色でカラフルな石が填まったガントレット着けてこれまた黒いごっつい靴履いててこれまた黒い刀
持っててでっかいリボルバーも持ってて周囲には三対六つのこれまた黒い大きな金属碗が浮遊してる。
こりゃおもいっきり中二……止めよう。これでいいじゃないか。
ゴーレムフィストの強さは……うん、強いね。
フルプレートメイルでも握り潰せるし、岩も持ち上げられる。
だがこれ……使い面いな。六つを一気に動かすのが不可能に近い。
パソコンで右手と左手で違う文打ってる感じ。
実用化は遠そう。
また他にもなかなか使える物をいくつか作った。
あのガレオン船の仕組みを調べ、どうやらあの船には核……ラピュタで言う飛行石が搭載されているらしい。
核自体は作れるが何を飛ばすか考え中だ。
楽しくなってきた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【翌日】
ドンドンドン!!!!!
皆いつも通り出払い、ファルも買い物に行ってしまった。つまり一番客が来て欲しくない時にドアが強く叩かれた。
居留守の使用を考えたが、後々面倒になりそうなので仕方なく出る。
「はい、どちら様……」
「コウガさんですね?私達と一緒に来て頂きます」
ドアを開けた先には防御力があるのか疑わしい鎧を着けた女性が二人立っていた。
「留守です。またのお越しを」
サッとドアを閉めようとするが
ガッ
女性の一人がドアを掴んで引き留める。凄い怪力で逆らえない。
「私達と一緒に、来て、下さい」
「……へーい」
こじらせると面倒そうなのでとりあえず同行することにした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
連れて行かれたのは兵士の訓練場らしき場所。
「なんだここ」
「ワルキューレの訓練場ですよ」
「ワルキューレ?あのこの国の強い騎士団の?」
「はい」
「そんなとこになんで?」
「待っても来ないからわざわざ連れてきたんです!!」
「はぁ?何言って……」
「大会優勝者の景品は我々と過ごせる権利です。なので1日ここで過ごして貰います」
……ああ、そういやあったなそんなの。忘れてた。
まぁ適当に時間潰して日が暮れたら帰ればいっか。
しかしそうは問屋が卸さず、何故か防御力があるのか疑わしい鎧を着けた女性達の前に引っ張り出される。
「では自己紹介をお願いします」
「は?え、コウガっす。Fランク冒険者やってます」
……
「え、いや、もっとないんですか?」
「ないっすけど?」
「自己紹介で20分は使うつもりだったんですけど!?」
「知らねぇよ!!」
なんか自己紹介する人は大体自分はどれ程強いだのこんな魔物を倒しただのと自慢話を延々と続けて自分を売り込むのが普通らしい。
「俺はんなこたせんぞ」
「はぁ……じゃあ何しますかね」
「何しますかねって、いつも通り過ごしとけや。俺ぁ隅っこで寝てるから」
「なんでですか!?ワルキューレですよ!?全国民の憧れの騎士団ですよ!?」
「で?」
「で?って……もっとなにかないんですか?」
なんかしつこくなんかないのかと聞いてくる。
なんもねぇよ。
いい加減ウザくなってきた時
「やめなさい。みっともない」
急に大人びた優しい声が聞こえてくる。
声の主はマトモな鎧を着けた金のロングヘアーのお姉さんだった。
「た、団長!!」
団長らしい。
「あなた方に興味がない殿方もいるのです。誰もがあなた方に媚びる訳ではないのですよ?」
「は、はい。申し訳ありません」
そうだそうだ。いきなり連れてこられてなんだってんだよ。
「コウガさん、団員が失礼しました。後でよく言っておきます」
「ええよ。つか帰っていい?」
「1日は居て貰います。それより模擬戦をしましょう!!」
「何故だ!?」
「え、一緒に訓練をすると聞いていたので模擬戦をするのかと……」
なんだよその傍迷惑なお誘い。賢者のメモ帳の方が絶対いいじゃん。
「という訳で模擬戦を……」
「へいへい」
仕方ないのでやろうと思っていた時
「お待ち下さい!!」
いきなり額にでっかい絆創膏をバッテンに貼った少女が割り込んで来る。
「どうかこの私にやらせて下さい!!デコピンの恨みを晴らしたいんです!!!」
この声には聞き覚えがあった。
「司会者か!!」
「コレットですよ!!。で、お願いしますぅ……」
「ダメです。大会で彼を見てからずっと剣を交えたいと思っていたのです。これは譲れません」
「うぅ~~」
「よろしくお願いしますね?」
どうやら隊長さんがじきじきにお相手して下さるそうだ。
ちょうどいい。ゴーレムフィストの試験運用がしたかったんだ。




