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努力を知らない卑怯者  作者: 自宅警備員Lv9999
第三章:アロア
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I well say tikuwa



「なあ、あれ……いいのか?」


 観客席の若者の一人が隣の奴に問う。


「うーん……どうなんだ?」


 首を傾げる隣。


「いや、まさか柱を作って激突させるとはなぁ……」


「普通に戦略勝ちで良いと思うが……」


 戦略だと主張する賛成派。


「何言ってんだよ!!あんな不正認められて良いわけねぇだろ!!!」


「そうだ!!重要な試合であんなふざけたことをするなんて!!」


 ふざけてんのかコラと怒る反対派。


 賛否両論、意見は別れていた。


 その頃鋼牙は……。


「コウガ様凄かったです!!いきなりだったのに反応出来て、それだけでも凄いのに勝ってしまうなんて!!!」


 主人が勝ったことを自分のことのように喜ぶファル。


「まぁ最後のはバッシング受けるやろなぁ」


 さっさと帰りたいのに決勝戦が残っているので異様にテンションが低い鋼牙。


「まぁ確かにコウガ様を知らない人が見たら卑怯ですよね」


「別に卑怯でもなんでもないと思うが」


 鋼牙が自分の考えを展開しようとしたとき


『それではではでは、いよいよ決勝戦が始まりますよぉ!!!』


 会場中にテンション高い声が響く。


『決勝戦に出場する選手二名はさっさとフィールドへGO!!!』


「はぁ……じゃあちっと行ってくる」


「健闘を祈る!!です」


「ありがとさん」


 激励を背にフィールドへ降りた。


 相手はシードだったゼリアとかいう女。格好で見たら魔導士、だがダンカンの例があるので油断はすまい。


「ちょっとちょっと、ジョーカー」


 なんか話し掛けてきた。


「なんだ?」


「君勇気あるよね。あんなことやってさ。君の二つ名『卑怯者』になっちゃうよ?」


「ご心配どうも。だが言わせて貰えばあれは別に卑怯じゃない。普通の戦略だ」


「へぇ、その心は?」


「お前は戦闘中にスキルを使うだろ?」


「そりゃ使うよ?」


「相手も使うだろ?」


「使うでしょ」


「俺もスキルを使っただけだ。卑怯なんぞ言われる筋合いはない」


「なーる。そりゃ確かにそうだ」


 笑顔でうんうんと頷くゼリア。


「じゃあまあ、楽しい試合にしようね!!」


「あー……おう」


 心底愉しそうに笑うゼリア。その笑みはまるで無邪気な小学生のようで……。


『では、始めますよぉ~』


 今回は良心的に宣告してくれるらしい。


 両者が相手に向き直った。


『始め!!!!』


 両者一斉に動き出す。いや、動いたのは鋼だけで、ゼリアは全く動かない。


「ぜやぁ!!!」


 これで決めるぜとでもいうように剣を振るが


「甘いねぇ」


 いきなり目の前に火球が現れる。


「どうわっち!?」


 避けられず直撃。しかしタイタニウムの脅威の耐久力で一瞬熱かったくらいで済んだ。


「おおー、凄いねぇアレ直撃して立ってるなんて」


「ダメージには強いんでな!!」


 また突進するが、火球を連打され近付けない。


『凄い弾幕ですね!!さすが『魔導姫』です!!』


『ゼリアさんは数少ない無詠唱の使い手で、魔力も常人離れしているので接近戦が主の人でも戦いづらい相手です!!さぁ、コウガ選手はどう攻略するのか?』


 先に言えっての!! とんでもない強敵やんか!!


 なるほど、さっきの笑みは余裕の現れだった訳だな。


 チキショー!!!ガントレットさえ使えれば魔法全部吸収して煽りながら倒せたのに!!


 しかしガントレットは使えないので必死で避ける。


「ええい、らちが明かん!!!」


 ていやとばかりに煙幕を大量に展開する。


「無駄だよ~」


 瞬時に風を起こして煙を払う。


 そして後ろに回り込んでいた俺を吹き飛ばした。


「ぐはぁ!?」


 いかにタイタニウムが頑丈でも中身はクソザコなのでダメージが痛くなってきた。


 しかし


「……………………………」


 急に魔法が止まる。


『あら?どうしたんでしょう。嵐のように続いていた魔法ラッシュが止まりました』


『なにか問題ですかね。それともコウガ選手が妨害工作を?』


 その通り。私がやった。


「ジョーカー……!!一体どうやって……」


 口に出すのもやっとのようにゼリアが弱々しく言う。


「へへ、へへへ、へっへっへ」


 しっかり笑いの三段活用。


 俺は先程煙幕で後ろに回り込んだ際、奴の背中に念話石をくっつけた。


 そして全力でゼリアに向けて


『ちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわちくわ……』


 これによりイメージが命の無詠唱を完全に封じ込めていたのだ!!


「へっへっへ、すんまへんが、ワイの勝ちゆうことで」


「はぁ……魔法がなきゃ勝ち目ないね。降参だよ」


 観念した犯人のように手を上に上げるゼリア。


『ゼリア選手、魔法を封印されてやむ無く降参!!!今回の優勝者はコウガ選手です!!!!』


『おめでとうございます』


 ふう、勝った勝った。じゃあ帰って……。


『では勝者のコウガ選手には景品の贈呈と、滞在しておられる勇者様とのエキシビションマッチの権利が与えられます!!』


 あ"……忘れてた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 律儀に守ってるな 鋼牙なら別のものに蓄魔石付けて「ガントレットは使って無い!」キリッって言うかと思ったのに
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