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努力を知らない卑怯者  作者: 自宅警備員Lv9999
第三章:アロア
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vs超速



 あのクソウザい男、ダンカンを見事撃破した俺はとっとと帰ろうとしたが、


『今日は4試合連続でやります。帰るな』


 と言われてしまい、やむなく出番まで観客席で縮こまることになった。


「まったく、なんで試合終わったのにステイしなきゃなんねーんだよ」


「そう言わないで下さい。まだ準決勝と決勝とエキシビションが残ってるんですから」


「もうダンカン相手で疲れたんだよ~。早く帰って暖かい布団で眠りたい」


「ああ、そういえば。ガントレット使わないって言ってたのに魔法を吸収しましたよね?」


「あれぐらい勘弁してくれよ!!!魔法は無効化しないとキツいって!!!」


「ダメです。『男に二言は』?」


「『ないっちゃないけど時々ある』」


「はぁ……」


 呆れ果てたような目で見てくるファル。こいつ、主人に対してなんて目を向けるんだ!!!


「とにかく。もう魔法吸収も禁止です!!止めるって言ったのコウガ様ですからね!!!」


「……チッ」


「まったく……」


 オカンかこいつ。新たな縛りが追加された。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『では続きまして!!アリメロ選手vsゴリアイナ選手の試合を開始致します!!!』


『名前のインパクトが強いですね。一体どのような選手なのでしょうか!?』


『では、お二方はフィールドへGO!!!』


 呼び掛けとほとんど同時にフィールドに例の白いコートのアリメロが現れる。


 その反対側からマッスルまではいかないもののガチムキマッチョな女が出てきた。


 アイツがゴリアイナだろう。名は体を表すってね。


 お互いが向かい合うように位置に付いた。


『では、始め!!!!』


 開始のコールと共に姿を消すアリメロ。やはり早い。見えん。


 しかしゴリアイナは何故か横に向けて正拳突きを放つ。


 ゴリアイナが正拳突きを放つと、ピンポイントで横を通ったアリメロに直撃した。


「……なぜ、分かった?」


 問いかけるアリメロ。その問にゴリアイナは肩を竦め、


「女の勘、ってやつかしら?」


 と答えた。


 多分観客席中の人が (野生の勘だろ) と思ったと思う。


 その答えにアリメロはなにもコメントせず、また姿を消す。


「フンッ!!」


 やはり正拳突きが繰り出されるが、今度はギリギリで避けたらしく、一瞬現れてまた消え、後ろからゴリアイナを切りつけた。


「グゥゥウウ……やるわね……」


 少なからずダメージを受け、よろめくゴリアイナ。


 しかし正拳突きの精度は落ちておらず、的確にアリメロが通る位置をタイミングよく捕らえている。


 何発か当たったが、アリメロの素早さも落ちることなく高速で動き回っている。


「見せてあげるわ。アタシの本気!!!!」


 埒が開かないと思ったのか奥義を使うご様子。


『ウホォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』


 胸を反らし、天を仰いで雄叫びを上げる。


 ゴリアイナが叫ぶと体に謎のオーラを纏った。


『イクワヨォ~~~~』


 何故かカタコトになったゴリアイナの動きは先程とは比べ物にならない程素早かった。


 一撃の威力も上がっているらしく、拳がかすっただけでかなりスピードが落ちた。


 と、アリメロも立ち止まる。


『アラ?ドウシタノ?』


「私の本気も見せてあげる……!!『加速(アクセル)』!!!」


 いきなりアリメロの姿がぶれ、ゴリアイナの真横に蹴りの体制で現れる。


 そのまま凄いキック力でゴリアイナを蹴り飛ばした。


 容赦なく追撃を繰り返すアリメロ。


 そのままゴリアイナが戦闘不能になってしまい、アリメロの勝ちとなった。


 終盤が一方的になってしまった試合だった。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『いやー早いですねぇ。スキルでしょうか?人間とは思えないスピードと持久力です』


『ゴリアイナ選手も見切ってはいたし、奥義らしきものを使って追い詰めましたが、残念ながらあと一歩足りませんでした』


『まぁ終わった試合はさておき、準決勝に移りましょう!!!』


『準決勝は巷で『卑怯者』と叩かれているコウガ選手と、先ほど勝利したアリメロ選手です!!』


『コウガ選手は予選で今までの記録を打ち破る1.5秒という記録を出していますが、今までの試合ではあの謎攻撃を使っていません。巷では観客を楽しませる為に縛っているのだとも言われています!!』


『鍛冶屋にそんなことする余裕はないと思われていますがね』


『ではそろそろ始めましょう!!お二方はフィールドへGO!!』


 お呼びがかかったのでフィールドへ降りる。先ほどの試合の怪我を治していたアリメロも帰ってきた。


 いよいよ準決勝。アリメロはガントレットが使えない俺にとってはかなりの強敵だ。


 せめてエレキストーンがつかえりゃなぁ。


『始め!!!』


「いきなりは止めろぉおおおおおおおお!!!」


 予兆も無しにいきなり始めやがった。アリメロは既に近くにおり、あと一瞬遅かったら俺の意識は旅立っていただろう。


 意識他界系なんつって。すいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいません。


 初撃を気合いでかわした俺はすかさず阿弥陀を横凪ぎするが、すでに間合いにはいない。


 どうやら周囲を高速でぐるぐる回っているらしい。


 時々死角から斬りかかってくる。怖い。


 見えないので、仕方なく、本当に仕方なく危険な方法を使う。


 地面に手を付き、『加工』を使用してフィールドの地面をめちゃくちゃ凸凹にした。


「きゃっ!?」


 効果は覿面で、以外と可愛い悲鳴を上げてた転ける。


 凄まじい勢いで転けたので地面を数メートルスライディングし、膝が見るも無惨なことになっていた。


「よくも……」


 なんかキレていらっしゃる。


「へいへーい、なーにキレてんだよーう。沸点引くーい」


 煽って追い討ちをかける俺。最早アリメロは激怒プンプン丸であった。


「殺すっ!!.」


「物騒だなおい」


 膝があんなことになっているのに凄いスピードで突進してくる。


 身体強化の超反応で避ける。避ける。避ける。


 そして阿弥陀で牽制。やっぱり振る頃には間合いにいない。


 埒が開かん!!!仕方ねぇなぁヘッヘッヘッヘッヘッヘ……。


「おい、アリメロ!!」


 呼び掛ける。すると俺から数メートル離れた場所にアリメロが止まった。


「……なに?」


「埒が開かねぇ。お互いラスト一発で決めようや?」


「…………」


「あれ?もしかしてビビってる?へいへーいアリメロビビってる~」


「やる!!絶対地面に這いつくばらせてやる!!」


「へいへい。では3秒後からな」


3


 お互い動かない。


2


 アリメロが剣を腰溜めに構え、突進の姿勢をとる。『加速』も発動してるらしい。


1


 俺は全力でしゃがみ、『加工』を発動する。




 全力でおもいっきり突っ込んできたアリメロはちょうど進行方向に出来た石の柱にど偉い勢いで正面衝突し、気絶した。


 戦略勝ちだな。

止めろ!!!再読み込みするな!!!保存してないんだぁあああああああ!!!!


 っていうのが何回かあった。

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