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努力を知らない卑怯者  作者: 自宅警備員Lv9999
第三章:アロア
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一瞬で終わった予選



『え~、本日はお日柄もよく、待ちに待った『アロア武闘大会』を気持ちよく開始することが出来ました』


 でっかい円形闘技場に、アロアのお偉いさんの声が響く。


 そう、今日こそがあの武闘大会の当日、開催日なのだ。


 といっても何百人もいる冒険者をいちいちトーナメントさせていたら一年掛かってしまうので、今日は予選である。


 正方形のフィールドで50人が戦い、残った二人がトーナメントに進出できる。


 組み合わせは完全にランダムなので運も試される過酷な予選だ。去年の大会では世界に四人のSSランク冒険者の一人が二秒で終わらせたそうな。


『~~であるからして、そもそもアロア武闘大会とは~~~』


 長いな。いや、選手控え室から見てるから別に立ってて疲れるとかそういうのはないが、単調な声と大真面目な内容が眠気を誘う。


 校長の話と同じような感じか。校長効果と名付けよう。


『~~本日は日差し(···)が強いので、日刺し(···)をされないように気を付けて下さいね?』


 日刺しとは、太陽をバックに切りかかって相手に防ぎ難くするという技である。


シーーーーーン。闘技場に、観客席に、選手控え室に、静寂が響き渡った。


 静寂なのに響き渡った。


『以上で開会の辞を終わります。アロア領主 デヴィッド・アロア』


『領主様、今日までありがとうございました』


『うぉおおおおおい!?』


『ではでは、ただいまからはこの『ワルキューレ』所属騎士、コレット・パルマがお送りします!!』


 急に放送がテンション高い女の子の声に変わった。


『ねぇちょっと今日までってどういう……』


『ではさっそくいってみましょう!!Aブロックの参加者の方はフィールドへGO!!』


 正方形のフィールドにぞろぞろと冒険者が出ていく。


 ちなみに俺はBブロックだ。


『Aブロックの注目はなんと言ってもこの人、Aランク冒険者でトップと噂される『超速(スピニング)』アリメロだぁぁあああああ!!!』


 うおぉおおおおおおおお!!!!と観客席が沸き立つ。


『アリメロさんは人気ですからねぇ。まあウチの団長には及びませんけど!!』


 冒険者達が白いコートを着たアリメロという奴を囲むように立つ。どうやら全員で協力して一人を倒すことにしたご様子。


『では、初め!!!!』


 その声と同時に前の方にいた冒険者が一斉に倒れた。


『おーっと、やはり早い!!一気に5人が脱落だぁ!!』


『凄まじいスピードですね。まったく見えませんでした』


『お、また10人脱落!!すべてアリメロさん一人で狩っております!!』


 確かにアリメロという奴は凄かった。


 身体強化によって超強化されているはずの俺の動体視力でも残像しか見えん。


「うおおおおおおおお!!!」


 マッスルと同種の男がヘビーメイスをハンマー投げのように回し始める。


 こうすりゃやられないって感じだろうが……


ガスッ


 超スピードで下に潜りこまれ、手を弾かれる。


 振り回していたメイスがカッ飛んでいって、数人の冒険者が吹き飛ばされた。


『あ、いま最後の一人が倒れました!!圧倒的スピード!!初めしか姿を捕らえられませんでした!!』


『気絶してしまいましたが、最後の一人もよく防ぎました。二人がトーナメント進出です!!』


 うぉおおおお!!!


 暖まってきた観客が吠えた。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『では続いてBブロックに移りたいと思います!!参加者の方はフィールドへ!!』


 他の人は精神統一とかやってたけど気にせず出ていく。


『コウガ様~~!!頑張ってくださーい!!』


 客席から手を振るファルが目に映る。


 まぁ、手ぐらい振り返していいだろう。


 全員揃ったのかアナウンスが流れる。


『では参加者が出揃いました!!このブロックの注目点はこの人、スタンピードから街を救ったとかでSランクになって、ソッコーBランクに降格された『ジョーカー』コウガさんですね』


『聞いた話では国王からの指名依頼を断ったそうです。バカですねー』


『しかも彼の天職はなんと『鍛冶屋』!!いったいどんな手を使って街を守ったのでしょうか?鍛冶屋に戦闘ができるとは思えませんがねぇ?』


 まったく。焚き付けて面白くしようとしてるんだろうが、ウザイ。


『では、よーい』


 戦いなんぞめんどくさいしな。


 すまんけど、面白くないかもしれんわ。


『初め!!!!』


 俺は右手を空に掲げた。


ーーパキィンーー



ドゴォォオオオオオオオオオン!!!



 指パッチン(フィンガースナップ)と同時に、俺を中心に衝撃波が発生、周囲の出場者がふっとばされた。


 立ち上がる奴は……いないな。


 はい終わりっと。


 俺はさっさとフィールドから出ていった。


『え?え?今なにが……』


『コウガさんが手を上げたと思ったらいきなり全員が吹っ飛んで……』


『コウガさんが何かしたんでしょうか!?ってもう帰った!?はやっ』


『彼は一体何をしたのでしょう…….?』


 とっとと帰った俺。そのあとC、D、Eと続き、10人が選ばれたらしい。


 出場資格は貰えたが、二人目を決める際にめちゃくちゃ苦労していたとファルから聞いた。


 簡単に済んで俺はパッピー、不思議な物を見れて皆もハッピー。win winとはこのことだ。


 余談だが、勇者達はさすがに一般参加は王から止められ、優勝者とエキシビションで決闘するらしい。


 優勝したくねぇ……。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 砲丸投げではなく、ハンマー投げだと思います
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