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努力を知らない卑怯者  作者: 自宅警備員Lv9999
第一章:王都
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追放



「一番の不遇職なのですよ、鍛冶屋は!!」


 そう宣言されてからはもう最悪だった。 皆こっちを見てヒソヒソ話ながら笑ってくるし、男子は「頑張れよ、不遇職君!!」とか悪意しか感じない顔で言ってくる。


 八雲さんは庇ってくれようとしたが、正義があれこれ理屈を並べ立てて連れていってしまい、俺は味方のいない空間に残されてしまった。 アイツ絶対許さん。


 学校ではおどおどしていた茂部までもが、


「鋼牙君ダイジョーブ?あっ無能君だっけww」


 とか言って来て最高にムカついた。


 人間は弱い者に強いって本当なんだな。 俺もそうだけど。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 戻ってきた正義が、


「パーティーを組むにあたって皆でステータスを見せ合わないか」


 と言い出した。


 パーティーは4人が最大人数でそれ以上はパーティー登録出来ないらしい。パーティー登録ってなんだそれ初めて聞いたぞ。


 経験値や連携などの相性を合わせるため、ステータス情報を共有し、全員で話し合って決めることにしたそうだ。


 全員がそれに賛成したことで、急遽先ほどの会議室でステータスの情報交換が始まった。


 因みに先生は天職が付与術士だったので城の武器庫に連れて行かれ、リーダーがいないので正義が勝手に仕切っている。


「じゃあ今からステータスの情報交換を始めるよ。まずは言い出しっぺの僕から見せよう『ステータス』『開示』」


 本来はステータスは他人には文字化けしていて読めないが、開示と唱えることで他人にも見せられるようになるらしい。


 


 正義の隣に少し小さい半透明の板(ウインドウと言うらしい)が浮かび上がった。



――――――――――――――――――――――――

ヒジリ マサヨシ 天職;勇者


Lv1


ジョブスキル


《聖者の行進》

 パーティーメンバーが使う聖魔法の威力が2倍になる。


《勇猛果敢》

 格上に挑む際、全能力に小補正。格上が強いほど補正は大きくなる。


《聖剣に選ばれし者》

 聖剣エクスカリバーを召喚できる。


《聖人》

 使用した聖魔法の威力が3倍になる。


パッシブスキル

危機察知Lv1 魔力操作Lv1


魔力感知Lv1 剣術Lv1


筋力補正Lv1 体力補正Lv1


ユニークスキル

《正義漢》

 正義の下に行動した際、全能力に大補正。正義に背き行動した際、全能力を3分の1にする。


――――――――――――――――――――――



「すごい……強いスキルが4つも……」


「聖剣ってマジモンのチートじゃんか!!」


「ヤベェな正義、こりゃ誰かさんのステータスが楽しみだ」


 最後のは要らなかった。 


 それにしても凄いスキルだな。パーティーメンバーを強化し、自分の魔法も強化出来るとかチートじゃないか。


 ズルい!! こちとら最弱職だぞ。


「次は私、行くわね。『ステータス』『開示』!」



――――――――――――――――――――

アキカゼ マイ 天職;聖魔導士


Lv1


ジョブスキル


《聖域結界》

 自身を中心に強固な結界を張る。


《浄化》

 状態異常を消し去る。 アンデッドを無力化できる。


《聖なる加護》

 パーティーメンバーの全能力を小補正。パーティーメンバーの状態異常耐性、魔法耐性、精神耐性に大補正。


パッシブスキル

魔力操作Lv1 魔力感知Lv1


杖術Lv1


――――――――――――――――――



 ああそうだ、こいつ秋風舞って名前だった。

 

「私も行きます~『ステータス』『開示』~」



――――――――――――――――――――

クサハラ ミドリ 天職;神弓士


Lv1


ジョブスキル


《聖なる矢》

 魔力で出来た矢を作り出す。矢には魔法を付与できる。


《必中》

 放った矢にホーミング機能を持たせる。


《遠視》

 遠くの物もハッキリ見えるようになる。


パッシブスキル

危機察知Lv1 弓術Lv1


気配感知Lv1


――――――――――――――――――



 そうそう草原緑。人の名前は覚えづらいねまったく。


「じゃあ私も。『ステータス』『開示』」



――――――――――――――――――

シミズ ナギサ 天職;侍


Lv1


ジョブスキル


《抜刀斎》

 抜刀術を使用した際、魔力の刃を飛ばす。


《剣豪》

 剣術スキルの経験値に大補正。パーティーメンバーの剣術スキルにも大補正。


《速刃》

 剣を振るえば振るうほど太刀筋が細かく、剣速が早くなる。


パッシブスキル

危機察知Lv1 気配感知Lv1


抜刀術Lv1  剣術Lv1


―――――――――――――――――



 清水渚!こいつは覚えてた。


「私は正義のスキルと凄くに相性が良いわ。同じパーティーになるのは当然ね」


「私も結構相性は良いと思うんですけどね~」


「私だって捨てたもんじゃないと思うわよ?」


「「「正義は誰がいい?」」」


「ま、まあまあ皆落ち着いて。次は……八雲さん。お願いできるかい」


「う、うん。『ステータス』『開示』」



―――――――――――――――――――――――

ヤクモ カエデ 天職;聖女


Lv1


ジョブスキル


《救済者》

 治癒魔法の効力が10倍。


《破邪の眼光》

 視界に入った闇魔法を打ち消す。悪霊・怨霊へダメージを与える。


《聖職者》

 治癒魔法・聖魔法使用時の魔力消費量3分の1。


《勇者の配偶者》

 勇者と同じパーティーに要ることで取得経験値量2倍。


パッシブスキル

魔力操作Lv1 杖術Lv1


ユニークスキル


《癒し系》

 周囲の味方の体力をゆっくり回復させ、混乱をおさえる。


―――――――――――――――――――――――



「ゆ!?」


「ゆ!?」


「ゆ!?」


「「「勇者の配偶者ぁ!?」」」


「ち、違うの!! 勇者と相性がいいっていうスキル何だって!!」


「あんた、私の正義に近づいたらただじゃ置かないんだから……!」


 難儀な事だな八雲さん。頑張ってくれ。


 いやこっち見んな。なにもできんよ。こっち見んなって。


「そういえばさ、鍛冶屋のステータスってどんぐらいひどいんだろうな」


「あっそれな、気になる~~」


「おい鋼牙、ちょっとステータス見せろ」


「……『ステータス』……『開示』」



――――――――――――――――――――

クロガネ コウガ 天職;鍛冶屋


Lv1


ジョブスキル


《加工》

 無機物の形を自由に変えられる。触れている必要がある。


《付与》

 魔方陣から物へ魔法やスキルを付与できる。


《改造》

 スキルや魔法の効果、能力を高める事が出来る。魔力を消費する。


《鑑定》

 凝視した物の詳細な情報が分かる。


パッシブスキル

身体強化Lv1


ユニークスキル

《KY》

 自身に対する精神干渉を無効化。


―――――――――――――――――――――



「戦闘能力皆無じゃん」


「無能だな」


「いや、そんなに悪くないのでは……」


「ま、生産職だしこんなもんか~」


 最後の言葉をきっかけに俺に対する侮蔑と嘲笑が降り注いだ。 俺は屈辱に耐えながら俯いていた。


「勇者様方、今日はお疲れでしょう。部屋を用意しましたのでそちらへどうぞ」


 ホグワ○ツ(宮廷魔術士だったらしい)の言葉で、疲れを思い出したのか次々と部屋を出ていく。


 俺もこの場に用は無いと考え、会議室を出た。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ボスッ と布団に倒れこむ。まったく最悪な日だった。 


「あーあ、これからどうなるんだろ」


 俺が今後を憂いた時、


 コンコン、コンコン


 誰かが扉を叩いた。開けるとそこには、


「お話があります」


 占い師様が立っていた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 占い師様の話はこうだった。


「鍛冶屋というのは世界中で<やくたたず>と言う印象なのです。あなたがどんなに活躍したとしても覆せないほどに根付いた印象なのです。私達が勇者召喚を行ったと言うことは世界中に知れ渡るでしょう。魔王の耳にも入るでしょう。そうなったとき、鍛冶屋が要るだけで勇者が舐められてしまう可能性があるのです。ここに金貨が10枚あります。これを持って城からでて下さい。貴方の生活は保証します」


 弱いやつが要ると他国への威嚇にならんから出てけってことか。


 他との関わりが無くなるぶん、ここにいるよりはマシかな……?生活は保証されるなら……。


「……分かりました。俺は一般人として生きていきましょう」


 そう言って俺は重そうな袋を受け取り、裏口から城を出た。 


 夕日が綺麗だった。


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