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努力を知らない卑怯者  作者: 自宅警備員Lv9999
第三章:アロア
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制裁



「大丈夫か?」


 咄嗟に飛び出し、衝撃波を放つことで斬撃を掻き消す。


 俺は回復魔法が使えないので、男気を見せた血塗れの筋肉に回復薬をぶっかける。


「そっちの奴らにも飲ませとけ」


「だ、大隊長。ありがとうございます……。でも、アイツらは勇者で……」


「だからどうした?」


「え?き、危害を加えたら後々問題が……」


「ダイジョブダイジョブ~!!」


 回復薬を二本持たせて後ろに下がらせ、俺は勇者(馬鹿共)に向き直る。


「おうおう、ウチのモンを随分可愛がってくれたじゃあねぇか」


「はっ、てめぇが変態共の親玉か?じきじきに狩られに来るとはありがたいねぇ」


「おらおら、勇者様相手に勝てるつもりかよ?」


「ククク、お前ら、一撃じゃつまんねぇ。じわじわと……」


「いたぶってやろうぜ!!どんな声で鳴くかなぁ?」


 こいつら本当に勇者かな。しばらく見ない内にずいぶん増長したもんだ。


 正義はなにやっとんだ?これが正義なのか?


 いろいろツッコミたいな。


「さてさて、皆さんお久しぶりだな」


「あ?なに言ってやがんだ?」


「時間稼ぎだよ。後ろの奴らが回復するのを待ってんだ」


「頭悪い作戦だな」


 残念、皆俺の顔を忘れてしまったようだ。


「ほれ、この顔に見覚えは無いのか?ええ?『モブ』よお」


「っつ!?」


 『剣聖』茂部は本名を言われて心底驚いたようだ。


「お前、なんで、俺の名前を……」


「あー、一人称『僕』から『俺』に変えたな?舐められない為か?似合ってないから止めとけ」


「お前誰だよ!!ベラベラしゃべくりやがって」


「黒鉄鋼牙」


「……!!!!!!!」


「改めて、久しぶりだな?」



◆◆◆◆◆◆◆◆



「な、なぜお前がここに……」


「ハッハッハ、俺がどこに居ようが俺の勝手だろ?」


「うるせぇ!!この薄汚ねぇ犯罪者め!!」


「冤罪だつってんだろ馬鹿共。で?俺達を差し置いて活躍すんな~、って?子供のだだこねだな」


 顔を歪めて失笑する。茂部達は顔をしかめる。


「んでよ、俺の仲間に結構なことしてくれたじゃない。どうオトシマエつけんだコラ」


 回復して飛びかかろうとする三人を制止する。


「オトシマエ?なに言ってんだコウガぁ。俺達は勇者だぞ!?世界を救う救世主様だ!!俺達のやることは全て正しいんだよ!!」


 こりゃまたずいぶん歪んでんなぁ。本当に正義はなにやっとんだ。


「で、『せいぎのきゅうせいしゅ』の茂部君はムカついた奴を攻撃すんのか。愉快な救世主様もいたもんだ」


「うるせぇだまれ!!!皆、こいつは最低な犯罪者だ!!取っ捕まえて晒し者にしようぜ!!


『おお!!』


 茂部とクラスメイト達は剣を抜いて臨戦体制をとる。


「おう、やるか」


 俺はガントレットを装着した右手で、ズズズと背景音が流れそうなほどの『神の手』ポーズを決めた。



◆◆◆◆◆◆◆◆



「ウォオオオオオオオオオオ!!!!」


 突進してくる戦槌君。タックルを右に避け、スイングをかがんでかわし、距離を取る。


 戦槌君はジャンプアタックとばかりに飛び上がって戦槌を振りかぶる。


 後ろに飛んで避けようとした時、足が凍りついて動けない。


「クク、避けさせねぇぞ!!」


 魔導士が笑う。


「ったく、面倒臭いな」


 手を伸ばし、凄まじいスピードとエネルギーを持って降り下ろされた戦槌をピタリと止めた。


「え、な、は?」


 混乱する戦槌君。


バチィ


 俺は触れている戦槌に衝撃を流し込み、弾き返した。


 後ろによろめく戦槌君の顔を右ストレートで撃ち抜く。


ドガァ


 壁にめり込む戦槌君。そして止めを差すかのように遅れて飛んできた戦槌が腹に直撃した。


「あーあ、痛そー」


 この間に足下の氷を叩き割る。


「よくもぉぉぉぉ!!!!」


 茂部が激昂して斬りかかって来る。とりあえず阿弥陀で受け止める。


 それにしても遅いな。前に模擬戦した幼女フルチャージ状態のジェントーの剣の方が数倍早いぞ。


「なーに怒ってんだよ?」


「雑魚のクセに!!雑魚のクセに!!」


 残念、彼は聞く耳を持っていなかった。仕方ないので腹を蹴って戦槌君の隣にめり込ませる。


「て、め、え……」


「ほらよ、返すぞっ」


 奴が持っていたきらびやかな剣をぶん投げる。


 剣は回転しながら飛んでいき、茂部の顔の真横に突き刺さる。


「ひ!!」


 茂部は大人しくなった。


「ふう、さーて。あと一人と」


 震える魔導士に向き直る。


「な、なあコウガ。俺、あいつらに言われて仕方なくやってたんだよぉ……俺達友達だろ?見逃してくれよぉ……」


 ひきつった笑顔でそう提案してくる魔導士。


「まぁそうだな。俺だって暴力は極力ふるいたくない」


「じゃ、じゃあ……」


「でもまあ」


 強化された脚力で一瞬で距離を詰める。


「え……」


 魔導士の顔の真ん前に、金色の拳が迫っていた。


「こいつらを襲ったのはお前の意思だろ?」


 魔導士は自分の意思とは無関係にバク宙をした。



◆◆◆◆◆◆◆



「やっとこさ終わったな」


 あいつらはとりあえず復活したモヒカンの回復魔法で治し、追っ払った。


 『覚えてやがれ!!!』という貴重なセリフを聞かせて貰えた。


「こ、コウガ様……大丈夫なのですか?勇者をあんな目に遭わせて……」


 隠れさせておいたファルが心配そうに言う。


「大丈夫だよ。これを見てみんさい」


 俺は一枚の真写を取り出す。


「こ、これは……」


 真写には、ボッコボコにされた三人の顔がしっかり写っていた。


「これで脅しゃ大丈夫だろう。心配すんな」


「コウガ様……卑怯ですね……」


「生存戦略だよ生存戦略」

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