ダンジョン その1
クラン『ヘレティックス』として名乗りを挙げて3日。初日は生活の基盤を整えた。具体的には王都で荒稼ぎした金を使って街の一角にクランハウスを購入。結構な豪邸だったが、普通に買えた。
2日目は自由行動。俺はアーティファクトを作り、ファルは部屋の掃除をしていた。他は知らん。
幼女を見てハアハアしてたおじさんがいたとか街中で兎跳びするマッチョがいたとか裏路地から『アーーーーーーーーーーーーーーーーーー』って声が聞こえたとかやけにセンスがいい服を作る漢女(怪物)がいたとか野党顔負けの凶悪な面した男に傷を治されたとかいう噂が立ったが知らんもんは知らん。
で、今日は全員集合で、ダンジョンへ潜るつもりである。ダンジョンはよくある創作物と酷似しており、魔物がどこからともなく現れる地下迷宮である。
魔法で調べたところ最下層は500階層らしいが、最高到達階層は263階層で、それより下はSランククランでも無理らしい。
しかしダンジョンに出る魔物はドロップアイテムを落とし、ダンジョンからは有用なアーティファクトが産出されるのでやはり潜る冒険者は多い。
俺達は今日依頼を受け、ダンジョンへ潜るつもりである。受ける依頼は初回は簡単にということで三階層に出現するゴブリンの討伐依頼を受けた。
迷宮産ゴブリンは結構いい武器を装備しているのでかなり手強いらしいので、油断はすまい。
「よしみんな、準備はいいな」
「いつでも大丈夫ですぞ」
「うっし、じゃあ行くか」
さっそくダンジョンへ足を踏み入れた。
「天井は洞窟って感じだが、床は整備されてんのな」
天井はむき出しの岩なのに、床はレンガで舗装されている。不思議だ。凄く不思議だ。
しばらく進むと曲がり角から一匹のスライムが出てくる。
「ふんっ」 パアンッ
マッスルの一撃で敢えなく死亡。
しばらく進むと巨大なネズミが出てきた。
「そいっ」 ズパンッ
ジェントーの一薙で敢えなく死亡。
しばらく進むと角が生えたウサギが出てきた。
「えいっ」 チュンッ
ファルの矢で敢えなく死亡。
一階層終了。階段が見える。
「あれ?」
簡単すぎひんか?どないなってんねん。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
特に語ることなく3階層に到着。ゴブリンを殺戮。依頼を達成。
「あれ?」
簡単すぎひんか?どないなってんねん。
「そりゃ500ある内の三階層なんぞ無いようなもんよ。簡単で当たり前」
「そういうもんかねぇ」
とりあえず依頼は達成したので帰る。
「ほい、依頼達成してきたぞい」
「はい、確かに。もう一つ位受けてみては?」
「ああ、そうするわ。消化不良だしな」
もう一つの依頼は5階層のコボルドの討伐。
数時間でクリア。簡単すぎひんか?どないなってんねん。
少し調子にのって10階層の依頼を受ける。内容はラベジャーの牙の納品。
ラベジャーは群れで行動する狼の魔物で、前に大量殺戮したウォーウルフより強い。
さっそく出かける。今回は10階層とだけあって時間がかかる。
出てくる魔物を蹴散らしながら降りていき、10階層にたどり着く。
変わらず薄暗い迷宮を歩くと、真っ黒い大きな狼がぞろぞろ出てくる。
「あちらさんから来てくれたな!!」
「しかしこらちょっと多杉君だぜ」
いつぞやの日のように狼をズッパズッパ切り伏せる。
阿弥陀の素晴らしい性能で苦戦することはなかった。全員が一丸となって戦い、傷つくと世紀末の魔法で治療。いい連携のかいあって数分で狼を全滅させた。
依頼は達成したので帰る。
「ほい、依頼達成してきたぞい」
「ええ!?もうですか!?まだ5時間しか経ってませんよ!?」
「まあ達成したもんはしたんだ。頼む」
「は、はい。ではラベジャーの牙を納品してください」
「あいあい」
納品カウンターにストレージストールからざらっと牙を出す。量が量なので小さい収納袋には入らんかった。
「え?今どこから……」
「キミハナニモミテイナイ、イイネ?」
「なぜカタコト?」
「イ·イ·ネ?」
「はい」
「よろしい」
依頼達成によりFランク共のランクが上がってEになった。
ランク
A
マッスル
B
俺、ジェントー
E
ファル、マーガレット、ピエール、バング
順調な滑り出しだろう。こいつら強杉君だぜ。
戦闘シーンが薄い…薄くない?




