なんで『僕達』とか言うかな
「皆様お願いします、我々人族を滅亡からお救いください!!」
その時クラスの奴らの目には、必死で助けを求めているように見えたのだろう。
しかし俺にはその必死さが、何故か薄っぺらく感じた。
なんというか、こう、どこかに打算があるような?本当に切羽詰まっているようには見えなかったのだ。
胡散臭いなー。だけど選択肢ないしなー。
お、先生が立ち上がった。
「すみませんが、協力は出来ま」
「分かりました!!僕たちに任せてください!!必ず救って見せましょう!!」
ここで何で僕たちって言うかね。
「ちょっと正義君!?」
「先生、目の前に助けを求めてる人がいるんです。それを見捨ててまで生きようとは思いません!!」
素晴らしい。『僕たち』じゃなければもっとよかった。
「うぅ……そ、それは……」
「皆も協力してくれ!! 僕はこの人逹を助けたいんだ!!」
「ま、正義君が言うなら……?」
「正義がそこまで助けたいなら、仕方ねぇ」
「我々は元より協力する所存ですぞ? なあ横島氏!」
「ああ! こんな展開、最高に燃えるでござる!!」
皆よく混乱してるなかでそんな約束出来るな。と、頭では思っているのだが、何故か自分も賛同しようとしていた。
不思議なぐらい混乱がない。同調圧力ってやつだろうか。
「しかし、僕たちには戦う力がありません。そこはどうしたら?」
ほら、よくそんな冷静に考えられるよな。
「皆様にはすでに勇者としての力を持っているはずです。ではそれを確認しましょうか」
あー、この流れは……。
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机の端っこ。いわゆるお誕生日席にバスケットボール大の水晶玉が置かれた。
「この水晶は触れた者の『天職』を表示します。今から皆様にはこの水晶に一人ずつ触れていき、天職を確認させて頂きます」
「あの、天職、とは?」
「天職とは個人がそれぞれ持っている才能を表したものです。強力な天職は強力なジョブスキル……能力を習得できます。また経験を積み経験値を得ることでレベルを上げ、パワーアップしたり、新しいスキルを覚えたりできます」
半分くらい聞いてなかったけど、多分天職が絶対の強さの基準になってるんだな。
勝手に職業決められるとかソ連かここは?
「では……テーブルの端からジグザグに進めて行きましょうか」
げ、俺最後だ。 初めは……茂部か。ビビってんな、足が震えて生まれたての小鹿みたいになってる。
「い、いきます!!」
力強く宣言し(無意味)、手をこれまた力強く水晶に叩きつけた(無意味)。
すると水晶が一瞬光って、茂部の横に半透明の板が現れた。
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モブ タロウ 天職:剣聖
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あの茂部が剣聖!? 満員電車なら十人はいるような顔したアイツが!?
「茂部が剣聖!?」
「あんなに目立たない奴が!?」
「!?剣聖は僕の憧れなのにぃ!?」
失礼な奴らだなまったく。
「でもさーこうして見るとアイツ結構イケメンじゃね?」
「分かる~」
えぇマジかよ。良いなぁ。
それから皆我先にと水晶に突進し、一喜一憂していた。
そしてこの男。
「次は僕だね」
絶対あれだろ、あの主人公が絶対選ばれる奴。職業かどうかは知らんが。
手を置く。水晶が光る。
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ヒジリ マサヨシ 天職:勇者
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やっぱな。何てったって正義だもんな。
「ゆ、勇者だ!!」
「伝説の天職じゃないか!!」
「まさかこの目で見れる日が来るとは……」
やっぱ凄いんだな。勇者だもんな。
「やりました!! これで人族は救われました!!」
おいおい、そんなこと言ったら後の人たち全員要らない子やん俺含め。
正義は「僕が、勇者か……」って言いながら帰って行った。
しかしイベントは続く。




