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努力を知らない卑怯者  作者: 自宅警備員Lv9999
第一章:王都
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ガチンコ?するわけねーじゃん

 中二成分過多となっております。お気を付けて。

 腕を作ってから一週間、俺はひたすらタイタニウムで魔道具を生産し続けた。


 沢山の強力な魔道具を作ったが、紹介は後にしよう。


 とりあえず一週間何も食べておらず、飢え死にしそうなので這う様に階下へ降りた。


 従業員さんにご飯を注文し、一週間分を腹にいれた。


 水はしっかり飲んでたけど、マジで何にも食べてないもんな。


 最強の武器作って死因;飢え死にだけはいやだ。


 そんなことを考えながらご飯を食べていると、宿のおばちゃんが血相変えて走ってきた。


「あ、あんた。貴族に喧嘩でも売ったのかい!?」


「あ?どういうこった?」


「さっき鎧を着た集団が来てリンを拐って行っちまったんだよ!!」


「なにぃ!?」


「それでそいつらが、返して欲しかったらクロガネコウガを王城へ行かせろって……」


 こりゃ完全にクソ女の差し金だな。


「くそっ、俺が生きてることがバレたか!!あんのクソ女がぁ!!」


 あのクソ女は俺が居たから自分の失態になったから殺しに来た。俺が生きてることが分かったらそりゃ殺すだろう。


「クソっ!!」


 別に俺を殺しに来たことに怒ってる訳ではない。いやガチギレしてはいるが今回の怒りはそうじゃない。関係ない上俺が親しかったリンちゃんを巻き込んでまで俺を誘きだそうとしたからだ。


「直ぐに助けに行ってくる」


 立ち上がり、部屋に戻って作った魔道具を装備していく。


「だ、大丈夫なのかい?わざわざこんなことまでして呼ぶなら相応の理由があるはずだ」


 部屋まで付いてきたおばちゃんが狼狽えながら言う。


「大丈夫だ。話つけてくる。それに……」


 武装し終えて戸口に向かい、振り返って言う。


「そう簡単には殺られねえ」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 走って門まで行くと、門番が何も言わず通してくれた。多分話が通っているのだろう。


 そのまま門を通って城へ入る。正面には大きな扉。


 その扉を押し開けると、正義とクソ女を正面に勇者達が勢揃い……いや、八雲さんと東谷がいない。


 そしてその後ろには魔導士の集団が取り囲むように立っていた。


 クソ女が口を開き、とんでもないことを言い出した。


「あの男です!!あの男が私を犯したのです!!」


「あ!?」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「おいコラクソ女、犯したってなぁどういうこった?」


「言葉の通りですわ。鍛治場へ様子を見にいった私を押し倒して無理やり……」


「コウガ、見下げ果てたぞお前!!天職が恵まれなかったからって腹いせにアリアを襲うなんて!!」


 正義がキレていらっしゃる。


 隣に立つクソ女が嘲笑するように口元を歪めていた。


「ああ、そうか、そういうことかよクソ女ぁ!!!」


 俺の中で怒りが弾ける。ヤバい、爆魔石投げまくりたい。


「コウガ、大人しくお縄につけ!!」


「ほんっと、最っ底」


「クズですねぇ~」


 正義ハーレムどもが煩い。


 一応弁解してみるか。


「おいおいお前ら、全部そこのクソ女の虚言だって。俺は鍛冶屋なんぞに弟子入りしてないし、襲う所か襲われた位で……」


「黙れ!!お前の言うこと等信じられるものか、この犯罪者め!!」


 正義の怒号を切っ掛けに他の奴らも俺を罵倒し始める。


「クズが!!」


「社会のゴミめ!!」


「性犯罪者!!」


「強姦魔!!」


 心が傷つくな、これ。免罪ってこんな感じなんだな。ムカつくしイライラするし何より悔しい。


 はあ、もういいや。


「もういい!!」


 俺の声に遮られて罵声が途絶える。


「てめぇらの考えはよっく分かった。お前らが俺に何を思おうが知ったこっちゃない。さっさと拐った子を返せ。そうすりゃこんなクソみたいな所にいなくてすむ」


「何を言っている!!性犯罪者に返せる訳ないだろ!!」


 じゃあ何故俺を呼んだのか説明してほしい。


 こいつらがやってる事も誘拐という名の犯罪なんだがな。


「じゃあお前らは何が望みなんだよ」


「お前が捕まって死刑になることだ!!」


 ……変わったな、正義。前は理不尽ではあったものの自分の正義を信じて……あ、変わってない。


「そうか、だが俺は死刑になるつもりも捕まるつもりもさらさらない」


「じゃあ力ずくで……」


「お待ち下さい。奴は私を襲った時謎の術を使っていましたわ。分からない分抵抗されると危険ですわ。このまま殺すのがよろしいかと」


 あ、やっぱアイツは俺を殺したいのね。どうしよ、ここでアイツの企みを暴露して……いや、信じる奴が居ないな。


「じゃあ仕方ない。お前が悪いんだぞ鋼牙」


 正義がそう言って剣に手を掛けると、他の奴らも剣に手を掛け、魔法を詠唱し始める。


 仮にもクラスメイトをなんと心得るか。


「ふう、交渉決裂、か。悪いが足掻かせてもらうぜ?正義、ちょっとこれを見ろ」


 そう言った鋼牙は正義に向かって小石らしき物を投げる。


 小石らしき物はまさしく小石だったのだが、呼び掛けられ、投げ渡されたその小石に正義の意識は集中した。


【これはまさしく小石です】

 只の小石。道を歩けば100は見つかる。


 その間に一瞬で間を詰め、全力で正義の鳩尾に拳を叩き込む。


「ふんっ!!」


「がふぅああ!?」


 もろにくらった正義は後ろにいた奴を巻き込んで吹っ飛び、気絶した。


「な、ま、正義!?」


 いきなり主戦力が気絶したので場は騒然となる。


「よくも正義を!!」


 激昂した秋風が剣を振り上げて飛びかかってくる。


 がら空きの顔面にレモン汁を噴射。


【レモン汁】

 レモンを絞った汁。目に入ると非常に痛い。


「あ"あ"あ"!?目が、目がぁぁぁぁ」


 どっかの大佐のように悲鳴を上げ、目を押さえて崩れ落ちる。


「この卑怯者!!」


 茂部が叫ぶ。罵倒したつもりか?


「その通り、俺は卑怯者だ。精々気をつけろ?」


「せやっ」


 清水が切りかかってくる。侍とだけあってなかなかの速さだ。だが反応できないほどじゃない。


「不意討ちは卑怯じゃないのか?」


「な、完全に不意を突いたはずなのに!?」


 腰から抜いた刀で清水の居合いを止める。


【軍刀·阿弥陀】

 鋼牙作アーティファクト


 剣術Lv10


 タイタニウムで作った日本刀に使ってた剣からスキルを移した物だ。


 すでにLv10のスキルは移してもLv10のまま移る。


 非常に助かった。


「な、清水が受け止められた!?」


「嘘!!騎士団の人でも見切れないのに……」


 ん?騎士団?こんな斬撃も見切れないのか?


 清水のLvは……5。敵じゃないな。当たっても痛くも痒くもないし。


 数回斬撃を放ってくるがすべて受け止めて、鍔迫り合いになった所で腹を蹴る。


「ガフッ」


 けっこう手加減したつもりだが、うずくまって吐血している。


 いかんな、加減を覚えないと死人が出そうだ。


 と、ここで今まで動きがなかった魔導士組が動く。


「喰らえ!!ダークネスファイア!!」


「いけ!!ファイアランス!!ウォーターランス!!」


「いっくよー!!サンダーショット!!」


 やっと詠唱できたのか、黒い炎の玉と炎と水の槍、バチバチ言ってるエネルギー球がとんでくる。


 だが、残念。


「吸い込め、マナストーン」


 飛んできていた魔法がブラックホールに吸い込まれるよう俺の手に吸い込まれた。


【マナストーン】

 鋼牙作アーティファクト

無限蓄魔 吸魔·極

魔力生成


 蓄魔石のスキルに派生スキル『大改造』をするとこうなった。


 魔力が一気に0になったので剣術とかはできなかったのが悔やまれる。


 これにより魔力貯蔵量が無限になり、超級魔法でも吸収できるようになり、魔力を無尽蔵に生成できるようになった。


 マジモンのチート装備だ。


「勇者様達を助けるのだ!!」


「「「この世界を支配せし神よ……」」」


 本職が魔導士の人達が詠唱を始めた。


 マナストーンは物量で押されると弱いので防がんと。


「詠唱ストップ!!」


 俺は魔導士の集団に向けて黒い玉を10個ほど放る。


「何かくるわ!!防いで!!」


「了解です~」


 『神弓士』草原が玉を迎撃する。


「サウザンドアロ~」


 間延びした声からは想像できないほど鋭く速い矢が数千にも分裂して飛んでいき、玉を打ち落とした、が


「あ~あ、そんなことしたら……」


 空中で破壊された玉から謎の粉が撒き散らされる。


 粉が魔導士の集団に降り注ぐと


「あまねく神を、賛美しぇ、よぉ……ファクシュン!!」


「邪教は不ひょ、ひょ、フアクショオオイ!!」


「かの星はおひ、ひ、ヒャクショイ!!」


 くしゃみが乱発され、詠唱どころではなくなってしまった。


 風魔法で吹き飛ばせば良いのに……。まあ吹き飛ばしても別のとこ行くだけだがな。


「鋼牙……」


「おお、茂部。剣聖はどうだ?楽しいか?」


「お前、お前、アリアさんは、僕が狙ってたんだぞぉぉぉぉぉ!!」


 思いっきり私怨が込められた魂の叫びを無視して蹴り飛ばす。


 剣聖だろうが、剣使えや。


 そんなこんなで魔導士は約たたずになり、勇者もだいぶ減ってきた。


「うう、僕は……?」


 お、正義が目覚めたらしいな。


「ああ、正義!!」


「大変なの!!鋼牙君がなんか凄い武器持って皆をバッタバッタ倒していくの」


「よう、呼んだか」


「鋼牙ぁ!!貴様ぁ!!」


 さっきまで倒れてた正義が俺が目に入った瞬間切りかかってきた。


「ぐ、さすがに勇者はレベルが違うな……」


 スキルの効果かは知らんがなんか強い。凄く強い。


 剣術のLvにも補正がかかっているらしく、俺の剣と互角に渡り合っている。


 俺が爆魔石の使用を視野に入れようとしたとき、クソ女の声が響く。


「そこまでです!!!」


 見るとクソ女の横には縛られ、猿轡を噛まされたリンちゃんが立たされていた。


 リンちゃんの首筋にはナイフが当てられている。


「この女の命が惜しければ降伏しなさい!!」


 俺は正義を蹴り飛ばして向き直った。


「卑怯だなクソ女。さっきから姿が見えないと思ったらそんなことしてたのか」


「五月蝿いですよ、強姦魔め……」


「自分が作った話なのにずいぶん真にせまってるな」


「でやあ!!」


 いきなり正義が飛びかかって来て、床に組伏せられた。


「はぁ、はぁ、僕の勝ちだ!!」


 こいつら人のこと散々卑怯卑怯言っといて自分も卑怯だから笑えねえよな。


「クソが、リンちゃんを離せ!!離しやがれ!!」


「ふふふ、あなたが大人しく死ねばいいのです。そうすればこの子は助け……」


「……あっそ、じゃあ殺せば?そいつ」


「!?」


 いきなり真逆のことをいい始めた俺に動揺するクソ女。


「なにを言っているのです!?この子を殺しますよ!?」


「だから殺せば?」


「くっ、後で後悔しても……「只な」……?」


「その子の命がお前を守る最終防壁だということを忘れるなよ?その子を殺したらこの辺り一体更地にしてやるからな!!」


「……!」


 俺の力の一端を知るクソ女の手が止まる。


 クソ女と俺のにらみ合いが続き……。


「はい、そこまでです!!」


 一つの声で終わりを告げた。



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