怒ったぞ、俺は
「うぅう?」
重たい瞼を押し上げ、目を開ける。
「……知らねぇ天井だ」
いつか言ってみたかった。
それはさておきここはどこだ? 見た感じ病院っぽいけど。
「コウガさん!! 目が覚めたんですね!!」
体を起こすとベッドの脇にいた誰かが飛び付いてくる。
「イデデデデデデデデ!!」
全身がとっても痛い。すごーく痛い。昔ヤンキーにボコられて病院に運ばれた時くらい痛い。
「痛いから止めろ!! えーと、リンちゃん?」
飛び付いてきたのはリンちゃんだった。 普通ならラッキーなんだが今日に限ってはアンラッキーだ。
「す、すいません。私、嬉しくて……。あっ、先生呼んで来ますね!」
リンちゃんは元気良く走り出す。
転んだ……。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「君は本当に異常だ。火傷はまだしも腕を失って出血も酷い、おまけに火災現場に長時間いた。というのにお前さんの体は重症ではあったが命の危機はなかった」
「それは、どういう……?」
「治り初めてたんだよ。腕なんかすっぱり切れとるのに血が止まっとったわ。だから治療術だけで助かったんじゃ。本当なら出血で確実に死んどるわい」
うーむ、俺の体はけっこう異常らしい。 確かに腕の大動脈が切れてたのに血が止まってたなんてあり得んよなあ。
確実にこれだよな、原因。
【身体強化Lv10】
自身の体の全能力を超強化する。
うん、完全にこれだな。痛みで死ぬかと思ったが、なかなかいいスキルに育ったじゃないか。
「それにしても、鍛冶屋のにいちゃんが助けてくれたんだよな?なぜ俺が危機だと分かった?」
「コウガさんが出て行った後、どうも嫌な予感がして後を付けたんです。そしたらコウガさんの叫び声が聞こえて、慌てて助けを呼びに行ったら途中で会ったんです」
「なるほど、リンちゃんが命の恩人って訳だ。ありがとな」
「い、いえいえ、当然の事をしたまでです」
「そうだとしてもだ。ありがとう」
「は、はい。それにしても誰にやられたんです?」
「城の奴らだよ。理由は話したくないから話さんが、奴らは俺が生きてると困るのさ」
あっけらかんといいはなった俺を驚愕したように見るリンちゃん。
「怒ったりはしないのですか?恨んだりも……。コウガさんの声からは感情が読みとれません」
「ん?なに言ってんだよ」
いい笑顔で言う。
「ハラワタ煮えくり返るぐらいガチギレして一周回って落ち着いただけだ」
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もうあいつ許せねぇ。 見返すぐらいじゃすまん。
今の地位から引きずり下ろして土下座させて泥水すすらせてやる。
もっともっと強力な魔道具を作らんと。
仲間も欲しいな。強い、強い仲間を作ろう。
「待ってろよ……クソ女ぁ」




